先に花組博多座公演の感想を記しましたが↓
じつはすでに雪組公演を観劇済みで、朝美絢さんのトップ大羽根、瀬央ゆりあさんの2番手羽根に大感動。
以下、「ロビン/オーバチュア」の感想をネタバレありで記しますので読み進めご留意ください。
斎藤ワールド全開「ROBIN THE HERO」
賛否両論のお披露目公演
「何回でも観たい楽しすぎるお芝居！」「大人っぽいステキなショー」という意見もあれば、「演出家の悪ふざけ！」、「お披露目なのに男役群舞もデュエダンも無しなの最悪！」とか…
お芝居ショーともに、こんなに賛否両論ある公演も珍しい。
ということで、かなりハードル低めで観に行ったのがよかったのか、個人的には両作とも楽しめました。
がしかし、お芝居は『ロビン・フット』の物語なので分かりやすいはずが、とにかく人が多くて本筋を見失いそうになることしばしば。
まぁそれもこれもサイトー先生の組子たちへの愛情の深さゆえなんですよね。
この作品の評価が分かれることになった「ウルトラソウルッ！」のおふざけ（催眠術）シーンの主要人物は組替えが決まっている愛すみれさんですから。
同じくこれがラスト雪組になる叶ゆうりさんにも主人公の父親という見せ場のある役がふられていましたし、退団の久城あすさんもコメディ担当で新境地。
悪い現王の透真かずきさん、前王の側近諏訪さきさんら男役中堅どころはもちろん、ヒロインの侍女杏野このみさん、主人公のキーパーソン妃華ゆきのさん、そしてロビンの仲間音彩唯さん＆華純沙那さんに5人の精霊たちと、つねに舞台は大渋滞。
先生は朝美さんのお披露目をみんなで盛り上げたかったんでしょうね。
『ひとりでも多くの生徒に役をつけてあげたい、新生雪組の士気を上げたい！』という気持ちが伝わってきました。
こんな朝美絢が見たかった
男女が入れ替わるシーンは、朝美さんが内股で女言葉をしゃべり、夢白さんが股を開いて男言葉で啖呵を切るという面白いシーンなんですが、正直、そこに時間を割くよりもロビンの成長過程をもう少し丁寧に描いてもよかったのにと思わなくもありません。
が、これも「朝美絢のいろんな魅力を見せたい」という先生の愛情なんですよね。
だってこのシーン、ふたりの魂が本当に入れ替わったかのような見事なお芝居ですから。そりゃあ他のシーンをカットしてでも見せたいわな。
その他にもヘーゼルナッツをほおばる可愛い朝美さん、マスクをつけても美しさが際立つ朝美さん、弓を引く姿がカッコいい朝美さん、イケボで愛を囁くステキな朝美さん。衣装替えも多く歌もたっぷり。
同期の瀬央ゆりあさんとの絡みが少ないのだけが残念ではありますが、サイトー先生による『こんな朝美絢が見たかった』がつまったファン必見の作品だと思います。
ショーは三木先生って朝美さんへの期待がすごいんだな～という印象。
朝美絢への期待の表れ「オーバチュア」
永久輝せあさんの『ジュビリー』、鳳月杏さんの『フェニックス・ライジング』など、これぞお披露目という豪華で華やかなショーを観たあとだと、男役群舞なし＆デュエダン無しのショーに物足りなさを感じたのは事実。
そしておそらくいちばんの盛り上がりを期待して作られた『振付』の場面も、会場の戸惑いがキャストに伝わってしまい申し訳ないレベルなので なんとかならんのかと。
だけどベテランの先生がここまで挑戦するほどセンターに立つ朝美さんへの期待がすごいんですね。
朝美さんのスキャットで始まり朝美さんのソロで終わるというのもお披露目では異例の演出ですから、お披露目にして代表作をという意気込みを感じました。
先生が初めてみた雪組は汀夏子さんと麻実れいさんの時代なんだとか。
先生の中で、いまでも語り継がれるレジェントなお二人と朝美さんがかぶるものがあるのでしょう。
だからこそ『朝美絢トップ伝説』の始まりとして、挑戦的だけど往年の雪組の懐かしさも感じるショーを作ったのかなと。
ファンだけでなく演出家にも愛される朝美絢さん。大羽根を背負った姿はとても美しく頼もしい。
千秋楽までケガのないよう駆け抜けてほしいと思います。