さよなら、彩みちる「人事」の厳しさを乗り越えた宝塚人生〜

月組『GUYS AND DOLLS』前楽観劇。

彩みちるさんの集大成を見届けてきました。

彩みちるの宝塚人生

99期生として入団以来、雪組時代から路線娘役として常に熱い注目を集めてきた彩さん。

彼女の最大の魅力は、愛らしいコケティッシュなキュートさだけでなく、その「役を生きる」卓越した芝居心にあります。少年から老婦人まで、まさに七変化の演技で宝塚娘役の新たな境地を切り開いてくれました。

特に忘れられないのは、「凄い子が現れた!」と伝説になった新公『星逢一夜』の泉役。その切ない芝居と、ボロ服すらも輝かせるヒロイン力は圧巻でした。

また、望海風斗さん主演の『ドン・ジュアン』(2016年)のヒロインは、彼女にとって大きなターニングポイントとなった代表作。

濃密な雪組時代を経て月組へ組替えされてからは、トップコンビを支える実力派として多彩な役を演じてきたわけですが、

路線の彩さんがおばあちゃん役!?と配役発表でビックリした『デスホリ』の老婦人もキュートで可愛かったですね。

彼女の舞台人としての実力と精神力を改めて証明した『ETERNAL VOICE』のヒロイン代役。みごとにやり遂げましたが、緊張したでしょうね。

そして最後の役にして、いちばんの当たり役となったアデレイド。

トップ娘役への道と娘役人事の厳しさ

ほかにもたくさんの役をとおして、舞台で輝く彩さんを観られたことは幸せではあったけれど、トップ娘役の座に手が届かなかったことへの残念な思いが無いと言えば嘘になります。

望海風斗さん、彩風咲奈さん、月城かなとさん、鳳月杏さん…こんなにも候補がいたのに。

彼女の実力と、娘役としての稀有な魅力を考えれば、いつ誰の相手役になっても不思議ではなかった。

特に、月城かなとさんを追うように月組へ組み替えした時の期待感!そしてそこからの落胆ったらなかったですよね。

そりゃあ宝塚の娘役人事は、トップスターとの相性、組のバランス、劇団の戦略が複雑に絡み合い、極めて厳しく予測不可能だということも承知していますし、

これが娘役人事が『水もの』と言われる所以ですが、「路線」を走り続けることのプレッシャーと、トップになることの難しさを、その一言で片付けるにはあまりにも切ない。

とまぁ、劇団への恨み節はこのくらいにして、その卓越した演技力と娘役力で多くの人を魅了し、雪組&月組の舞台を支え続けた彩さんに心からの拍手をおくりたい。

心に残るステキな舞台をたくさん観せてくださり、本当にありがとうございました。

ご卒業おめでとうございます。

新たな世界へ羽ばたいても、宝塚で培った素晴らしい表現力と、どんな役にも真摯に向き合う役者魂は必ず活かされると信じています。

これからも彩みちるさんを応援し続けます。

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