花組「ドンジュアン」初日感想・永久輝せあがスゴイ!

花組ドンジュアン 花組

花組御園座公演『ドンジュアン』。

新トップコンビプレお披露目公演初日を観劇してきました。

花組『ドンジュアン』感想

総評・あっさりドンジュアン

それにしても名古屋は暑かった~。外の気温はもちろんですが、お披露目を待ちわびた観客の熱気もスゴイのなんの!

1幕ラストで組子たちによるフラメンコ総踊りが終わるや否や、「オーレ!」と客席(おそらく後方席にいた先生たち)から声援が上がったり、カテコで幕が上がるたびに、観客「オーレ!」、永久輝「バモース!」とコール&レスポンスが繰り広げられたり…

少々客席側の悪ノリ感はあれど、異様なほどの盛り上がりをみせたプレお披露目初日となりました。

花組版『ドンジュアン』ですが、雪組初演と比べるとずいぶんマイルドな演出になりましたね。(外部版は観ていません)

当時物議を醸して途中で演出が変更されたドンジュアンと母親による『近親◯姦』は、ばっさりカット。結果、なぜあそこまでドンジュアンの心が歪んでしまったのかが伝わらず、父親との確執もぼんやりとしたものになってしまいました。

ドンジュアンとカルロとの際どい(BL)匂わせもカット。これによりただでさえ難しいカルロの立ち位置が(ドンジュアンへの友情?憧れ?嫉妬?秘めた想い?)ますます曖昧で掴みどころのないものに。

ドンジュアンとマリアのベッドシーンもカット。

雪組版で1幕ラストの見せ場だったマリアの石像ぶっこわしもナシ。というか、そもそも花組版ではマリアは石像を完成させませんし、当然、壊しもしません。

ゆえにマリアの彫刻家としての崇高な志も中途半端で終わってしまい、アレアレ?生田先生それでいいの?宝塚版だからこのくらいマイルドな方が好まれるのかもしれなせんが、ちょっとジェネリック過ぎのような。(歌を増やすために芝居パートを削らざるを得なかったのかもしれませんけど、みんな初演知ってるよね前提が過ぎる)

もちろん、改正されて良い部分もたくさんあります。

小物を使った演出やダンスの振りはものすごく洗練されてお見事!ダンスシーンで生徒の出番が増えたのも良かったです。

ベッドシーンがカットされた変わりに、組子たちが大きな白い布をひらひらさせて表現したり、セットも大掛かりで、マリアの彫刻を映し出す3D映像はお金かかってますよね。笑

そして盆が回る回る。2幕ラスト、約20段くらいある階段をのぼりおりしながらの永久輝さん✕天城さんの決闘はハラハラドキドキ見ごたえありました。(千秋楽までケガなくご無事で)

キャスごと感想

宝塚では望海風斗さんじゃないと成立しないと思っていた『ドンジュアン』ですが、永久輝さんのドンジュアンも違ったアプローチで素晴らしかったです。

濃厚な色気、歌の安定感、殺陣の上手さは申し分ありませんし、プレイボーイというには生ぬるい(人の感情に興味がない)サイコパス男から、恋人とうっとり星を眺めるピュアボーイまで見事に演じきりアッパレ!

ただ、当たりまえですが組としては始まったばかりの印象。真ん中に立つと急に雪組色が強くなる永久輝さん。毛色の違う組子たちをこれからどう自分が理想とするところに導いていくのか、永久輝さんが作る新たな花組が楽しみです。

星空美咲さんはドンジュアンが一目惚れする、自立した女性マリア(彫刻家)を好演。

出番は少ないものの圧倒的なヒロイン力。トップになってまた輝きが増しましたね。高身長なのに永久輝さんの横に立つとスッと小さくなる技も、声量を自由自在に調整してハモる技術もさすが。キスシーンも色っぽくて見惚れます。

2番手役(カルロ)の希波らいとさん(103期)は掴みどころのない友人役を大健闘!舞台映えするスタイルが目を引きますし、冒頭の歌こそ緊張していたのの美穂さんとのハモリも頑張っていました。この大役をやり遂げバウ初主演へ繋げたいところ。

マリアの婚約者でありドンジュアンの恋敵(初演・永久輝)に挑んだ天城れいんさん(104期)。劇団がいま最も育成にチカラをいれている生徒なだけあって勢いを感じます。その後を追う1期下の美空真瑠さんは戦地で悲惨な体験をして苦しむ兵士を涙を流しながらの熱演。引き込まれました。

綺城ひか理さんは出番が増やされ、歌、殺陣、タップに大活躍。ドンジュアンに呪いをかけるというより寄り添うような騎士団長に見えたのは同期物語を期待しすぎでしょうか。娘役2番手の美羽愛さんは嫉妬に狂う修道女を体当たりで演じきり一皮むけた印象。

あっ、紫門ゆりやさんのお腹のクビレは芸術的に美しかったですよ。一斉に会場中のオペラが上がりました。笑

誰よりも声がとおる英真なおきさんと若返った美穂圭子さんが脇を固め、充実の『ドンジュアン』。

初日ゆえ、セリフ噛み、剣がさやに収まらない、小物を落とす、ダンスの振り間違いなど、各所でいろいろハプニングはありましたが、そんなことは全部吹き飛ぶくらいエネルギーに満ち溢れた素晴らしい滑り出しでした。

カテコの永久輝さん、良い表情してたな~。

永久輝挨拶「1分1秒を惜しんでお稽古に取り組んできました。フラメンコを踊っていると雑念が消えて没入できる。この時間こそ『愛』だと思いました。明日から21公演頑張ります」

歌も殺陣も多くハードな公演ですので、くれぐれも体調には気をつけて、誰ひとり欠けることなくみんな元気に千秋楽まで走り抜けてほしいと思います。

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