ただいま東京遠征中。
本日3月28日、星組『RRR/ヴィオレトピア』を見終わりロビーへと向かう最中、「宙組のパワハラ認めたらしい!いま会見中!」という声が聞こえてきて、周囲がザワザワ。
劇場を出てニュースをチェックすると、まず亡くなられた生徒さんのお母様のことばが目に留まりました。
宙組問題ひと区切り
ご遺族の心情
『今更ながら、2年半前にヘアアイロンによる火傷があった時に泣き寝入りせず、声を上げれば良かった、昨年2月に劇団がヘアアイロンによる火傷の事実を「事実無根」と発表した時に抗議すれば良かったと、後悔してもしきれません。
娘は決して弱かったわけでも、我慢が足りなかったわけでもありません。過酷な労働環境と、酷いパワハラの中でも、全力で、笑顔で舞台に立っていました。強く生きていました。私たちはそんな娘を誇りに思っています。
娘の尊厳を守りたい一心で、今日まできました。事実を訴え続けた結果、当初は過重労働のみを認め、一切パワハラは無かったと主張された劇団が、多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました。言葉では言い表せないたくさんの複雑な想いがあります。娘に会いたい、生きていてほしかったです。
最後になりましたが、娘にお心を寄せてくださった方々に感謝を申し上げます』
想像を絶する悲しみや悔しさを抱えながら、長期に及ぶ闘い。
ご遺族の心情を思うと、合意に至ったからといって単純に良かったという気持ちにはなれません。
ただ、ご遺族側の代理人がおっしゃるように一区切りついたのは事実。
双方が納得して合意締結したのなら、いち宝塚ファンの私としてはそれを受けとめるのみです。
悪意のあるなしの問題?
しかし、双方の会見を見る限り、再発防止の観点でいうと劇団の対応には疑問が残ります。
というのも、とにかく劇団側は「パワハラをした上級生は悪くない」の一点張り。
「(パワハラとされる行為)に悪意があったわけではない。悪意がなくてもパワハラにあたることを教育できなかった劇団が悪い」と。
集団でひとりを長時間叱責する行為に悪意がないと劇団が本気で思っているのなら、いま下級生は絶望しているでしょうね。
現体制のまま年内に公演を再開させたいと公言していますし、やはり公演ありきでパワハラ上級生をかばうのかと。
しかもパワハラ加害者10名のうち、謝罪文を提出したのは6名に留まり、ヘアアイロンの上級生は「間に合わなかった」という理由で現時点で未提出とのこと。
それで良いの?
(劇団の言う『悪意』がなかったとしても)パワハラを認めたのであれば、合意当日までに謝罪するのが、せめてもの誠意だと思うのですが。それすら出来ないって…
劇団幹部たちも誰も責任を取ることなく、今後、女性幹部を入れる様子もなし。
このままの顔ぶれで、ご遺族側の弁護士が指摘した劇団の一番の問題である「生徒間における縦社会」という複雑な問題を、どこまで改善できるのか甚だ疑問です。
再発防止に努めると言われても
さらに言うと、再発防止の取り組みとして、稽古場入館時間の管理の徹底(4月以降)、匿名アンケートや意見箱設置とあるけれど、
正直、あれから半年が経とうとしているのに、まだ実施されていない事項があることに驚きました。
けっきょく最後まで第三者委員会を立ち上げなかったことも、最初は否定していたパワハラを認めるに至った経緯の説明もナシ。
これで再発防止に努めますと言われても…
そして、雪組大劇場から新人公演を復活させるにあたり、稽古期間の延長により従来よりも1週間遅らせての上演に、
110期生は1年間の組まわりを行い、組配属はその後に決定って…
今後の予定については、やたらと饒舌。
だけどこの案じゃあ、生徒の負担が軽減されるのか、逆に増大するのか分からない。
ご遺族側の弁護士が苦言を呈した『雇用問題』について、劇団が詳しく言及しなかったことも気になりました。
6年目から雇用形態を変更するならば、それ相応の契約の見直しが必要だと思います。
でなければフリーランスでありながら劇団のルールに縛られ、搾取しつづけられる現状は変わらないかと。
とまぁ、今はまだ劇団がなにを言っても簡単に信用することができないのが苦しいところ。
ですが、いちファンとして、懸命に頑張っているジェンヌさんのためにも、劇団が良い方向に進んで行けるよう、これからも変わらず見守るつもりではいます。
ひっそりと消えた名前に思う
本日、劇団公式サイトからひっそりと彼女の名前が消えました。
偶然にしては何というか、じつは今夜、宝塚大劇場前(武庫川)に『きづな』という花火が上がったそうです。あのマンションの目の前で。
宙組『パガド』大劇場初日、彼女の最後の舞台姿を見た者として、あの素晴らしい歌声やお芝居、ダンス、チャーミングな笑顔を忘れません。
心よりご冥福をお祈り申しあげます。