月城かなとさん海乃美月さんのプレトップお披露目公演「川霧の橋/Dream Chaser」観劇しました。
(1回目・B席3階センター、2回目・S席1階前方サイド)
これ本当にお披露目公演?と疑いたくなるくらい芝居が充実していて驚きました。
「川霧の橋」の感想をネタバレありでお届けします。
月城かなと・幸次郎
月城さんは着物姿がかっこよくて和物の所作もカンペキ!
滑舌のいい江戸言葉も気持ちがいい。
なによりその時代に生きているかのようにリアルな役作りに脱帽です。
幸次郎という男を ”恋に不器用な若者”から”包容力のある成熟した大人”になるまでをみごとに演じていて素晴らしいの一言。
若き日の幸次郎は照れ屋で お光にかんざし一つプレゼントするのも一大事。
恥ずかしくて好きな人に好きと言えないピュアで不器用な月城さん(幸次郎)が悶絶級にかわいい。
そんな幸次郎が男衆相手になると口が悪くなったり手が出たりして「あちゃ!」と思うシーンもありましたが
この物語は「清吉(暁)が幸次郎よりもはやくお光に告白した」ことでおこる怒涛の悲劇。
男衆には自分の感情をポンポン出せるのに お光には何一つ言えない…というもどかしさを柴田先生はこのシーンで強調されたのでしょう。(憶測です)
お光に結婚を断られたあと『一途ゆえの執着』という人間の生々しい行動にでる幸次郎(月城さん)にゾクッ。
大火事で逃げるとき「(しつこくして困らせた)詫びにおまえを絶対に助けてやる!」とお光を命がけで救おうとします。
この火事場は月城さんの最大の見せ場でもあり宝塚史の名場面で、見ていて手に汗にぎるほど臨場感がありました。
けっきょく二人は生き別れ、幸次郎は他の人と結婚。
望んだ結婚ではなかったものの、病弱な妻を気遣い、かける言葉や抱きよせる手に大人の包容力がでていて時間の経過を感じさせます。
月城さんの演技が見事すぎて「幸次郎と妻とお光の鉢合わせシーン」は、妻の肩に手を添えながらお光を見つめる熱い視線に未練がにじみドキドキしました。
小りんさん(晴音)のセリフ「とてもじゃないけどこんな所にいられないよ(鉢合わせを見ていられない)」がピッタリ。
一途な想いが最後に実を結ぶので、月城さんはお光に向ける細かい目線や表情をどのシーンも大切にされています。(オペラが外せません)
妻が亡くなり清吉も死んだと知り、ついにお光に愛を告げるシーン。
不器用な男のストレートな言葉って良いですね。
月城さんの何がスゴイって、この告白は歌なのですがセリフのように心に届いてきたこと。
歌でも、セリフでも、仕草でも、目線でも、人物の心情を表現できる月城さん、あっぱれ!
クライマックスの細かく粋な描写がこれまた秀逸。
何年経ってもお光の前ではツンデレ全開
・お光の袖を少したくし上げて手を握る。
(ここ一番の萌えポイントでした)
この瞬間のために数々の苦労があったのだと納得。
ていねいな役作りで歳を重ねるごとにどんどん魅力的になっていく幸次郎が舞台で息づいていました。
人情芝居をやらせたら天下一品ですね。
ひとつだけ正直レビュー
お芝居は絶賛しかありませんが、ショーはまだ無色透明でこれからいろんな色が加わり更にステキになると思います。
海乃美月・お光
月城さんがスカステ番組”はじまりの時”で「海ちゃんは今、変わろうとする勢いがスゴイ」というようなことをおっしゃっていました。
海乃さんは大人になったお光のしっとりとした表現はお手の物。
しかし、恋もしらない無邪気な少女時代はまだこれからというところ。
それも全部ひっくるめてお光という難役に体当たりでチャレンジしている海乃さんを思わず応援したくなります。
海乃さんがスゴイのは共演者の芝居に寄せるのが上手いこと。
鳳月さんとのやり取りはリアル過ぎて驚きました。
鳳月杏・半次
最高にカッコイイ役を鳳月さんが演じるから半次の魅力天井知らず。
半次は憧れだったお嬢さんが落ちぶれてしまってもなんのその。
見返りを求めずだたひたすらお嬢さんのために生きる半次の純情に泣かされます。
半次にも幸次郎やお光と同様に年月が流れていますが舞台ではくわしく描かれていません。
しかしお嬢様を救うために過酷な人生を送ってきたことが鳳月さんの落ち着きはらった立ち居振る舞いで伝わってくるのが本当にスゴイ。
とくに秀逸なのは屋台シーン。
半次のひたむきさがお甲さんに通じ、お甲さんの優しさが半次に通じる感動的な場面から一転、清吉と再会するピリッとした緊迫感を一瞬で。
この鳳月さんの巧みな演技、必見です。
その他キャスト
暁千星・清吉
根っからの悪人だけど色気があって魅力的な清吉。
新たな暁さんが見られました。
こんなに歌が上手かったっけ?と驚き。すごい努力されたのですね。
かわいらしいお顔を逆手に取った背筋の凍る微笑にゾクッ。
光月るう・源六
描かれた顔のシミがリアル老人で、自分の信念を貫きとおす職人気質の爺さんを好演。
麗泉里・お甲
個人的に本作品のMVPを捧げたい。
所作からセリフ回しから心情の表現から、とにかく上手い!
京三沙・扇寿恵
梨花ますみ・お常
このお二人こんなにお元気でしたっけ?
とても楽しんで演じていらっしゃいました。
ちょっとした一言がリアルでお芝居というより”素”なのではと錯覚するほど上手い。
(その他キャスト感想はこちらから)
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あとがき
月組の情感溢れるすばらしいお芝居が見られ博多座まで遠征して良かったです。
お芝居で太鼓も披露し、ショーは爆踊りの連続。
月城さんも暁さんも少しほっそりされたみたいで公演のハードさがうかがえます。
どうか月組の皆さんが健康で千秋楽を迎えられますように。
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