宙組新人公演の感想もまだ書けていませんが、星組バウの初日感想を先に記したいと思います。
オリジナル新作のため、極力ネタバレ無しで感想を綴りたいと思います。
極美慎の演技力に脱帽
平松先生・大成功のデビュー作!
まずは平松先生に拍手!
デビュー作に和物(しかも飛鳥時代)をもってくる時点で只者ではないと思っていましたが、ややこしい時代の史実にフィクションを加えて分かりやすくし、宝塚的なトキメキを入れつつ涙なくしては観られない後半へのもっていき方が秀逸。
芝居と歌のバランスも絶妙で中だるみがありませんし、セットはシンプルながら、月、星、花びらなどが効果的に使われてセンスの良さを感じます。
役が多いのも生徒たちの学びの場として配慮されていて座付き演出家としてハナマルですね。
しかも歌や踊りで同期を組ませたり、役と本人がリンクするシーンなんかもぶっ込むというファンにはたまらない演出まで。これがデビュー作とは恐ろしい完成度の高さ。
果たしてこれがビギナーズラックなのか、大演出家への第一歩に過ぎないのかはわかりませんが、系統は違えど”上田久美子先生の再来”との声があがるのも納得です。
極美慎2回目のバウでも
そして『ベアタ・ベアトリクス』に引き続き『にぎたつ』でも当たり役を得た極美慎さん。
女ったらしの繊細芸術肌のイケメン(ロセッティ)もよく似合っていましたが、まっすぐで一途な好青年(智積)もまたドンピシャ!
登場シーンからポスターから抜け出してきたリアル彦星のような美しい姿に息を飲みました。
1回目のバウ主演から2年半、芝居も歌も安定感が増しただけでなく、眩しいくらいに真ん中に立つ者のオーラを放っていて惚れ惚れ。
意外にも詩さんとはこれまで一緒に芝居をしたことがないんですってね。(『歌劇1月号』談より)
だけど心配ご無用!ふたりともお芝居の人ですし身長差にも萌えがあって、とてもお似合いでした。
ふたりのイチャキュンシーンや、立ち回りで極美さんの髪の毛がパサーッとほどけるドラマみたいな演出も『狙ってるな』と分かっていながら悶絶。
詩さんを見つめる極美さんのやさしい眼差し、包容力、とにかくカッコよくて恋に落ちてしまった。
【余談】ファンを増やす絶好のチャンスなのに、たった500席✕短期間のバウ、しかも配信が平日の午前なのは残念すぎます。東上してもっとたくさんの人に観てもらいたかったな。
詩ちづるさんはこの時代の衣装もメイクもよく似合っていて、なんて可愛らしいんでしょう。実在の人物ですし難しい役どころではありましたが、さすがは芝居上手。愛と責任の狭間で葛藤するが手に取るように伝わってきて切なくて素晴らしかったです。
【余談】歌にも磨きがかかり娘役として仕上がっている印象。トップになる準備は出来ていると思うですけどね。次期トップコンビの発表が待たれます。
キャストごと感想&初日ハプニング
そしてプログラムメイクの気合の入りっぷりが微笑ましい105期たち。笑
嫉妬で愛をこじらせた田村皇子を巧みに演じた稀惺かずとさん(田村皇子)、誰もが知る歴史上の人物(蘇我入鹿)を存在感たっぷりに演じた大希颯さん。ほんと将来が楽しみな二人です。
【小声】この二人をいつまでニコイチ扱いするつもりなんでしょう。早く引き離してそれぞれ本格的に路線育成してほしいものですが、そうするにはどの組にも路線同期がいるという95期と同じ問題が!(この件についてはまた別記事にします)
幼少期を可愛らしく上手に演じた栞莉那ふみさん&藍羽ひよりさんから娘役2番手役(推古天皇)の瑠璃花夏さんまで、娘役の層の厚さを実感し、
男役は重要人物として物語をひっぱる碧海さりおさん(覚従)の頼もしさ。さらに輝咲玲央さん(蘇我蝦夷)、専科の悠真倫さん(観勒僧正)が脇を締め作品に奥行きをだしていてさすがだなと。
涙なみだの本編のあと、しっかりとしたフィナーレで気持ちが昇華されるのが良いですね。とはいえ組替えが決まっている極美さんへの餞的な演出にもう一回泣かされるんですけど…。
『にぎたつの海に月出づ』は期待を上回る美しい世界観。見終わったあとにいつまでも感動の余韻が続くステキな公演でした。