舞空瞳これで良いの?星組「記憶にございません/Tiara Azul」感想

星組

月組の全国ツアー公演『琥珀&グラタカ』を連チャンしたり、韓国まで『ベルサイユのばら』を観に行ったりしてすっかり遅くなってしまいましたが、

本日やっとこさ星組公演『記憶にございません/Tiara Azul』を観ることが出来ました。

以下ネタバレありで感想を記しますので読み進めご留意ください。

星組『記憶にございません/Tiara Azul』感想

笑った笑った!「記憶にございません」

『記憶にございません』は、宝塚らしい作品ではないけれど、評判どおりの面白さでした。

花道に置かれたガードレール、組子たちの選挙ポスター、礼真琴さんの芝居仕立ての開演アナウンスなど、開演前から客席に笑い溢れ、幕が開くと、バーコード頭のひろ香祐さんをはじめ、星組が誇るコメディエンヌが次々に登場してオーバーな演技で笑わせてくれます。

紅ゆずるさん時代を彷彿とさせる はっちゃけっぷり!宝塚の理想の男役像&娘役像とはかけ離れたキャラだけど、みんな笑いに振り切って楽しそうに演じていました。ちなみに鳳真斗愛さんの大きな耳は特殊メイクの会社が制作しているのだとか。

ストーリーは単純明快。
頭にケガをして記憶を無くした総理大臣が、かつての自分の愚行を知り猛省。周囲の協力を得て政治と家庭を立て直すという、ほぼ原作映画どおりに話しが進みます。

ということで、ダブル不倫のシーン、ガッツリありますよ。舞空さんが暁さんを押し倒したり、小桜さんが礼さんに下着1枚で迫ったり、お尻を突き出してSMプレイの要求をしたり、親子で観るには居心地の悪さを感じるかもしれません。

でもまぁそこはさすがの舞空さん&小桜さんが品を保ってチャーミングに演じているので個人的には楽しめましたけどね。2組の不倫情事を一度に見せる舞台機構の使い方も秀逸でしたしね。

ですが、わざわざこの作品を宝塚でやる必要がないのではという意見もごもっともだと思います。しかも礼さんの円熟期に。

ところがその礼さん本人がいちばん楽しそうにコメディを軽快にひっぱっているから気持ちが良いんです。その実力ゆえ、われわれは礼さんに大作を望んでしまいますが、礼さん自身はみんなでワチャワチャ楽しめる作品が好きなのかも。(【小声】礼さんの歌が少ないのが残念。最後の国会中継で妻に告白するところは歌で表現してほしかったな)

『RRR』に引き続き礼✕暁のバディがたまらなく胸アツですし、極美さんはカッコよさに渋さが加わり新境地。ほんと、なんで東上おあずけなの~。娘役にもたくさん出番があって改めてみんな魅力的だなと。なのに次期トップ不在はほんとに罪だと思います。

これで退団でいいの?

去就が見えている礼さんの箸休め作品としては頭をカラッポに楽しめて良かったと思いますが、舞空さんの退団作品としては、正直これで良いの?というのが本音です。

そもそも舞空さんの8作退団は当初から予定されていたのでしょうか。トップを8作も務めた娘役なら『エリザベート』や『アナスタシア』といったタイトルロール作品で最後を迎えることもできたでしょうに。

そこまでは求めずとも、事前に退団が決まっていれば少なくとも大学生の息子がいる不倫妻なんていうラストは避けられたのでは。

救いはショーで舞空さんの見せ場がふんだんにあること。星組のプリンセスに相応しいラストで良かったなと。

『Tiara Azul』は竹田先生のデビュー作。

前半のごちゃごちゃした展開とどぎつい色の衣装は残念でしたが、後半はガラッと良くなります。

大階段の群舞は最高にカッコいいですし、とくにトップコンビのデュエットダンスの演出が秀逸。銀橋で礼さんが舞空さんの頭にティアラを授ける演出には、これまで散々別箱で離された虚しさが一気に昇華されるような、胸にこみ上げるものがありました。

ふたりを見守る客席の空気もあたたかくて、5年ものあいだトップ娘役を務めてきた舞空さんへの最高の賛美ように感じました。

まだまだ始まったばかりの星組公演。

ですが酷暑ということもあり、わたしが観た回はみなさんお疲れだったのか、舞空さんが裸足のデュエダンでつんのめってしまったり、暁さんがタンゴで手をついてコケてしまったりハプニング続出。

くれぐれも体調に気をつけて、みんな元気に千秋楽まで乗り切ってほしいと思います。

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