雪組大劇場公演『ボーフランメル~美しすぎた男』、観劇してまいりました!
しかも本日11月6日は朝美絢さんのお誕生日、おめでとうございます。
お芝居は実在の人物を扱っているため、アドリブなしの通常運転でしたが、ショーではプロローグ終わりに組子さんたちから「HAPPY BIRTHDAY!!」という温かい掛け声があり、朝美さんの「THANK YOU〜」という返答に、客席も舞台も多幸感でいっぱいに!
特に日本のシーンで、上手で待機する瀬央ゆりあさんと華世京さんが中央の朝美さんに向かって、にこやかに手をヒラヒラさせて祝福していたのが、もう本当に微笑ましくて、この瞬間に立ち会えて良かったと思いました。
雪組「ボー・ブランメル~美しすぎた男」感想
あらすじとキャストごと感想
『ボー・ブランメル』はフランク・ワイルドホーン氏のドラマティックな楽曲に乗せて、シリアスとコメディ、メロドラマがめまぐるしく押し寄せる偶像劇です。
爽快なサクセスストーリーや単純なラブロマンスを期待すると「あれれ?」となるかもしれませんが、個人的には主人公とヒロインが最後に選ぶ「美学」がぶっ刺さり、いまだに余韻から抜け出せません!
以下、ネタバレありの感想です。読み進めご留意ください。
物語は、ブランメルが社交界を駆け上がる原動力となった「父の呪縛」から始まります。
幕開け、飲んだくれで横暴な父ウィリアム(諏訪)が、幼いブランメル(愛陽)に「身分の壁を超えろ」と暴力を振るう場面は、モノトーンの世界観と相まってスゴイ緊迫感。諏訪さんのワイルドホーン氏提供の大ナンバー熱唱、素晴らしかったです。
【小声】ちなみにワイルドホーン氏のナンバーがてんこ盛り過ぎて、本来ならセリフのところも歌になっているため、わりと重要なことを歌詞にしているのでお聴き逃しなく。
平民の出自ながら、朝美絢さん演じるブランメルが「洗練されたセンス」と「話術」という武器を手に、社交界のトップまで駆け上がっていく姿は痛快。そのキザで高慢で魅力的な態度は、もはや芸術の域です。
ブランメルがのし上がる上で欠かせないのが、瀬央ゆりあさん演じる王様との関係性。お人好しで金遣いの荒い王様に、媚びることなくファッションにダメ出しをするブランメル。同期のコミカルなやり取りが、舞台前半のオアシスでした。だけど後半が切ないのよ。
そして、脇を固めるキャストの演技力にも引き込まれました。
- 縣千さん(ピアポント):貧乏時代を知る友人として、ブランメルの成功に「賭ける」という冷徹でつかみどころのない貴族を、後味悪く好演(もちろん褒めてます)。ロック調のナンバーを熱量たっぷりに歌い上げる姿には、スターとしての頼もしさがさらに増しましたように思います。
- 音彩唯さん(キャロライン皇太子妃):結婚翌日から夫に放置され怒り心頭の妻を見事に演じ切り、瀬央(王様)に食ってかかる迫力はさすが。最後に勝つ役が似合うな~。輪っかドレスの音彩さんは人形みたいに美しい。
- 華純沙那さん(デボンシア侯爵夫人):個人的MVP級の活躍でした!ハリエットを問い詰める場面での駆け引きはゾクゾクするほど上手く、王に愛された過去のプライドで生きる女性の「ずるさ」と「哀れさ」を完璧に表現していました。
- 華世京さん:ブランメルから託されたハリエットをサポートする役どころで、出番は少ないものの、ラストを飾る重要な存在感を放っていました。で、回想シーンでは何故にウサギの被り物?
4. 結末の神演出:自己犠牲の愛と「去り際の美」
そして何と言っても、この物語の真骨頂は結末。
愛するかつての恋人、ハリエット(夢白あや)を守るため、自ら国外追放の道を選んだブランメルが、最後に劇場に現れるシーン。下手から登場する純白の衣装に赤バラの朝美さんの神々しさ、かつての友であり、自身が追放したブランメルとすれ違う瀬央皇太子の複雑な表情、どちらも必見です。
そして、極めつけはブランメルが去った後、ハリエットさんが真っ赤なバラの花束を持って銀橋をゆっくりと渡って去っていくという、退団を控えた夢白さんへ、これ以上ない最高の場面を用意してくれた生田先生に心から拍手!
どうせやるなら、ふたりの過去をもう少し丁寧に描いてほしかった感は否めませんが、自己犠牲で愛を守り去っていく男と、そんな男の決断を受け入れ留まる女。ラストに余韻があって、私は好きな作品ですね。
これからもっともっと深まるであろう『ボー・ブランメル』、次回の観劇を心待ちにしています!
そして朝美絢さん、あらためてお誕生日おめでとうございます。ますますのご活躍たのしみにしています。