花組お正月公演『うたかたの恋/ENCHANTEMENT』観劇してきました。
演目が発表されたとき「お正月公演に不倫心中物?」と疑問を感じたのですが、観劇して納得。
宝塚の伝統作と洗練された華やかなレビュー。
どちらも『宝塚を観た』と実感できる美しい世界観で、バランスの良い公演だと思います。
『うたかたの恋』感想
柚香さんと星風さん
「明けましておめでとうございます」のアナウンスで始まりましたが
柚香さんの声が完全に悲劇へと向かう『ルドルフ』だったため、おめでたい感じは一切せず。笑
アナウンスから『うたかたの恋』のせつない世界が始まっていました。
幕が開くと赤い布が敷き詰められた大階段に白軍服の柚香さんと純白ドレスの星風さんの姿。
ミラーボールの光の中で主題歌を歌う二人が、この世のものとは思えないほど美しくて息を飲みました。
柚香さんがルドルフを演じるのは2回目。
2014年『エリザベート』で演じたルドルフ像をそのまま膨らませ、まるでトートに操られているかのような危うさがただよう役作り。
柚香さんが演じる人間味あふれる『やさぐれルドルフ』は、歴代とはまったく印象が違いました。
星風さんのマリーは、ピュアで健気でとびきり可愛くて。
『フィレンツェに燃える』のパメラのような大人っぽい役も似合いますが、恋する少女も絶品です。
ルドルフとマリーのくすぐったいシーンは短くカットされ見やすくなりましたが、個人的にはちょっぴり残念なような…
小柳先生、思い切りましたね。
水美さんと永久輝さん
水美さんのジャンは、ルドルフとは対照的に恋も人生も謳歌している人物として描かれ、妻役の星空さんと仲睦まじい様子はこの物語の癒しです。
水美さんの見せ場は、嫉妬に狂ったルドルフの妻(春妃)からマリーを守るダンスシーンでしょう。ただただカッコ良かったです。
永久輝さん演じるフェルディナンド大公は、仲の良いルドルフを逮捕しなければならない辛い立場。
ルドルフを逃がそうとするラストのセリフ。
そこに至るまでの過程が、少ない出番ながらしっかり伝わるのは流石です。
しかし『フィレンツェに燃える』に引き続き辛抱役ですね。
正直感想
『うたかたの恋』はトップコンビの魅力を堪能できる作品ですし、下級生が『宝塚古典』を学ばないといけないのも分かります。
ですが、小柳先生の新演出で華やかさと人物像に背景が加わったとはいえ
令和の時代に大劇場でやるには内容が薄く、役もナンバーも限られているため、少しもったいないというのが正直な感想です。
ENCHANTEMENTー華麗なる香水(パルファン)-』
野口先生の遊び心
野口先生なので何かあるだろうと思っていましたが、やはり『名前を使った遊び』が散りばめられていました。
シャネル風の香水瓶に『MADOKA』の文字。
男役さんがもつ香水瓶マイクをよく見てみると…
水美→AQUA・永久輝→SEA
聖乃→SAINT・一之瀬→FLOWER
太鳳→TAO・希波→LIGET
ぜひオペラで確認してみてください。
マリリンモンローに扮した星風さんのスカートに風がなびく演出は『七年目の浮気』の再現で、客席からクスッと笑いが起こっていました。
柚香さんと水美さん
この公演から最前列が解禁され、銀橋から最前列のお客さんに特大ウインクを放つ柚香さん。
少しのけ反るお客さんを見て嬉しそうでした。
専科に異動する水美さんの見せ場も多く
銀橋で柚香さんと二人だけでキザに決めるシーンは『これぞ花男!』と胸に込み上げるものがあります。
扇の振り付けシーン
「さぁ、みなさんもご一緒に!」
柚香さんの掛け声で扇を持った振り付けがスタート。
花組のみなさんが客席を見てくださるので、ドキドキしながら参加しました。
簡単な振りなので客席もそろっていたように思います。
香水のかおりが時間とともに変化するように、ショーの内容がどんどん濃厚になっていきます。
リフト対決再び?
リフト対決再び?と思わせるような演出があり、水美さんと柚香さんが星風さんを順番にリフトして大きな拍手が沸きました。
リフトの是非が問われていますが
息の合った美しいリフトは極められた芸の一つとして心揺さぶるほどの感動があるのは確かです。
柚香さんも水美さんもリフトされる星風さんも素晴らしかった。
その他みどころ
聖乃さんの女装もみどころの一つ。
『スカピン』のマルグリットを思わせるようなゴージャスな赤のドレスが良くお似合いで、横顔の美しさが際立っていました。
ダルマ姿の希波さん。足の長いこと長いこと。
デュエダンの影ソロは龍季さん。
エトワールの星空さんは堂々としたもの。
このショーは、オーソドックスで万人ウケするショーだと思います。
柚香さんと星風さんの息の合ったダンスを楽しめると同時に
『ショースター水美舞斗』を堪能できるショーでもあり、野口先生の愛情を感じました。
劇場内のお店も活気があふれ、お正月から大変な盛り上がりを見せる花組公演。
新人公演も含め、ぶじに1月30日の千秋楽まで完走できますように。