心配していたことが起こってしまいました。
月組東京公演『フリューゲル/万華鏡百景色』
ふたたびの代役公演。
月組『フリューゲル/万華鏡百景色』海乃美月休演による代役
満身創痍の月組・海乃美月の休演
千秋楽まであと約10日、いよいよラストスパートの月組。
公演は順調に進んでいると思われていましたが、どうやら満身創痍、ギリギリの状態のようです。
風間柚乃さんの不調につづき海乃美月さんまで。
風間さんは日に日に回復に向かっているそうですが、残念ながら海乃さんをはじめ4名が休演することになりました。
海乃さんの代役はお芝居は彩みちるさんが務めることに。
月城さんのサポートがあったとはいえ、舞台稽古もままならない状況で、よくあのセットグルグルの段取りを覚えて演じきりましたね。
ショーの代役である天紫珠李さんも、冒頭の花魁からパレードのトップ羽根まで大活躍!
そのほかの代役のみなさんの頑張りと、サポートする組子の団結力も凄まじく、
「これぞタカラジェンヌの底力!」と絶賛に値する公演だったそうです。
ただ、これを美談で終わらせてはいけないと思います。
美談にしてはいけない
株主総会で劇団が宣言した『これから積極的に代役公演を行っていく』。
この宣言を現実のものとするために、生徒に過度な負担をかけ、代役公演を強行したのは明らか。
ただでさえ本調子でない生徒がいるなか、本来なら休養に当てるはずの休演日に代役稽古が行われたのでしょう。
さらに言うと、宙組の大劇場公演が中止されている今、宝塚の公演が行われているのは月組だけなので、どうしても中止にしたくないのでしょう。
『お客さまのため』と大義名分を振りかざして生徒に過度な負担を強いるのは、働き方改革とは真逆の道をいく行為です。
月組の代役公演は今回が初めてではありません。
13人の大量休演者を出したにも関わらず公演を強行したあの日(10月18日)。
けっきょくこの時の負担や無理が尾を引いている部分もあるのではないかと思います。
代役の人選があいまい
代役公演は、ただやればいいってものではありません。
『スター制度』を置いている宝塚歌劇団において、あまりにも代役の人選が曖昧すぎることについて思うことがあります。
たとえば星組『1789』の礼真琴さんの代役が瀬央ゆりあさんではなく暁千星さんだったこと。
今回も海乃さんの代役が彩さんと天紫さんで分けられたうえ、なぜ羽根を背負ったのが天紫さんだったのか。
こんなときに不謹慎ではありますが、暁さんにしろ、天紫さんにしろ、羽根にまったく意味がないと思えないところがどうも…
そもそも代役に羽根を背負わせることにも意見が分かれるところです。
さらに言うと、休演者が誰であれ、代役が単純に番手繰り上げでない(新公で演じた下級性だったり、なぜこの上級生が?という人選だったり)不思議。
生徒の負担と客の善意
そして代役に伴うチケットの払い戻しには一切触れず『ご了承ください』で済ませる不信感。
公演の成功で美談になっていますが、生徒の負担と、すべてを受け入れる客の善意の上に成り立つ代役公演なのはどうかと。
とはいえ、個人的には代役公演を反対しているわけではありません。
『体調の悪い生徒が休める環境づくり』という意味ではその必要性を感じています。
だからこそ「これからも代役公演を積極的に実施する」なら、諸々の対策をしっかりとって行なわれることを望みます。
それにしてもたった一日の稽古で見事に公演を成功させるタカラジェンヌの素晴らしさよ!
サポートする指揮者やスタッフさんも流石プロフェッショナルですね。
海乃さんをはじめとする休演者の一日も早い回復を願うとともに、
団結してこのピンチを乗り越えようとしている月組のみなさんに心からエールを送りたいと思います。