フレンチミュージカルの日本初演
星組ドラマシティ公演『-Le Rouge et le Nori-赤と黒』観劇してきました。
エッジの効いた衣装や照明、演者による舞台転換。
性悪な人物も宝塚的に美化することもないため、良い意味で宝塚というより外部のミュージカルを観ている感覚でした。
星組『-Le Rouge et le Noi-赤と黒』感想
舞台と客席がちかく、海外の小さな芝居小屋をのぞいているような臨場感。
とはいえ、やはり礼さんたち『声量おばけ』チームにはドラマシティは小さすぎたようにも思います。
【赤と黒かんたんあらすじ】
野心に燃える貧しく美しい青年ジュリアンは、町長のこどもたちの家庭教師になり出世に足掛かりをつかむが、こどもたちの母親レナール夫人と不倫関係になり…
柴田版もフレンチ版も救いようのないサッドストーリーなのは原作どおり。
ですが、フレンチ版は芝居の分量が少なく歌がとっても多いのでドロドロしすぎず楽しめました。
正直、1回聞いただけで名曲!とはなりませんが、フレンチロック独特のメロディは中毒性があります。
初めてみる礼真琴
どんな難しい曲でも軽々とうたってのけ、音程ひとつハズさない礼さんは本当にスゴイですね。
とはいえ、礼さんの歌やダンスがスゴイのは想定の範囲。
本当の意味で素晴らしかったのは演技でした。
暗くて静かで無表情。
こんな礼さん初めて見たかも。
抑えに演技のなかに『男の色気』を滲ませていて とっても魅力的でした。
キャストごと
1幕のヒロインは有沙瞳さん。
舞台メイクとは思えないほど薄い化粧が色っぽくてステキ。
礼さんとコンビを組んだ『阿弖流為』から6年。ふたたび二人の並びが見られて感無量です。
当時より数段厚みが増したハーモニーも聴きごたえがありました。
まだまだ有沙さんの活躍を観ていたいので、この役が餞別じゃないことを祈っています。
2幕のヒロインは詩ちづるさん。
演技の上手さが光っていましたし、歌もクセがなく聴きやすい。
もしかして礼さんとの相性テスト?と、つい深読みしてしまうのですが、もしそうなら文句なしに『合格』だと思います。(ダンスは頑張れ!)
ひろ香さんと小桜さんが宝塚ではめったに見ない性悪な夫婦を振り切って演じ、ストーリーを盛り上げます。
専科の英真さんが登場すると場がグッと締まりますね。紫門さんのひょうひょうとした感じも良かったです。
暁千星のチャレンジ
劇団は礼さんに日本初演の主演をやらせたかったのはもちろん、暁さんのさらなる飛躍のためにこの作品を選んだのではないかと感じました。
事実、暁さんはストーリーテラーやジュリアンの友人として舞台に出ずっぱり。
「(出ずっぱりだと)くしゃみが出そうになったらどうするんですか」と座談会で笑いを誘っていましたが、
セリフの量も膨大、歌もダンスも見せ場の連続で本当に大変だと思います。
アドリブ
そして今回、暁さんにとってセリフやうた以外にも大きなチャレンジとなったのが客席を巻き込むアドリブです。
元宙組トップ・和央ようかさん
宙組・桜木みなとさん
紫藤りゅうさん、瑠風輝さん
専科・輝月ゆうまさん
この日の客席は豪華で暁さん頑張っていましたよ。
暁「おやっ、元宙組トップスターの和央ようかさんではありませんか~。わたしのことをご存じですか?」
和央 うなずく
暁「それは嬉しいな~。では、わたしの歌はご存じですか?」
和央 首を横にふる
暁「もういちどよ~く考えてください」
ちょっとめんどくさいキャラになりきって大先輩に絡む暁さん。緊張したでしょうね。
暁「あなたはどう思います?この物語はこれで終わると思いますか?」
輝月 うなずく
暁「あなたとは次の物語(1789)でもお会いできそうです。ネバーセイグッバイ!」
和央さんや桜木さんたちを意識した『ネバセイ』のアドリブに客席大拍手。
ナウオンで「私がこの舞台をひっぱれるように頑張ります」と宣言していたように、
お芝居も歌もダンスも思いっ切りはじけて、しっかり2番手としての役割りを果たしていました。
また一回り大きくなりましたね。
礼真琴カーテンコール
礼さんのご挨拶はWBCにちなんだもの。
「本日はご観劇ありがとうございました。みなさんご存じかと思いますが、WBCは日本が優勝しましたぁ~!!」
バンザイしたり飛び跳ねたりして喜びを爆発させる組子たち。
「わたしたちも唯一無二の宝塚歌劇団の一員として日本を背負ってまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました」
大変な公演なのに元気いっぱいの星組さんでした。
これからさらに進化していく星組『‐Le Rouge et le Noir‐赤と黒』を、つぎは配信で見届けたいと思います。