芹香斗亜の宝塚人生を思う・宙組大千秋楽感想

元旦から約4ヶ月間、宙組一丸となって駆け抜けた芹香斗亜さんの退団公演『宝塚110年の恋のうた/Razzle Dazzle』が、ついに大千秋楽を迎えました。

黒燕尾での階段降り。同期のお花渡しは桜咲彩花さん。

そして清々しいまでに簡潔なご挨拶と、コンサートライブ並みに盛り上がった緞帳前。

終始笑顔で宝塚を去っていった芹香さんでしたが、、

芹香斗亜の宝塚人生

乾杯!ぼくが選んだ最高の人生に

公演中は喉の調子が万全とはいかず、すこし心配になる場面もありました。

ですがそこは19年の努力と経験が成せる技。
つぎの瞬間には声が持ち直していて、あらためて舞台人としてのスキルの高さを見せつけたように思います。

劇場をゆっくりと見渡しながら噛み締めるように歌ったサヨナラショー。

星組時代、花組時代、そして宙組…

芹香さんの宝塚人生を振り返ると、御曹司でありながらその道のりは険しく、2回の組替えや長すぎた2番手期間など、本人の意思でないところで翻弄されつづけてきた印象。

だって配役ありきの演目(『ポーの一族』)や前任の任期なんて、自分ではどうしようもありませんからね。

「乾杯!ぼくが選んだ最高の人生に」という千秋楽アドリブが何とも切ない。

芹香斗亜のプロ魂

本当は言いたいこともやりたかったこともたくさんあったでしょう。

ふと思う、これまでたくさんのトップを見送ってきた芹香さんが、自分自身のラストをどんな風に思い描いていたのだろうと。

トップスターの最後のディナーショーや対談相手に組子が選出されないなんて不自然極まりなく、劇団が意図的にそういう状況をつくっているのは明らかです。

次期トップ桜木みなとさんへの引き継ぎ発言も、おそらくストップがかけられていたのでしょう。カテコでも緞帳前でも一切触れることはありませんでした。

お咎めを逃れた関係者がいるなかで、ひとり責任を引き受けるカタチで宝塚を去るいま、そんな内々の事情を感じさせないよう芹香さんは終始明るく、目の前にいるファンに対して、ファンが見たいであろう自分の姿を見せようと努めていたように思います。

黒燕尾を選んだ理由も、「ファンが私の黒燕尾を好きと言ってくださるので最後にお見せしたいという思いから」だそうです。

これからの人生

芹香さんの宝塚人生に思いを馳せると胸がギュッと締め付けられますし、もしかしたらこれからも芹香さんを思い出すたびに胸がチクッとするのかもしれません。

だけどそれとは別で、『ハンナのお花屋さん』『金色の砂漠』『ベルサイユのばら台湾公演』『オーシャンズ11』などなど、これまで観せてくれたたくさんのステキな舞台姿は当時の印象のまま心に残り続けると思います。

2年間のトップスター人生も、19年の宝塚人生も本当にお疲れ様でした。
明日からの新たな人生も陰ながら応援しています。

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