本日は梅田芸術劇場に、井上芳雄さん、浦井健治さん、潤花さん主演の『二都物語』を観てきましたので感想をお届けしたいと思います。
以下、ネタバレありですので読み進めご留意ください。
2025年『二都物語』感想
結末にショックを受けた宝塚版
この作品は宝塚でも過去に2回上演されていて、映像ですが瀬奈じゅんさん主演の花組バージョン(2003年)を見ています。
当時は主人公が自ら望んで愛する女性の夫の身代わりになって死んでいくという結末に強いショックを受け、それから一度も映像を見直すことはありませんでした。
ところが今回、演者の力量とブロードウェイ版の演出の妙、そして自分自身が年齢を重ねたこともあり、こういう自己犠牲的な愛も ”一つの愛のカタチ” だとすんなり受け入れることができました。
井上芳雄と浦井健治の安定感
正直、観るまえは井上芳雄さんや浦井健治さんといった大御所のキャスティングに ”いまさら感” が否めなかったんです。
ところがグランドミュージカルの主演を何度もやってきたおふたりだからこその安定感と達者ぶりに、現代の価値観では受け入れがたい自己犠牲愛の物語を成立させるにはこのくらいのキャリアをもってして望まないとシラケてしまうのかもと納得。
井上さん自身40代でありながら若者の役も違和感なく、飲んだくれのダメンズが愛を知って究極の決意をするに至るまでの過程を緻密に演じてブラボー!!
壮大に歌い上げているように見せているけれど彼的には6割くらいのパワーしか使っていないのでしょう。長丁場の公演において常に一定のクオリティを保つため、そんなテクニックを使えるのはキャリアの成せる技。
同じく40代の浦井さんもいつまでも誠実でまっすぐな好青年が似合う似合う。ミュージカル俳優ってスゴイですね。
タカラジェンヌは”霞を食べているフェアリー”と言われていますが、ミュー俳優はいったい何を食べて若さをキープしているんでしょうか。笑
潤花の進化がスゴイ
そして驚いたのはヒロインの潤花さんですよ。
我々がイメージする宝塚時代の太陽のような明るさとパーンと圧のある華やかな彼女はどこへ??
聞いたこともない落ち着いた声のトーンとセリフ回しに、最初は本当に潤花さんかと何度もオペラで確認したほど。
番宣では「ギャハハハッ!」と井上さんや浦井さんの声が聞こえないほど大きな声で笑い、弾けるような笑顔を見せていただけにギャップにびっくりですよ、まるで別人だったんですから。
フランス革命の苦しい時代のなかでも周囲への優しさと思いやりに溢れた淑女ルーシーを月のように静かで清楚な佇まいで演じ、男たちが彼女の幸せを願わずにはいられないのも納得の役作り。ステキな女優さんになりましたね。
浦井さんとの宝塚式ではないブチューッのキスも3回?体当たりで頑張っていました。
ひとつ潤花さんらしさが垣間見れたのは、浦井さんに抱きくときのジャンプ力が健在だったこと。浦井さんがリフト(お姫様だっこ)しやすいように飛んだジャンブが高いっ!!笑
ほかには3人の運命を変えるキーパーソンとして元雪組の未来優希さんが大活躍していたのも嬉しかったです。
ということでキャストの凄さと物語の奥深さを知り大感動となった『二都物語』観劇。
本日は月曜日ということでジェンヌさんもちらほら。
花組の希波らいとさんをお見かけして、いつか希波さん主演で再演あればいいな~なんて思いながら劇場をあとにしました。