永久輝せあさんの2番手羽根に沸いた花組大劇場公演『鴛鴦歌合戦/GRAND MIRAGE!』初日↓
興奮冷めやらぬうちに2回め観劇してきました。(以下、すべて個人的感想です)
花組でやる意味『鴛鴦歌合戦』感想
繊細な作品がつづいた花組
『鴛鴦歌合戦』はなにかと歌っておどる娯楽作品なので しっちゃかめっちゃか感は否めません。
宝塚でやる作品かといわれれば首を傾げる人もいるでしょう。
ですが明るく楽しそうに舞台に立つ組子たちを見ていると、もうそれだけで幸せな気持ちになれます。
こんなに底抜けに明るい花組を見たのはいつぶりだろうと、泣くところでもないのにウルッと。
というのも最近の花組は『命をあつかった重い題材』のなかで人物の内面にフォーカスするような作品がつづいていました。
冬霞の巴里、巡礼の年、フィレンツェの燃える、殉情、うたかたの恋、二人だけの戦場、舞姫
どの作品も花組らしい繊細なお芝居で素晴らしいものに仕上がっていましたが、
作品の内容によるものだけでない『鬱々としたもの』が舞台にあらわれるときがあって、
内にこもるようなお芝居が気になったときもありました。(個人的感想です)
極度の緊張で本来の力が出せなかったであろう新人公演、体調が万全ではなさそうな別箱を見て苦しくなったことも。
花組はコロナの影響を大きく受けた組でもありますので、その辛さや焦りは相当なものだったでしょう。
で、みんなの笑顔が見られるコメディを望んでいたはずなのに、えっ?鴛鴦歌合戦?大作はまだ?花組に1本物はこないの?なんて、すみません。
座付き演出家の強み
小柳先生は短い映画を1時間30分に引き伸ばすために オリジナルのキャラを膨らませてのりきっていました。
(内容の正直感想はまた後日アップする予定ですが)登場人物は原作キャラも含め みんなが魅力的です。
柚香さんの粋でいなせな色男(礼三郎)は惚れ惚れするほどカッコいいですし、星風まどかさん(お春)はとにかくキュート。
永久輝せあさんの芸達者ぶりがうかがえるバカ殿様に、聖乃あすかさんの可愛い末っ子ぶりよ。
そして小柳先生ならではの『分かる人には分かるポイント』が生徒やファンの心をくすぐります。
組替えしてきた綺城さんと永久輝さんの同期芝居を存分に見せたり、同じく97期(永久輝と春妃さん)に夫婦を当てたり。
退団する和海しょうさんには大きな役が与えられていますし、ほかの退団者への配慮もバッチリ。
副組長就任が決まった紫門ゆりやさんには、とぼけた人物でありながら場を引き締める役を当て、組子に馴染みやすい配慮。
星風さんから柚香さんへ、柚香さんから永久輝さんへ、それぞれ本人と役がリンクするセリフを言わせたり。
たくさんの組子にちょこっとしたセリフや歌があって、ガヤ芝居のアドリブも許されているみたいで、そりゃあ楽しいでしょうしモチベーションも上がりますよね。
下級生が積極的に芝居に参加し、自分をアピールする楽しさを知り、一人ひとりの自信が組全体の底上げに繋がっているように思います。
小柳先生は『鴛鴦歌合戦』を通じてそんな花組を引き出したかったのかな。
押し出しが強くなった花組の舞台はとても勢いがあって面白い!
次回の観劇も花組全力のコメディを心から楽しみたいと思います。