本日3月1日、『エリザベートガラコンサート16’宙組バージョン』梅芸公演を観てきました。
ガラコンは、『◯年バージョン』といいながら出演者や配役に忖度が見えるのが引っかかって、正直、積極的にチケット取りに奔走することはないのですが、集客に苦戦している回もあるようなので救済がてら…
と、気軽に観に行ったら、出演者のみなさんの現役時代の遥か上をいくクオリティの高いパフォーマンスにひれ伏して帰ってきたというわけです。
ガラコン宙組バージョン
全体感想
5年前も観たのでそりゃあ知ってましたよ。コンサートとはいえ『しっかりしたお値段(←明日海りお語録)』なんですから、単なる同窓会的なイベントではないことを。
しかしまぁ、さらにガチ度がアップ!ダンスシーンとフィナーレがないこと意外は、ほぼ本公演と同じ構成に膨大な曲数。オーケストラの配置やライティングも凝っています。
今回のキャストは、発表当時『闇が広がる』と物議を醸した組み合わせ。
真風涼帆さんのトートに美園さくらさんのシシィ、そして北翔海莉さんのフランツに愛月ひかるさんのルキーニ……。
なぜ当時フランツだった真風さんがトートで、月組の美園さんが宙組版でシシィなの?って…いろいろあるんでしょう。もうツッコむのはやめますね。
各々の存在感と積み重ねてきたキャリア、私生活での経験を経た人間的深みが重なったり重ならなかったり…。個性がぶつかり合うからこそ面白い3時間、ずっと魅了されっぱなしでした。
出演者感想
トート閣下を演じた真風涼帆さん。
まず、劇場を狭く感じさせるその存在感に圧倒されました。産後すぐとは到底思えない、現役時代さながらのシャープなフェイスライン。高いヒールを履きこなし、180cmを優に超える等身バランスで舞台に立つ姿は、まさに唯一無二のスター。
そして驚いたのはその歌声。現役時代の独特なクセが抜け、より真っ直ぐに、深く響く低音。黒髪のウィッグが彼女の都会的な美しさを引き立て、冷徹ながらもシシィへの執着に燃えるトートを、かつてない説得力で魅せてくれました。
エリザベート役の美園さくらさん。
彼女の持ち味である、どこか周囲と「混じり合わない」独特の透明感が、自由を求めるシシィの孤独に見事にリンク。最高難度の『私だけに』をこれほど軽やかに、かつ情緒豊かに歌いきる姿にスゴイ!と感嘆するとともに、久々の『さくら節』を懐かしく思ったり。
フランツ役の北翔海莉さん。
「安心と信頼の北翔海莉」の歌唱力は言わずもがな。困った時の八の字眉毛、『夜のボート』での拳を握りしめる手の震えなど、マイクを持ちながらでもそれを感じさせない深いお芝居に引き込まれました。カテコの『ロイヤルお手振り』(←指を揃えてゆっくり左右にゆらゆら)は微笑ましかったです。
そしてルキーニ役の愛月ひかるさん。
愛月さんのルキーニといえば、現役時代に本人、ファンともに感じたであろう「もっとやれたはず」という悔しさ。その「忘れ物」を取りに行くような情熱が、今回のルキーニにはありました。滑舌も良く、客席を巻き込んでのアドリブも舌好調!キッチュでも歌で会場を手握していて、お見事でした。
純矢ちとせさんの重厚なゾフィーに、現役参加の悠真倫さん(マックス)の安定感。美穂圭子さん(マダムヴォルフ)はスカートからのぞくガーターベルト姿が色っぽくてドキドキ。小桜ほのかさんがヴィンディッシュ嬢をやりすぎず上品にまとめていて良かったです。
そしてなんといってもこのガラコンのクオリティを底上げしているのは、アンサンブルという名の「プロフェッショナル集団」でしょう。
光月るうさん、寿つかささん、緒月遠麻さん、綺城ひか理さんらが控える贅沢な世界観。さらに和海しょうさんや夏樹れいさんといった「歌うま」の猛者たちが揃うことで、コーラスの厚みが恐ろしいことに!白妙なつさん、晴音アキさんら娘役らの活躍。宝塚特有のあの気品と姿勢の良さ。卒業してなお、宝塚で培った基礎がどれほど強固なものかを、彼女たちの背中が語っていました。
キャスティングの闇
近年はOGたちの活躍が目覚ましいですね。今回のガラコンでお、メインキャストだけでなく一人ひとりが自立したアーティストとして輝いていました。
アニバーサリー版ゆえの衣装替えの少なさなど、制約があるなかでも「芝居の力」で観客をエリザベートの世界へ引きずり込む力。これは、宝塚を愛し、芸を磨き続けてきた卒業生たちにしか成し得ない業。本当に素晴らしかったですね。
ガラコンのキャスティングの闇は広がったままですが、35周年、40周年……と、これからもこの伝説が語り継がれていくことを願って止みません。
とりあえず、チケット争奪戦に参加しなかった自分を呪うとともに、配信を視聴して他バージョンのガラコンも堪能したいと思います。