再開に賛否両論あるなか、特別公演と銘打って80分のショーのみという異例の公演となった『Le Grand Escalier』。
途中、3番手の瑠風輝さんの長期休演という心配なできごともありましたが、代役でみごとのりきり、全員元気に大千秋楽を迎えました。
宙組「ル・グラン・エスカリエ」大千秋楽に思う
ムラとの比較
ムラで生観劇したのち東京の大千秋楽を配信で観たのですが、ずいぶん印象が違いました。
というのもムラの初日ちかくでは芹香さんのひきつった笑顔や、春乃さんの’’元気に見せなくっちゃ感’’がありありと伝わって、「パッショネーー!!」すら客席に緊張が走っていたんです。
それが本日の大千秋楽では、トップコンビから下級生にいたるまで、舞台に立つ喜びと完走できた自信が全身から溢れ出ていて頼もしいのなんのって。
なのでムラで感じた『タカラジェンヌによる宝塚名曲カラオケショー』という陳腐なイメージは払拭され、
路線が全員歌えるという強みも相まって、どの曲も心に染み入りました。
キャスト別感想
とくに休演から復帰した瑠風さんの『まことの愛』は素晴らしかったですね。
歌の上手さだけでなく男役としての佇まいが極まっていて、2回目の東上では渋い役が見たいな~なんて気の早いことを思ってしまいました。
で、鷹翔さん、風色さん、亜音さんの眩しいこと!
これだけのスターが活躍の場を欲しているのに「当面のあいだ組替えの予定はありません」って正気ですか??飼い殺ししたら許さんよ。
激ヤセが心配された天彩さんも少しふっくらして表情にも『素』が見えてホッとしました。
バウヒロインが決まった山吹さんは勢いのあるジェンヌ特有の発光感。歌もうまくなりましたね。
トップ娘役空位の罪
MVPはもちろん春乃さんなわけですけど、
ムラではトップというより、ふとしたときにスッと引いてしまうコーラス感が気になりましたが、どの瞬間も真ん中にふさわしい押し出しの強い歌い方に変わっていて気持ちよかったです。
ときどき芹香さんを包み込むような余裕もあって、研9娘役の実力と経験は伊達じゃない!
ほんと、抜擢されなかった人で素晴らしい人材ってたくさんいるんだろうな。
そう思うと星組の次期トップ娘役空位にしておくのは大罪だなと。
そして桜木さんですよ。
ムラのときは場を盛り上げようと大声で歌い上げる姿に胸が熱くなりましたが、東京では自信がついてはっちゃける下級生とのバランスをみて落ち着いた歌い方に。
そのほかにも随所に気遣いがみられ、宙組はこの人がいたからここまで来られたんだろうなと思わせられる安心感。
またもや同期のトップ就任をお祝いする立場になったわけですけど、公演再開で桜木さん自身の『その時』に一歩近づいたのは間違いないかと。
芹香斗亜と宙組の今後
芹香さん、苦しい状況のなか笑顔を絶やさずトップとしてやるべきことをやり遂げましたね。
実力派ぞろいの宙組においても、やはり芹香さんの舞台技術や見せ方は抜きん出ていると思います。
ごあいさつもほんの少しだけ笑いを交え、すこしだけ『らしさ』も出せるようになりました。
とにもかくにも大きな一歩を踏み出した宙組。
公演が再開されたとはいえ次の全国ツアーは明らかに開催場所が不自然ですし、まだまだ茨の道は続きそうです。
だけどこれからはただひたすらに走り抜けるだけですね。
次回別箱、トップコンビの全国ツアーも風色さんのバウも楽しみにしています。