本日放送されたNHKかんさい熱視線「タカラジェンヌの死 宝塚歌劇団で何が」。
この番組には現役のタカラジェンヌやOG、演劇俳優の労働問題に詳しい専門家が出演し、
いろんな角度から宝塚歌劇団の問題点を指摘。そのうえで改善点をあげていました。
HNKかんさい熱視線「タカラジェンヌの死 宝塚歌劇団で何が」
とにかく人手不足
植田紳爾氏の著書によると、25年前に宙組が設立され東京劇場の公演数が310回から450回に増やされたころから人手不足が深刻化したとあります。
つねに演出家やスタッフの数が足りず、とにかく自転車操業で公演を回す日々。
当然、タカラジェンヌの負担も増し、労働環境も悪くなっていきます。
現役生「ただただ忙しくて、ご飯も食べず寝落ちしてしまうことも。そんな状況でも、とにかくシャワーだけはと、清潔面を保つという最低ラインのことをするみたいな生活を送るときもありました」
現役生「衣装課がしなければいけないような仕事をすべて新人公演の『長の期』がやるので、気づけば朝の4時とか。睡眠時間を取れず、寝ずにそのまま次の日公演に出る人もいます」
そして忙しさからくるストレスは、本来なら大切にしなければならない仲間(下級生)に向かってしまうこともあったのだとか。
現役生「優しく教えてあげたらいいものを、余裕がなく、下の子に厳しく傷つく言い方をしてしまったり。自分も上の人にされてきているし、下の人もそれを経験するべきだと思ってしまって。おかしいはずなのに見過ごして見てみぬふりをしてきて、それが伝統としてずっと続いてきているのではないかと思います」
現役生「芸事以外でやるべきことが苦痛に感じることが多い。だけど『これを乗り越えない限り舞台に上がれない』と洗脳されていたというか、いい聞かせてやっていた」
100人の宝塚関係者に取材を試みたものの『外部漏らしはご法度』という壁が立ちはだかり、
ほとんどの人に拒否されたという番組記者は、宝塚の問題をこう指摘しました。
宝塚歌劇の問題点
「専用の劇場やスタッフを持っているため外部との接触が非常に少なく、なにかおかしいと思う第三者的な視点が乏しく、内部だけで完結する環境が出来上がってしまっている」
演劇俳優の労働問題に詳しい専門家は、労働組合をつくるのはどうかと提案していました。
ブロードウェイに立つ俳優は全員労働組合に加入していて、タイムキーパーが稽古の時間をはかったり、無理な労働をさせられていないか、定期的に調査が入り俳優を守っている。
10代の頃から自分を厳しく律し、良い舞台を作ろうとするあまり自分を犠牲にして稽古に励んでしまうタカラジェンヌたち。
そこにつけこんで『収益ありき』で事を進めた結果が…
雪組公演当日中止
またしても当日に公演中止の発表がありましたね。
『雪組 宝塚大劇場公演『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『FROZEN HOLIDAY』は、公演を安全に実施することが困難なため、12月8日(金)~12月10日(日)までの公演を中止させていただきます』
思い返せば数日前から雪組の様子はおかしかった。
1幕途中で突然幕が降り、何の説明も無いまま45分間も中断したり、
午前公演を中止にしたかと思えば午後公演は実施したり、なんとも不可解。
観劇した人によると、午後公演はBlu-ray収録の撮影クルーが入っていたとか。
この期に及んでまさかと思いますが、もし撮影のために生徒に無理をさせたのだとしたら、
劇団の体質は生徒の死を受けても何も変わっていないことになります。
番組では主に過重労働についてのみ問題点をあぶり出し、パワハラについては多くは語られませんでした。
しかし食事や睡眠もままならないほどの苛酷な労働環境において、心身ともに余裕を無くしていった人たちがどうなっていくのか、
「舞台上ではすごく嬉しい気持ちになりますが、裏に入った途端にすごく怖い…」
現役生の悲痛な叫びに胸が痛みました。
どうか一日もはやく生徒たちが安心して舞台に立てる環境が整えられますように。