そりゃないよ!縣千主演『FORMOSA!』感想

フォルモサ 雪組

縣千さん東上初主演公演『FORMOSA!』観てきました。

この物語は、「私は日本人だ!」と大勢の人を騙した実在の人物(サルマナザール)の半生を、熊倉先生が肉付けして舞台化したもの。

主演と2番手が結託して詐欺を働くといえば、月組で瀬奈じゅんさんと大空祐飛さんがやった『パリの空よりも高く』のコメディが思い出されますが、フォルモサは思いのほかシリアスでした。

でもまぁ『ベアタ・ベアトリクス』と『Golden Dead Schiele』の熊倉先生ですからそうなりますよね。

雪組『FORMOSA!』感想

演出について

いいんですよ、シリアスでも。

ただ『ベアタ』では主人公が苦悩する姿に萌えましたが、さすがに同じようなタイプが3作も続くとお腹いっぱい。

しかもどんどん小難しい演劇要素が増していってるのが気になるんですよね。

【余談】咲城けいさんが演じる革命家は主人公(縣)がついた嘘の言い逃れのために作り上げたキャラクター。なのにそのキャラに縣さんが操られるシーンがあって、どういうこと??

そしてもうひとつ、ヒロインの扱い、あれ何ですか??

オープニングでストーリーテラーのように登場したあと、ずーっと出番が無い音彩さん

サルマナザール(縣)に会うためにメイドの格好をしてカフェに潜入するまではよかった。
これからどんなロマンスが広がるのかとワクワクしました。

が、けっきょく二人は恋愛関係に発展せず。

シェリルは架空の人物なので なんとでも描けたハズなのに、そりゃないよ。

別箱で主演&ヒロインをやるといろんな経験が積めますが、そのなかでも特定の相手役とガッツリ恋愛ができるというもの貴重な経験のひとつ。そのチャンスを活かしてあげてほしかった。

【余談】最近恋愛を描かない演出家が増えてきて寂しい限り。映画もドラマもベタな恋愛物は少なくなりましたし、もしかして世の中的に恋愛物のニーズが減ってきているのでしょうか。個人的には宝塚ではガッツリと理想のロマンスを描いて ”夢” と同時に ”磨き上げた男役芸&娘役芸” を見させてもらいたいと思ってるんですけどね。

で、熊倉先生、そろそろ完全オリジナル作品を書きませんか??

キャストごと感想

つづいて出演者について簡単に。

縣さんがサルマナザールとリンクするというのは同感です。
度胸があって思い切りもいい華のあるスター。だけど繊細でつねに己と向き合って努力を重ねているところなんかね。
カリスマ的存在のサルマナザールも、罪の意識に耐えきれず弱気になるジャン(サルマナザールの本名)も、どちらも魅力的に演じていて、縣さんってこんなに演技が上手だったんだと感嘆しました。で、とにかくビジュアルが良い!

注目していた縣さんと音彩さんのデュエットは、発展途上の縣さんとソロ歌唱が多かった音彩さんのハーモニーは最良とは言えませんが、シンクロ率の高いデュエットダンスは最高でした。
最近キャラ強めの役が多かった音彩さん、そろそろ王道ヒロインを見てみたいな。

華世京さんは研5にして東上2番手役。
膨大な量の台詞もスラスラと、上級生を従えてのダンスも堂々としたもの。とにかく全身から溢れるエネルギーがケタ違いでつねに目を引くんですよね。ただの相棒だけではない一癖も二癖もある人物を演じたことで役の幅が広がったと思います。いよいよ次はバウ初主演かしら。

あとはシェリルの父親でサルマナザールの良き理解者(オリバー)の久城あすさん。久城さんのあたたかくて優しいお芝居が染みる染みる。少ない台詞と歌ながら豪華な衣装を着こなし存在感を示した架空の革命家役の咲城けいさん蒼波黎也さんは最後にすべてをかっさらう天文学者ハレー役を好演。

娘役の役が少ないのが残念でしたがダンスの出番は多い。結構激しい振りなのに、みなさん足音を立てずに踊っていてビックリしました。

さて明日は、はやくも『フォルモサ』の配信が行われますね。

雪組ドラマシティ公演『フォルモサ』
配信日時・12月8日(日)16:00公演

縣さんをはじめ雪組生の熱演が、たくさんの人に届きますように。

タイトルとURLをコピーしました