月組バウ公演「LOVE AND ALL THAT JAZZ」千秋楽ライブ配信視聴しました。
いや~、本当にスゴかったです。(語彙力無)
風間さんはトップスターの退団公演でもおかしくない「佇まいで行間を埋め、セリフと歌が混在する難しい役」をみごと演じ切りすばらしかった。
ほとんどの生徒が一幕と二幕でまったくキャラクターの違う役を演じていたのも見どころで、月組生の芝居の底力を見せつけられました。
感想をくわしくネタバレありでお届けします。
LOVE AND ALL THAT JAZZ 全体感想
【超かんたんあらすじ】
ナチス政権下のドイツ。天才ジャズピアニストのルーカスはナチスから逃れるユダヤ人レナーテをかばう。二人は自由を求めパリへ向かうが追っ手はすぐそこまで迫っていた。
幕が開くと煌びやかなセットにピアノが一台。それを弾くルーカス(風間)。
オープニング演出のかっこよさに身震いしました。
そこからルーカスとレナーテ(きよら)の命がけの逃亡劇がはじまり、その後のドラマチックな展開にグイグイ引き込まれアッという間に一幕終わり。
(ショーで体感5分はよく聞きますが、まさかお芝居で一幕がこんなに早く感じるとは。)
逃亡劇なので最後は死ぬの?生き延びるの?とヒヤヒヤドキドキして幕間に思わずネタバレを読んでしまいました。(結末に心の準備が必要なタイプです。笑)
全体をとおしてジャズナンバーがふんだんに取り入れられています。
それが効果的な場合もあればジャズを聴かせるために芝居を削ったところもあり。
特に二幕は肝心なところが説明セリフで済まされもったいない気もしました。
ルーカスとレナーテが生き別れたその後(一幕と二幕の間の空白)をもう少し芝居でみせてくれたら。
しかし歌と踊りはとても見ごたえがあり 下級生ひとりひとりに活躍の場が与えられたのは良かったです。
お芝居もほとんどの生徒さんがキャラクターの異なる二役を演じていたのも表現の幅が広がるきっかけになったのではないでしょうか。
礼華はる・千海華蘭
礼華はるさんは音楽家を挫折した過去からくる劣等感からルーカスを執拗に追いかける少佐と、ルーカスを命がけで救おうとするユーディーの二役。
声色や佇まいで置かれる立場を明確に演じ分けていたので、しばらくこの二役が礼華さんだと分かりませんでした。すごい演技力。
千海さんは面倒見のいいジャス仲間とルーカスを敵視する大佐の二役。
あたたかさと冷酷さ180度ちがう人物をみごと演じわけて流石。
細部にまで神経がゆき届いたダンスもステキでした。
谷先生のことば
谷先生が「バウ公演は失敗を恐れず冒険してほしい」とおっしゃったそうで、だれひとり守りに入ることなく歌もダンスもお芝居もダイナミックに表現しようとしているのが画面越しにも伝わってきました。
結果、スケールの大きな大きな作品になったように思います。
風間柚乃・ルーカス
風間さんありきの 「LOVE AND ALL THAT JAZZ」
カンペキなあてがき作品ですね。
- 行間を埋める芝居
- セリフからアカペラで歌に入る高度な技術
- 真ん中で踊る求心力
- 肝のすわった立ち居振る舞い
どの瞬間の風間さんも素晴らしかったのですがとくに印象的だったのは汝鳥さんとの場面。
フリードリヒ(汝鳥)に「あなたのほほ笑みは銃を向けるより効果がある」と言わしめたほほ笑み。
難しいですよ、このほほ笑み。
素の笑顔でもだめですし、作り過ぎても不自然。
これを絶妙な加減でルーカスそのものの ”ほほ笑み” に完成させていたことが驚愕でした。
風間さんはまだ研8だとか。
レナーテとの間に流れる特別な感情をあらわすのが上手いのなんの。
キスもないし直接の愛の言葉すらないのに目線や纏う空気だけで表現してしまい、そこに色気まで出してくるんですよね。
そしてこの物語の興味深いところは、ルーカスの置かれる立場がドイツとカナダで反転するということ。
- 救う側から救われる側
- 逃す側から捕えられる側
置かれる立場が変わってもルーカスの核になる部分は一切ブレず力に屈しない。
そのあたりを本当に上手く演じてらっしゃいました。
風間さんの舞台人としてのセンスの良さや才能は知っていましたが、男役としてもここまで高い完成度で演じられるなんて。
その完成度に大きく影響しているのが歌唱力。
ラストの7分間にも及ぶ大ナンバーが話題ですが、風間さんの歌の実力を強く感じさせるのはセリフからアカペラに流れ込むとき。
この時、セリフから歌詞に変わる違和感が全くないこと。
お芝居だ、歌だ、ダンスだ、と境界をつくるのはナンセンス。風間さんはどの瞬間もルーカスなのですね。
きよら・レナーテ
きよらさんの歌の上手さは言うまでもありませんが、しっかり相手のセリフを受けて演技されていてレナーテという人物が息づいていました。お化粧は舞台ではキレイだとおもいますが映像用に少し研究されてもいいかも知れません。
二人が演じたルーカスとレナーテが舞台に息づいているので、再会したその後が気になり余韻があとをひきます。
あとがき
風間さんをはじめ月組生の熱演があまりにも素晴らしかったので熱く語ってしまいました。
これからの活躍を見届けたい生徒さんが多数あらわれ宝塚を見るたのしみが増えました。
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