花組全国ツアー「哀しみのコルドバ/Cool Beast!!」を観劇して、柚香さんの輝きがさらに強くなっていて圧倒されました。
(以下、完全な個人的意見です)
本当の意味でトップスターになった柚香光
下級生の時からともに過ごし勝手知ったる華さんが退団し、宙組から組替えしてきた星風まどかさんを迎えた新トップコンビお披露目公演。
組の転換期という一大事に、頼りにしたい同期の水美さんは別箱組で離ればなれになり、二番手役には2019年に雪組から組替えしてきた永久輝さん。
柚香さん、星風さん、永久輝さん。
この3人だけを見ると「いま何組を見ているの?」という感覚におちいりそうになるところですが、そこは演技力に定評のある柚香光のなせる業。
計算された自然さ
星風さんとのお芝居は一言一言セリフをていねいに発し、永久輝さんとのお芝居は『間』をとても大切に演じられ、
3人でのお芝居がこれがはじめてとは思えないほどピタッとはまり、それぞれが舞台上で役として息づいていました。
あうんの呼吸というよりは『計算された自然さ』
ただでさえ難しい柴田作品、少しの違和感も取りこぼさないために、それはもう、お稽古にお稽古を重ねられたのだとおもいます。
他組からやってきた星風さんや永久輝さんとの芝居化学反応によって、さらに人物投影力が増した柚香さんのお芝居は神がかっていましたし、その集中力はケタ違いでした。
柚香光の覚悟
「クールビースト」は、瀬戸さんの場面を永久輝さんが、水美さんの場面を聖乃さんが任され、各場面若返りました。
さらに中堅どころが水美さん率いる「銀ちゃんの恋」に出演しているので、その空いた枠に下級生が配置されています。
メンバーの入れ替えがあるなか、まん中で誰よりも大きくおどる柚香さんの姿がありました。
花組・前トップさんが「舞台で起こることは全てオレが責任をもつという気もちでやっています。」とおっしゃっていましたが、まさに柚香さんの全身からこの覚悟が伝わってきました。
充実期にむけて
- 組替えされてきた星風さんや永久輝さんから刺激をうけたこと。
- 瀬戸さんや冴月さんら上級生の退団。
- このタイミングで水美さんと離れていること。
- 中堅どころは別箱へ。引き受けた下級生の存在。
- コロナ禍で全国ツアーをするというプレッシャー。
それらを自分自身の胸中に落としこみ舞台に立つ柚香さん。
全身から発せられる輝きが前にも増して強く濃くなったのは間違いありません。
すこし孤高の香りも漂い、本当の意味でトップスターになられたんだなと感じました。
ひとまわりもふたまわりも大きくなった柚香さんが頼もしくてカッコよくて。
そんな柚香さんに必死でついていこうと、汗だくになりながら懸命におどる下級生の健気なようすに胸があつくなりました。
梅田公演にひきつづき名古屋公演をむかえる「哀しみのコルドバ」も、別箱組が合流してパワーが増す次回大劇場公演「元禄バロックロック」も、
これから充実期を迎えるであろう花組が楽しみでしかたありません。