「れいちゃん」「ひとみ」呼びが話題の、花組梅芸公演『二人だけの戦場』観劇しました。
苦しい時代に生きた人たちの『うつくしき青春』に心惹かれる良作です。
(以下、ネタバレありで感想を記しますので読み進めご留意ください)
花組『二人だけの戦場』感想
『二人だけの戦場』全体感想
法廷のシーンから始まり、シンクレア(柚香)が上官(航琉)殺害の罪で訴えられているというのは分かるのですが、
何のために殺したのかというのは1幕では明らかにされません。
そのためシンクレア(柚香)とライラ(星風)の恋にキュンキュンしようが、シンクレアとクリフォード(永久輝)の友情に萌えようが、
ちょいちょい挟まれる法廷シーンになると緊張が走ります。
この甘辛のさじ加減が絶妙だったので、1本物でも長いと感じませんでした。
けっきょく恋は長くはつづかず、戦場で負傷し、裁判で下された判決は『無期懲役』。
このままではあまりにもシンクレアがかわいそう。
ですが物語はここで終わりではなく、それから〇〇年後…とオマケがつきます。
このオマケが救いがあって秀逸なんです。
柚香光と永久輝の相性
シンクレアとクリフォードの友情あっての『二人だけの戦場』。
研15になった柚香さんと研13の永久輝さんは、士官学校を卒業したばかりの若者を演じるにあたり、
稽古場で「ひとみ」「れいちゃん」と呼び合って『部活の部長と副部長』という設定で役作りに励んだのだとか。
上級生になると貫禄がですぎるため、そんな苦労があるのですね。
役作りの甲斐あって、ちゃんと初々しさ出てましたよ~。笑
上官たちに自己紹介するとき、緊張のあまり二人の言葉が何回もぶつかってしまうのが面白くて可愛くて、よく笑いました。
『れいひと』のコメディ好きだな~。
もっとコミカルなシーンを見たかったのですが、
このあと二人はそれぞれ違う上官につくことになり別行動になってしまいます。
なのでクリフォードは決定的瞬間(シンクレアが上官(航琉)を射〇した事件現場)を見ていません。
それでも親友を信じ、彼を助けるために法廷で熱弁をふるう長セリフが永久輝さんの見せ場。素晴らしかったです。
裁判のあともずっと男の友情が続いているというのも、この物語のステキなところ。
親友思いのクリフォードは、15年ぶりにシンクレアとライラを会わせてあげるのです。(このシーンこそ秀逸な『オマケ』です)
シンクレア「ありがとう」
クリフォード「ともだちだ。」
若かりしころにも同じやりとりがありましたが、その時とはくらべものにならないくらい絆が深まったふたり。
積み重ねた年月を感じさせるステキなシーンです。
柚香さんと永久輝さんの『トップ&2番手のコンビ』が想像以上に良くて、いつかガッツリバディを組む作品を見てみたいなと思いました。
で、男同士の友情もいいですが、
体当たりの星風まどか
この作品のいちばんの見どころは、主人公の恋の始まりと終わりをていねいに描いているところでしょう。
恋の始まりのドキドキも、不安をぶつけて言い争いになってしまうところも、いちいち共感。
星風さんはすべてを相手にぶつけないと気が済まない『感情爆発型』の少女ライラを体当たりで演じています。
事件を起こしたシンクレアと別れる場面で、「泣き顔を覚えてほしくない」と言って泣き崩れるライラにこちらも泣かされました。
ラストの変身ぶりも美しく見事!
星風さん、また演技の幅がひろがりましたね。
【余談】ひとつ残念だったのは、わたしが観劇した回、ふたりの別れのシーンで笑いがおこったこと。たしかに長いシーンですし、感じ方は人それぞれです。だけど『ベルサイユのばら』でアンドレが〇ぬ場面で笑いがおこった時と同じくらい残念な気持ちになりました。
お帰りなさいの綺城ひかり
おかえりなさいの綺城さん。
シンクレアの裁判を起こした重要人物なのに出番が少ないのは気の毒でしたね。
しかしNOW ONを見るかぎり、久しぶりの花組を心から楽しんでいるようでホッとしました。
パレード終わり、永久輝さんと笑顔で小芝居しているのも見逃せません。
カテコは柚香さんのダジャレを含んだご挨拶が恒例になりそう?
「うれシンクレア」「たのシンクレア」と言うたびにダジャレ好きの上官(凛城)の反応をみる柚香さん。
千秋楽までに凛城さんを爆笑させる渾身のダジャレが思い浮かぶといいですね。笑