月組大劇場公演「今夜ロマンス劇場で/FULL SWING!」観劇しました。
(B席サブセンター)
本記事では「今夜ロマンス劇場で」の感想を
ネタバレありでお届けいたします。
今夜ロマンス劇場で 感想
宝塚版「今夜ロマンス劇場で」は、
さすが芝居の月組、キャラ立ちした組子たちのチームプレーが優秀で見ごたえある作品です。
主人公は絶対的なヒーローではなく普通のマジメ青年なので、月城さんはスターオーラを封印し、受け身の芝居に徹しています。
インタビューでも「普通が難しい」とおっしゃっていましたね。
そこで月城さん(健司)を振り回す濃いキャラクターたちの出番です。
その中でも現実世界代表の鳳月さん(俊藤)と、
ファンタジー世界代表の暁さん(大蛇丸)の役作りは最高に魅力的でした。
鳳月杏・俊籐龍之介
鳳月さん演じる俊藤は泣く子も黙る大スター。
しかし素顔は天然炸裂のナルシスト。
撮影中ダイナマイトで大怪我をしても、
キザりながら「おかげで人生観が変わったよ~。あはは!」と、どこまでもプラス思考な発言に大笑いしました。
途中から鳳月さんが登場するだけで笑いが起こり、何かやってくれるだろうという客席の期待感が劇場に充満。
その雰囲気を楽しむかのように鳳月さんがイキイキと”大スター”を演じていて、見ていて気持ちよかったです。
スーツから連獅子まで、登場人物のなかで一番豪華な衣装を次々と着こなす姿もさすがです。!
そして面白いだけではなく、仕事で悩む健司に気づきを与える重要なシーンが用意されてあります。
そのシーンでは、さっきまでの三枚目キャラはどこへやら。
一瞬にして大人の色気に包まれたイケオジに変身する鳳月さん、とてつもなくカッコ良かった~。
暁千星・大蛇丸
暁さん演じる大蛇丸は、トート風のビジュアル、奇妙な動き、性格は粘着質。
大好きな美雪に拒絶され続けているのに、くじけず付きまとうメンタル最強男。
いちいちポーズを決めて登場する姿に客席が沸きます。
とくに健司の部屋にあらわれるシーンは驚きと笑いが最高を記録。お見逃しなく!
大蛇丸は美雪の秘密を健司にペラペラしゃべってしまいますが、暁さんが演じるから愛くるしくて憎めないんですよね~。
それどころか、大蛇丸って本当はむちゃくちゃ良い子なんじゃないかと思わせられる不思議。
こんなにもキャラ立ちし、思い切った演技をする暁さんが見られて嬉しかったです。
暁さんと共に行動するしもべたち(礼華さん、天紫さん)も良い味だしてます。
月城かなと・健司
鳳月さん暁さんに加え濃いキャラたちばかりの中、無色透明の純粋さが際立つ月城さん演じる健司。
- 人に触れると消えてしまう
- 永遠に歳をとらない
この2つの秘密を抱えた美雪と共に生きていけるかどうか。
われわれが大蛇丸たちに笑わされているうちに、健司が答えを出す時が迫っていきます。
美雪を愛するがゆえに思い悩む健司を月城さんが丁寧に演じているので、さっきまで大笑いしていた我々も気づけば健司と美雪にどっぷり感情移入。
これが計算されたものなのか天性の芝居センスなのかは分かりませんが、ファンタジーの中にしっかりリアリティを出せる月城さんという人は本当にスゴイ役者だなと。
その月城さんに呼応する演技を見せる海乃さんも素晴らしい。
健司が出した答えが”健司らしい”のです。
自分たちのことを描いた映画を製作せず、二人でひっそりと生きていくことを選択し、純愛を全うします。
銀橋でヒザをついて指輪を差し出しプロポーズする月城さんの姿に、トキメキと切なさとが混在して涙がでました。
とっても美しくステキなシーンです。
手をつなぐ代わりに一枚のハンカチの端と端を持って歩くふたり。嬉しそうに海乃さんを見つめる月城さんの優しい視線。
あぁ、たまりません。
そして、老いて死期が迫る健司と若い姿のままの美雪が手を握り合うラストシーンは胸に迫ります。
「あなたの手はこんなにも温かいのね。」
指先にまで神経を行き届かせ、ゆったりとした動きで深い愛情を表現する月城さんと海乃さんのお芝居に、客席のあちらこちらからすすり泣き。
そして人間に触れてしまった美雪はこの世から消えてしまい…
切なすぎます。
えっ!
結局キラキラの月城さんは見られないの?と思われた方、ご安心ください。
このあとステキなステキな演出が待っています。
巨大スクリーンに映し出される”月城王子”をお楽しみに。
「今夜ロマンス劇場で」は、小柳先生の演出と組子たちの演技力&チームプレーによる
笑いあり、涙あり、感動あり、トキメキありの素敵な作品です。
全てがとびきり上質に仕上がっていて期待以上。
観終わった後じんわり心があたたかくなり、それが長く続きます。
新生月組、すごいぞ!!小柳先生にも拍手!
月城さんも海乃さん、お披露目公演からステキな作品に恵まれて本当によかったですね。
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