星組大劇場公演『RRR×TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~/VIOLETOPIA』観てきました。
まずは『RRR』の感想からお届けしたいと思います。(ネタバレありですので読み進めご留意ください)
星組『RRR×TAKA”R”AZUKA ~√Bheem~』感想
谷貴矢先生・新たな脚本・演出キングに
星組『赤と黒』でも思いましたが、もしかして谷先生ってポスト小池修一郎なのでは?
というのも、3時間以上もの長編映画を違和感なく宝塚版に落とし込んだだけでなく、水や火の精をヒラヒラダンスで表現したり、舞台に出すわけにいかない動物を映像で見せるなど、舞台の使い方が上手い!
物語はビーム(礼真琴)の妹分であるマッリ(瑠璃花夏)がインド総督に連れ去られたことから始まります。
ビームはマッリを取り戻すために偽名を使って村に潜伏している最中、偶然そこに居合わせたラーマ(暁千星)ともに火事に巻き込まれた少年を救い固い友情で結ばれるのですが、じつはラーマはビームを捕まえるために派遣されたイギリス警察で…
もうね、先が気になってドキドキワクワク!とにかく展開が面白い。
『友情か、使命か、愛か』の『愛』の部分は思っていたよりあっさりでしたが、男の友情を軸に置いているので、かえってそれが好印象でした。(まぁオリジナル作品ならトップ娘役がトップスターに目もくれず3番手とくっつくなんてありえない展開ですが)
宝塚ファンが苦手であろう残虐なシーンはバッサリカット。悪者もサクッと成敗されるので安心して観られるのも良かったです。ただ、心地の良いエンタメに寄りすぎて本来の映画のメッセージ(差別、貧困、自由奪還)からは外れているような気もします。
原作ファンの感想を聞いてみたいですね。
主要キャスト感想
とにかく印象的だったのが、ダブル主演といっても過言でない活躍を見せた暁千星さん(ラーマ)。
使命を果たすまでは恋人シータ(詩ちづる)が待つ故郷に帰れないという、子役による回想シーンまでありビームより人物像が深掘りされていて感情移入しやすい。
暗い過去を経験した男の哀愁をみせつつ、イタズラ笑顔でビームの恋を助けたりなんかして本当に魅力的でした。
礼さんにアニキと呼ばれても違和感のない大人の男っぷりは『ME AND MY GIRL』のジョン卿のイケオジ経験がいかされたかな。
キレッキレのナートゥダンス、迫力のある鞭打ち、そしてキスシーンまで。とにかくこの作品は暁さんの見せ場の連続です。
ジェニーの婚約者で作品中いちばんオリジナル感が強かったのが極美慎さん演じるジェイク。
たった一人でフラメンコやタンゴを踊り、ビーム(礼)にダンスの何たるかを問うシーンは最大の見せ場。偏見に満ちた嫌なヤツかと思いきや、ジェニーのことが心配でビームに協力するハメになるいきさつにクスッ、まさかお笑い担当だったなんてね。
ビジュアルの良さが神がかっていて、バチッと決まったスーツ姿は ザ!二枚目のイイ男。芝居でも立派に3番手の役割を果たして頼もしく思いました。
暑苦しい男の物語のなかに一服の清涼感を与えたのが舞空瞳さん演じるジェニー。
イギリス人でありながら人種への差別意識や偏見は一切なく、思ったことを素直に口にする快活な女性。ビーム(礼)やジェイク(極美)が虜になるのも納得です。(しかしそんなに何回もビームのことを「お友達」って強調しなくても、少しは男として意識してあげて。笑)
スカートをヒラヒラさせながらナートゥダンスを踊る舞空さんの可愛さったら。
そしておかえりなさいの礼真琴さん(ビーム)。
めちゃくちゃ強くて賢くて仲間の人望も厚いパーフェクト男子なのに恋には奥手という役がハマりすぎ。ジェニーと恋人に進展することはないけれど『初恋』の甘酸っぱさがなんとも言えず心地いい。
拷問シーンの大ナンバーは圧巻ですし、激しいナートゥダンスも長槍を使った殺陣も簡単そうにやってのけるのもスゴい。(これは新人公演大変だろうな。大希颯さん頑張って)
で、なんといっても暁さん(ラーマ)との友情ですよ。自分の命と引き換えにビームを逃がすラーマ、そんなラーマを命懸けで助けにいくビーム。星組にかかる困難をさまざま乗り越えてきた礼さんと暁さんと重なって自然と涙が出ました。
花火が打ち上がるなか二人でワチャワチャ下手花道にハケていくエンディングが最高で、礼さんがとっても楽しそう。
休養期間をとるに至るまで相当悩まれたと思いますが、その決断は正解だったんだなと。元気な姿が見られて感無量です。
つづきは次回に。