本日2025年11月16日、月組千秋楽に思いを馳せながら、『エリザベート』東宝版を観劇してまいりました。
強い!明日海りお『エリザベート』感想
まず全体として、東宝版はやはりエリザベートが主役であり、彼女の視点から描かれる物語は、良い意味で後味が悪く、胸に突き刺さるようなリアリティがありました。
特徴的なのは、浮気した夫に性病をうつされた怒り、精神病院のニセエリザベートに一切同情しないなど、現実の厳しさが伴う「容赦ない」描写。
とにかく明日海りおさんのシシィが気が強くて自分勝手でアッパレ! 弱さを見せず、一貫して自分の信念を貫き通す、鋼のような意志を持った皇后を、(観客に付度しない) 振り切った演技でお見事でした。
少女時代から晩年まで、ビジュアルの美しさ、主役のオーラ、舞台の求心力は言うまでもありません。歌も、高音の伸びはもちろん、地声と裏声の響きもそろってきて、またさらに進化した印象。
で、そんな強いエリザベートをどう扱っていいのか分からず、オロオロと戸惑う佐藤さんのフランツとの関係は、歴代にはなかった面白さ。
井上トートとの関係も、宝塚版のような『愛』や『耽美』のような夢々しさはなく、至ってドライなのが興味深かったです。ラストもふたりの表情がぜんぜん違って、いろんな解釈ができるし余韻が広がる。
東宝版の演出について
と、面白く観た東宝版でしたが、なぜにいまだにエリザベートとトート、トートとルドルフのキスがエア (宝塚式) じゃなくリアルなの??
舞台におけるリアルキスを全否定はしませんが、トートとエリザベートの愛は肉体的なものというより、魂の次元での駆け引きや共鳴。なので、どの作品よりもエアでいいと思うんですけどね。キスシーンが近づくと客席に漂うなんとも言えない緊張感、心地良いものではありませんね。
そして賛否両論ある「鏡を使った演出」は、3階席からだと、舞台上の鏡にオケピの指揮者が映り込んでしまい、集中が途切れる瞬間があったのが少し残念。
演出意図は理解できるものの、観客席の構造によっては意図せぬものが映り込んでしまうのは問題だと思います。
せり上がりのように高い舞台セットも、数日前に子役さん(子ルドルフ)が落下するという事故があったというから気が気ではありません。どうかご安全に。
元宝塚トップスターの看板
それにしても今回の『エリザベート』は何もかもスケールが違う。
豪華なキャスト、役替り公演回数、国内最高額を記録したチケット、100名以上のスタッフ…
どれを取っても日本のミュージカルの歴史を塗り替えるほどの規模なわけですけど、われわれ宝塚ファンとして嬉しいのは、そのど真ん中に明日海りおさんと望海風斗さんがいるということ。
宝塚を卒業しても、元トップスターの肩書に甘んじることなく、そこからさらに進化して「大きな舞台のタイトルロール」として輝き続けている姿は、何よりの誇りです。
明日海さんのエリザベートを見届けられて感無量。
次は大阪で見る望海風斗さんのエリザベートを楽しみにしてます!