永久輝せあ&星空美咲お披露目・花組「エンジェリックライ」感想

花組エンジェリックライ 花組

永久輝せあさんと星空美咲さんのトップお披露目公演であり、凪七瑠海さんの集大成である、花組『エンジェリックライ/Jubilee』観劇してきました。

宝塚の演出家というのは、とかく生徒に『この世ならざる者』を演じさせたがる傾向にありますよね。(『パック』しかり『フェアリーテイル』しかり)

谷先生も『永久輝せあのお披露目を新作で!』と依頼を受けたときに、真っ先に”永久輝=天使”をイメージしたのだとか。

えっ?先生、『元禄バロックロック』で永久輝さんに武士をやらせてませんでした?どちらかというとわれわれファンもそっちのイメージですよ。(復讐、野心、陰、裏社会、三白眼…)

だけど結果、永久輝さんの天使が大優勝!

オリジナルの良さが活かされた花組公演

永久輝せあ&星空美咲&凪七瑠海

永久輝さんが演じるアザゼルは、好奇心旺盛で調子ノリ。関西で言うところの”いらんことしぃ”で、みんなを困らせる天界一の問題児。罰として放り出された人間界で出会った女性エレナ(星空)に恋をし、『ソロモンンの指輪』にまつわる陰謀に巻き込まれた彼女を救うために悪魔に立ち向かう。

まぁ研14というキャリアからすると子供っぽくて可愛いすぎるキャラではありますが、トップお披露目の初々しい今だからこそ出来る作品という感じ。なにより本人が楽しそうに舞台を走り回っているのが良いですよね。衣装が白ということもあり透き通るような透明感。(”ルキーニの白バージョン”って最初に言ったの誰ですか?的確すぎて笑ってしまいました)。歌い出すと途端に壮大な海外ミュージカル感がでるのはさすがの実力ですね。

星空美咲さんは父親(凪七)との関係をこじらせた結果、泥棒&孤児院のあしながおじさんになるとう、一見なんじゃこりゃな設定ですが、彼女の出生の秘密こそ物語のキーになるので展開をお楽しみに。高音がキレイに出ていて永久輝さんとのハモリが美しい。どんな衣装も着こなせるスタイルの良さ、永久輝さんとの学年差を感じさせない大人っぽさも魅力だと思います。

これが退団作となった凪七瑠海さん
凄みを効かせて裏社会のドンを演じたかと思えば、娘とすれ違う不器用な父親を哀愁たっぷりに。さらには回想シーンで若き日の恋愛を自らが演じるという見せ場の連続。歌も数回あって手厚いですね。すべての所作や衣装の着こなしに男役の美学がつまっていて、それはそれは素晴らしかったです。

個性的すぎるキャラたち

悪役を一手に引き受けて大健闘したのが聖乃あすかさん
表の顔はサロンの経営者、裏の顔は世界征服を企む悪魔という役どころ。徐々に本性を表していく感じとか上手いっ!美しい人の悪役ってゾクゾクしますね。スターオーラはピカイチ、歌もさらに声が響くようになって機は熟した!つぎは2番手羽根を期待しています。

そして最後にして とても面白い役がまわってきたのが綺城ひか理さん
同期の問題児・アザゼル(永久輝)とは違って優等生のラファエル。悪態ばかりついているけれど、なんだかんだ言って親友のことをほおっておけないんですよね。本人たちの関係性を地でいくような役柄はステキな餞別。思った以上に永久輝さんとのやりとりがコミカルで、でも時々グッとくる台詞もあって97期ファンにはたまりません。

天帝や指導係という立場で天使を見守るのは美風舞良さん紫門ゆりやさんの管理職ペア。美風さんって花組にきてから毎公演メイクが洗練されてとてもキレイです。同じくどんどん垢抜けてきた一之瀬航季さんは警部役で長身にトレンチコートが映える映える。

希波らいとさん侑輝大弥さん天城れいんさんら花組期待の路線たちは、凪七さんや聖乃さんの部下を演じていて、セリフは少ないものの、表情豊かに小芝居しているのが楽しい。

娘役はというと、2番手ポジションの美羽愛さんが大活躍。
悪魔(聖乃)の右腕として天使を追い詰める可愛い小悪魔ちゃんを魅力的に演じていて、これはまたファンが増えたなと。

いまやオリジナルの方が贅沢

『エンジェリックライ』はストーリーも分かりやすいですし、男同士の友情、男女の恋愛、親子愛といった見どころも沢山あります。

だけど正直、傑作かといわれれば…
盛り上がりに欠けるので中だるみもしましたし、これで終わり!と思ってからまだあと3場面くらいあってちょっと間延び感。

とはいえ、『元禄バロックロック』と同様に、点と点が繋がる気持ちよさも、大団円の多幸感も味わえるので、宝塚ファンだけでなく、初観劇の人にもぜひ見てもらいたい作品です。【余談】おそらく初観劇だろう学生さんが終演後に「宝塚めっちゃ面白い」と絶賛していて誇らしくなりました。

当初、VISAガールの永久輝さんのお披露目が海外ミュージカルではないことにガッカリする意見も見受けられましたが、演出家不足のいまは当て書きのほうが贅沢なような。

『天界』『人間界』『悪魔界』と3チームに分かれているので、それぞれのシーンでたくさんの生徒にセリフやダンスの見せ場をふっていて、やっぱり自分に当てた役をもらえるって、われわれが想像する以上に嬉しいことなんですね。生徒たちのイキイキした舞台姿に笑顔がほころびました。

そしてこのあと観たショー『ジュビリー』が、これまた素晴らしかったので、次回の記事でたっぷり語りたいと思います。

長文、最後までお読みくださりありがとうございました。

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