元雪組トップスターの望海風斗さんのインタビュー記事が話題になっています。
宙組の事件以降 改革が進められていることについて、
「時代に寄り添って宝塚の環境、公演スケジュールが変わっていったのはすごくいいことだなと思う。変えてほしかったし、やっていてすごく大変なことだった。それを苦しみながらやるというのが決して美談ではないと思っていた」
無い無い尽くしの宝塚歌劇
タカラヅカスペシャル
望海さんが在籍していたころは宝塚歌劇が最も利益優先に走っていた時代です。
ギッチリと詰め込まれた年間スケジュール。
当時ある生徒のお茶会で「公演中の大休憩や終演後に、つぎの公演のお稽古をしています」と話しているのを聞いて驚いたのを覚えています。
現在は労働基準監督署の指摘をうけ、公演数を減らしたり、稽古時間の短縮など、さまざまな取組を行っているようですが、実のところ生徒の負担は改善されたのでしょうか。
彩風咲奈さんのDSのお稽古は『ベルサイユのばら』のお稽古や公演中に同時進行で行われていましたし、東京の千秋楽2日後には朝美絢さんの韓国トークイベントの開催。
表向きには改革をやっていると言いながら内情はあまり変わっていないのではと懸念してしまいます。
が、ファンとは勝手なもので「生徒の負担を軽減しろ!」と言いながら、9月に入っても『タカラヅカスペシャル』の発表がないことにガッカリするという。
タカスペをやるとなると組によっては公演中にお稽古をすることになるでしょうから、これ以上の負担はありません。
タカスペのためにあらかじめ余裕をもったスケジュールを組まない限り、今後の開催は難しいでしょうね。
役替り公演
実施が難しいといえば『役替り公演』もそうでしょう。
雪組の『ベルサイユのばら』の上演が決まったときは、100周年の時のように役替り祭りになると期待した人も多かったと思います。
ですがこの公演から大劇場でも新人公演が復活しましたし、彩風さんのサヨナラショーもあります。ムラと東京のあいだにDSが控えていて、生徒の負担を考えると役替り無しは当然なんですよね。
結果、オスカル&アンドレをはじめとする全公演全キャスト固定という、ある意味前代未聞のベルばらとなりました。
かつて役替りを経験した生徒さんがおっしゃるには、「1作品で2倍なんてもんじゃなく、計り知れないほどの学びがある」という良い側面もある役替り公演ですが、これからはそう簡単に実施されなくなりそうです。
いつの日かまた
そしてもうひとつ気になるのは、2年おきに実施されている舞踊会も今後どうなるんでしょう。
舞踊会が開催されるのは秋ですが、出演者は正月明けから練習を開始していたというから、そりゃあ大変です。
過密スケジュールの負担がストレスとなりパワハラにつながる!なんて極端なことは言いませんが、少なくともそういう一面はあるのだろうと推測します。
だけどね、『改革』という名のもと、なんでもかんでも無い無い尽くしになってしまうのもいかがなものかと。
生徒さんの中にはタカスペを楽しみにしている人も、役替りでチャンスを掴みたいと思っている人もいると思うんです。
星組次期トップ娘役不在の発表でも痛烈に感じたけれど、機会すら与えられないというのは本当に残酷です。
いろいろ難しい問題ですが、劇団員の労働環境を整えるのと同時に劇団員のレベル向上を図ること、そして観客にエンタメを提供するのが劇団の仕事。
生徒の負担を考慮したうえで、いつの日かまた、宝塚歌劇のお楽しみ(タカスペ、舞踊会、役替わり)公演が実施される日がくることを願っています。