「第8代宙組トップスター真風涼帆、本日を持って任務を完了いたします」
ついに真風涼帆さんが宝塚を去ってしまいました。
真風涼帆の宝塚人生に思う
早期抜擢にもがいた時期
わたしが真風さんの存在をハッキリ認識したのは、星組『太王四神記』のチョロです。
下級生ながら男役の無骨さも出ていて、ただ者ではないオーラを放っていました。
いま思えば、研4にして2回目の新公主演にもがいていた時期だったのですね。
舞台では上級生よりも大人びた男役を見せているのに、トーク番組ではおどろくほど大人しい。
まぁ、柚希礼音さんや紅ゆずるさんの大阪人トークが炸裂していた時代だったので、下級生が入りこむ隙間はありませんが、
ニコニコ相槌をうちながら周囲に気をくばる繊細な人という印象をうけたのを覚えています。
『ゆりか』という可愛らしい名前も、几帳面でキレイ好きという点ふくめて、舞台の男臭さとのギャップに興味がわきました。
組替えで開花
6年目で初バウ、8年目で初東上、10年目で3番手羽根。
スターへの道のりは順調そのもの。
3期下に礼真琴さんがいましたが、真風さんが星組でトップになるだとうと思っていただけに宙組への組替えは衝撃的でした。
だけど組み替えは大成功!
末っ子感が消えたどころか、一気にアニキ的な立ち位置となり、キリッとした男役に変貌を遂げたように思います。
星組時代にプレッシャーと戦い 努力を積み重ねてきたからこそ、花開いた宙組時代。
朝夏まなとさんとの相性も良く、トークでも本来のおしゃべりな部分をみせるようになりました。
このころ『エリザベート』のフランツに出会えたことは、男役の幅を広げるのに最適解だったと思います。
トップスターとしての功績
12年目でトップに就任。
全ての作品に恵まれた…とは正直言えませんが、
残念な作品であっても真風さんの男役を見ているだけで救われました。
よく言われている、『真風芝居』も『真風イングリッシュ』も私は好きでしたよ。
歌える人、踊れる人、芝居上手な人…歴代いろんなジェンヌがいたけれど、舞台に存在するだけで『男として成立』する人は稀。
体格的に恵まれていることは確かですが、男役としての立ち姿や歩き方、所作の1つ1つが努力によって磨かれてきたもの。
サヨナラ公演でみせた究極の男役(ボンド)はすべてが見事でした。
『男役の中の男役』として私たちの心に刻まれたことは間違いありません。
どこまでも周囲の期待にこたえようとする人だから、公演中止や週刊誌掲載のときはツラかったでしょうね。
言いたくても言えず、飲み込んだ言葉もたくさんあったはず。
功績は舞台に留まらず、LDHとのコラボ、新たなスポンサーの獲得、九州との架け橋など、劇団への貢献度は計り知れません。
トップが短期で変わって落ち着かない宙組を安定させた功労者でもあります。
いまでは真風チルドレンたち(鷹翔、風色、亜音)も頼もしい戦力です。
2番手への配慮
いつも素晴らしいなと思うのは、全方向に行き届いたごあいさつ。
本日も完璧でしたね。
15年も組長を務めた寿つかささんに3本締めの音頭をうながし、今日が(寿さんの)誕生日だとアピールすることも忘れない。
芹香さんとのバトンタッチを前代未聞の長い時間をつかってセレモニー化し、
長すぎる2番手時代を過ごした芹香さんと、芹香さんのファンへ配慮。
潤花さんとのやり取りも期待どおり、たくさん笑わせてくれました。
去り際の投げキッスも含めて、われわれが見たいものを見せ、聞きたい言葉を聞かせてくれた真風さん。
真風涼帆さんへ
3回も受験してくれて、男役になってくれて、任期の延長を受け入れてくれて、
たくさんの夢とトキメキを与えてくれて、本当にありがとうございました。
真風さんのあらたな人生が これまで以上に幸せに満ちたものでありますように。
これからもずっと応援しています。