新規ファン獲得に成功したのはいいけれど…花組「悪魔城ドラキュラ/愛, Love Revue!」

ぶじに千秋楽を迎えた花組大劇場公演。

宝塚歌劇では珍しく一般でチケットが購入できたこともあり、原作ファンや海外の人を含めた、いわゆる初めて宝塚を観る『ご新規さん』が多い公演だったように思います。

ご新規獲得成功!「悪魔城ドラキュラ」にみる問題点

興味深い原作ファンの感想とツボ

ゲームファンの感想として、まずはキャストたちのビジュアル再現度に驚かれたよう。
そしていたるところで散りばめられたゲーム音楽や、アルカード部屋の装飾、リヒター(聖乃あすか)のムチ使い、天使(彩葉ゆめ)が声を裏返して歌うなど、原作へのリスペクトを評価してくださっていますね。

なかでも原作ファンに大好評なのが、アルカードがマリアの話しを聞いているときに後ろ向きでアーモンドを食べているシーン。(これ知らないと見逃しますので要チェック)

べつに前向きで食べてもいいようなもんですけど、シリアスな場面でトップスターが口をモグモグさせながらヒロインの話しを聞くのって、そのキャラクターを知っていないと違和感がありますもんね。
宝塚ファンに配慮しつつ原作ファンの心もくすぐりたいという先生の絶妙なところをついた演出に唸りました。

浸透していない?1幕お芝居&2幕ショー

嬉しいのは、ご新規さんたちが『愛, Love Revue!』も楽しんでくださったことです。

「華やかな衣装と豪華なセット、まばゆいライトに洗練されたダンスと豊かな歌声、これぞ宝塚!を浴びて幸せ」とか、「2回目はレビューを目的で見にいったほどハマりました!」とか嬉しい感想がたくさん。

ところが一方で、ショーの存在を知らずに1幕で帰ってしまった人がいたというのも事実。

SNSでも「悪魔城で大満足して帰ったんだけど、そのあとショーがあったの知らなかった」という投稿を目にして愕然としました。

わたしが実際に遭遇したのは、まだ初日が開けて間もない公演の悪魔城終わり、「思ったより早く終わったからどっかでお茶しよ~」と帰る用意を始めるご新規さんたち。

それを聞いた隣の人が「もしお時間あればこのあとにショーもありますので観ていってくださいね。華やかで楽しいですよ」と声をかけていて、「えっ、知らなかった、ありがとうございます」と。

結果、彼女たちはとても喜んで帰って行かれましたが、宝塚ではあたりまえの『1幕お芝居&2幕ショー』も、世間の認知度はまだまだ低いのかもしれません。

こんな残念なことを防ぐためにも、劇場スタッフによる案内アナウンスを流すなど工夫が必要だと思いました。

そしてご新規さんの意見で興味深かったのは…

タカラジェンヌの愛称のややこしさ

「タカラジェンヌの呼び方いっぱいあってややこしい」でした。

あはは、これはたしかにそうですね。

主演のアルカードのことを調べたいのに、アルカードではほとんど検索にひっかからず、『永久輝さん、ひとこ』ですし、リヒターは『聖乃さん、あすか、ほのか』なんですから。なかでもドラキュラ伯爵の輝月ゆうまさんが『まゆぽん』なことに ”ぽん” はどこから?とおどろきが大きいよう。笑

しかもショーの感想はとくに愛称でアップすることが多いですから、ご新規さんにとってはもうチンプンカンプンでしょうね。これを難しいと敬遠せず引き続き宝塚に興味を持ってくれたら嬉しいです。

もうひとつ気になったのは、チケットに余裕がある公演なのに劇場でチケットが買えないという点です。

せっかく取り込んだ新規客を手放さないためにも、観劇後にその足でチケットカウンターに言って座席を選んで購入できるシステムを復活させてほしいものです。

お芝居ショーともにハマって通い詰めた花組公演。

原作ファンを唸らせ、ご新規さんを魅了する花組生を誇らしく思うとともに、いまの永久輝さんの使われ方が 暁千星さんがやってくる前の礼真琴さんの酷使っぷりに似ているものがありヒヤヒヤ…

輝月さんがタカニューで「食事に行くなら永久輝さん。彼女のパワーと責任感にありがとうという気持ちと尊敬の念でいっぱい。元気になるものを食べてもらいたい」とおっしゃっていたとおり、東京に向けて元気になるものを食べて英気を養ってもらいたいと思います。

どうか永久輝さんをはじめ花組&専科の皆さんが東京公演もケガなくぶじに完走できますように。

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