本日の雪組大千秋楽をもって、トップ娘役・夢白あやさんが宝塚をご卒業されました。
カラッと明るく、自己プロデュース能力に長けた彼女の、あまりに鮮やかな最後の姿に感動をおぼえるとともに、この「ゴール」に辿り着くまでの、けっして順風満帆ではない道のりに思いを馳せてみました。
波乱のシンデレラストーリー
夢白あやさんの物語は、2017年の入団直後、配属先の宙組でいきなり急展開を迎えます。
『神々の土地』で研1にして新人公演の2番手役を担い、初詣ポスターモデルに起用。
研2で『異人たちのルネサンス』新公初ヒロイン。当時、その早すぎる抜擢に驚き、時には物議を醸したこともありました。
がしかし、彼女には「本当に研1?」と疑いたくなるほどの大人びた美貌と、動じない舞台度胸で、周囲の憶測を実力でねじ伏せるチカラが。
その『推され具合』と『輝き』ゆえ、だれもが疑わなかった早期トップ就任でしたが、2回目の新公&バウ初ヒロインを経て、まさかの組替え!!
雪組への組替えと「役者」への覚醒
ひとり目の相手役・彩風咲奈
2020年の雪組への組替え。これが彼女の運命を大きく変えました。ダイナミックな宙組から、芝居の熱量が高い雪組へ。
『心中・恋の大和路』の梅川で見せた、しっとりとした和物の情緒。一方で『ボニー&クライド』では宝塚のトップ娘役らしからぬ悪女を好演。
この時期、彼女は「どんな色の役にも染まれるけど、芯にある自分の個性は絶対に消さない」という、自我を確立したように思います。
だからこそ、これ以降、彼女が演じる役はどれも本当に魅力的。
彩風咲奈さんとの代表作は『ボニー&クライド』と『ベルサイユのばら』でしょうか。
おふたりのスタイリッシュな並びや、体当たりでぶつかる一生懸命な夢白さんを抜群の包容力で受け止める彩風さん!という、互いの魅力を引き出す関係性も良かったです。
ふたり目の相手役・朝美絢
そして、ふたり目の相手役・朝美絢さんとは、その圧倒的美の並びはもちろん、お互いを尊重している関係性に好感が持てました。
作品では、ユンセリ(『愛の不時着』)や、マリアン(『ロビン』)という自立したヒロインを、まさに「水を得た魚」のようにイキイキと演じていたのが印象的。
通常、娘役は「寄り添う美しさ」を求められがちですが、夢白さんは「型にとらわれず役そのものとして生きる力」が極めて強く、それを嫌味なくサラッとやってのけるのが彼女の真骨頂。
後輩たちからは「ねえさん」と慕われ、Graphやポートレートでは『可愛さ』よりも『カッコよさ』に重点を置いていた彼女が、サヨナラショーのラストでユン・セリのタイトなミニスカート姿で登場。
しめやかに去るのではなく、弾ける笑顔で、自立した現代的なヒロイン像を示して去っていくのが、彼女らしいなと。
最後まで「最高のパートナー」として朝美さんと肩を並べ、あの伝説の「おでこツン」に繋がるサバサバとした潔さ。これこそが「夢白流」の娘役の美学なんでしょうね。アッパレです。
宝塚の娘役という概念を「守られる存在」から「共に戦う存在」へとアップデートした夢白さん。
その自立した姿は、多くの娘役たちの希望になったでしょうし、なりたい自分になるために努力し続ける姿は、音彩唯さんや華純沙菜さんといった次世代の雪組生たちにしっかりと受け継がれていくことでしょう。
夢白さん、ご卒業おめでとうございます。これからの人生も心から応援しています!