昨日の雪組千秋楽をもって彩風咲奈さんがご卒業されました。
良いラストデーでしたね。
令和版『ベルサイユのばら』はこれで完成形！といえる出来でしたし、
いつも以上に神聖な空気が漂っていたフィナーレ、彩風さんの誠実さがあらわれているクラシカルな構成のサヨナラショーも素晴らしかったです。
そしてスルーすることもできたでしょうに、愛と感謝をつたえるだけの挨拶だけでなく、本音を吐き、こちらの心にチクッと痛みをあたえたところも誠実さの表れで良かったと思います。
劇団最後の本物の御曹司・彩風咲奈に思う
誰から何を学ぶか
彩風さんといえば、劇団最後の本物の御曹司。
中卒で首席入団、『あなたが誰かの夢になる』で有名な音楽学校のポスターにひとり写り、
そして新人公演5回という華々しい経歴をもつジェンヌは、今後はもう誰も現れないでしょう。
だけど御曹司というのは闇雲に主演をさせればいいというものではなく、誰から何を学ばせるかが大切なんですよね。
水夏希、音月桂、壮一帆、早霧せいな、望海風斗
ダンス、芝居、歌と、得意分野が異なるトップさんから学んだことで、その時代時代で芸の幅が広がっていきましたし、
音月さん時代のゴタゴタを経験したことも『繋いでいく美学』を意識するきっかけになったのかもしれません。
最後のDSで、いずれ（トップの）バトンを受け継ぐであろう縣千さんや華世京さんらにかけた言葉が印象的でした。
彩風「私のミッションはこれで終わらない。みんなの成長を見届けるまでが任務だから、まだまだ先は長いよ～（意訳）」
後輩たちにちょっとプレッシャーを与えつつ、さり気なく『これからも見守っているからね』感を出すところ、優しいな～。
トップ時代の作品
御曹司ということばが一人歩きする時期を耐え、努力の末にその称号にふさわしい品格のある男役となった彩風さん。
そんな彼女に劇団が用意した作品は…
漫画原作『シティハン』
和物『夢介』
洋物『ライラック』
1本物大作『蒼穹』
洋物『ボイルド』
宝塚の宝『ベルばら』
できればもう1作、本格和物が見たかったというのが本音ですが、それでもバラエティに富んだ、恵まれたラインナップだと思います。
ただ、彼女の代表作はと聞かれたら、『ODYSSEY』や『ボニクラ』など別箱の作品が思い浮かぶんですけどね。
【余談】わたしが彩風さんに心を射抜かれたのは朝月希和さんのサヨナラショー。ハンマーを振りかざす朝月さんの手を彩風さんがグッと握ってからの引き寄せキス！あれはカッコよすぎて悶絶しました。
偉大なトップスター
トップ人生は順風満帆ではなかったけれど、コロナ禍でも 昨年の事件で劇団がしんどいときも 組をまとめ、110周年を牽引してくれた功績は大きい。
発言が制限されているなかでも、なんとかこちらに思いを伝えようとしてくれる誠実なご挨拶の数々に、何度も涙しました。
最後の最後までたくさんの人に夢を与え、トップのバトンを朝美絢さんに渡し、相手役の夢白あやさんを託して任務完了！！
彩風さん、本当にお疲れ様でした。
これからは 舞台のために禁止していたというテレビも 思う存分見て楽しんでください。
彩風さんの人生がこれからもたくさんの人の愛に囲まれた幸多きものでありますように。