朝美絢の代表作誕生!雪組「パリのアメリカ人」感想

雪組御園座公演『An American in Paris(パリのアメリカ人)』配信で観ました。

ストーリーは単純。
カフェで出会った画家志望のジェリー(朝美絢)歌手志望のアンリ(瀬央ゆりあ)音楽家志望のアダム(縣千)は意気投合。仲良くなった3人だったが、なんと彼らは同じ女性(音彩唯)を愛してしまい…

もちろん誰と誰が結ばれるかなんて最初から分かってはいるんですけど、物語が進むうちに登場人物それぞれが抱える過去が浮き彫りになるにつれ胸が苦しくてね。

これでもかと観せてくれるダンスシーンの数々に爽快感を味わいながらも、観終わったあとに ”楽しかった” だけではない いろんな感情が押し寄せる奥深い作品で見応えありました。

それにしても朝美さんが素晴らしかった。

朝美絢の魅力全開!「パリのアメリカ人」感想

朝美絢のダンス力

知っているつもりでしたが朝美さんってこんなに踊れる人だったんですね。大ナンバー2曲をぶっ通しで踊るだけでもスゴイのにひとつひとつのポーズがしっかりと決まっていて表情もステキ。ステッキなどの小物使いもカンペキですし、またさらにトップのオーラが増したように思います。

そして特出すべきはその演技力。 ”お気軽な陽キャラ青年”に見せて実は戦争のPTSDに苦しんでいるという難しい役どころを、軽すぎず重すぎず 絶妙なところでしっかりと表現していて素晴らしかったです。

個人的にハートを鷲掴みにされたのは、傷ついた過去があるからこそ自分の心に正直でもあり人の心の痛みに敏感なジュリーの内面を繊細に演じてたところ。リズ(音彩)に対してはとにかくグイグイ積極的、そして自分を愛してくれるマイロ(妃華ゆきの)に対して「君にはもっとふさわしい人がいる」と優しい最後通告。このときの朝美さんの纏う空気も滲む色気もカッコ良すぎました。

そのマイロ役の妃華さんがこれまた素晴らしかった。公演の出資者という立場でジェリーを支援。何もかも手にしているのに愛する人(ジュリー)への接し方が不器用すぎて切ない。妃華さんの何がスゴイって、彼女がしなだれかかるとそれを受け止める朝美さんの男前度がアップするんですよね。これが上級生娘役(96期)の技かと舌を巻きました。ジュリーに振られたからといってリズを逆恨みするどころか彼女を励ますなんてサバサバしたところも良かったです。

いい影響!瀬央ゆりあ&縣千

瀬央ゆりあさん演じるアンリは上流階級の御曹司。両親の期待にこたえながら生きてきた一方で歌手になる夢が諦められない。幼馴染のリズにプロポーズしたものの彼女への愛は本物か、それとも過去のトラウマがそうさせるのか…といった複雑な人物。

”良い人”をやらせたら天下一品の瀬央さんのことですから、もちろん今回も本領発揮ではあるけれど、それだけではありません。宝塚版では”匂わせ”程度で終わらせた『アンリのもうひとつの秘密(LGBT)』までしっかりと印象付けていて、またさらに役者としての幅が広がったように思います。劇中劇のショーシーンは圧巻でした。

縣千さんは戦争で足が不自由になった音楽家アダムを好演。
杖をつくことを嫌がり自分の殻に閉じこもりがちな彼が、リズ(音彩)やジュリー(朝美)たちと出会って変わっていく過程が胸アツです。

アンリに感情を爆発させるシーンで瀬央さんに思いっきり芝居をぶつける縣さん、役者として一皮むけましたね。瀬央さんから良い影響を受けているだけでなく、おふたりの信頼関係が透けて見えグッときました。そしてやはり縣さんはショースター、ダンスのカッコよさはピカイチ。

音彩唯の努力

男役ワンツースリーから愛されるヒロインのリズを演じたのは音彩唯さん
さすがはスターぞろいの105期首席なだけあって歌もダンスも芝居もパーフェクト。いつトップになってもおかしくはないどころか、もはや発表を待つだけの状態なわけですけど、”並ぶと朝美さんが大きく見える”のが良いですね。『海辺のストルーエンセ』ではあまり感じなかったので自身の実力を発揮しながら相手役をステキに見せる技術をずいぶん研究されたんでしょう。朝美さんとの相性も良かったです。

あとは、美人カフェ店員の麻花すわんさん(104)と、劇団推しで、とにかく出ずっぱりの苑利香輝さん(108)が目を引きました。

極上の音楽と華やかなダンスシーン、トキメク恋愛話しだけでなく誰もが抱える”触れられたくない過去”にまで焦点を当てた奥深い作品。

みなさん当て書きと思えるくらい役がハマっていましたし、なかでも朝美さんのジュリーは絶品!

朝美さんの代表作になったであろう『パリアメ』、見届けられて良かったです。

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