和希そらさん主演、雪組『双曲線上のカルテ』ドラマシティ公演初日観劇してきました。
再演の潤色・演出を手掛けた樫畑亜依子先生により、本格的な医療ドラマへと姿を変え見応えがありました。
【注意】宝塚らしいロマンスも華やかなフィナーレもありますが、末期がん、小児がん、白血病、アルコール中毒死など内容が重いので、現在闘病中の方や身内に病気を抱えている方がいると見るのが辛い作品かもしれません。
以下、ネタバレありで感想を記しますので読み進めご留意ください。
和希そら主演・雪組『双曲線上のカルテ』感想
和希そらの代表作に
余命わずかな医師フェルナンド(和希)は死の恐怖から逃れるために酒と女に溺れる日々。
どうせ死ぬんだからとタバコも酒もやりたい放題。
和希さんって排他的で気怠い感じが本当によく似合う。
所作の全てに色気が宿っていて、白衣も開襟もメガネもタバコも、ため息もののカッコよさ。
もう本気の恋はしないと誓ったのに人を疑わない純粋無垢なモニカに惹かれていく様子、彼女にだけは病気を知られずに逝きたいという切実な願い。
和希さんの繊細なお芝居に何度も泣かされました。
華純さんとは10期離れているので、和希さんの包容力とリードの上手さが際立つハグもキスシーンもステキでした。
スモークがたかれた舞台にひとり裸足でおどるコンテンポラリーダンスは圧巻。
フィナーレの爆踊りですら余裕がある感じで、さすが『ミスター抜け感!』(←勝手に命名)。
歌は言わずもがな最高!!もっとナンバーを増やしてもらいたいくらいです。
褒めすぎでしょうか?
でも歌も芝居もダンスも「すごい」という言葉しか出てきません。
ひとつ正直な感想を記すのであれば、和希さんが演じたフェルナンドという人物に対してです。
原作どおりなので仕方がありませんが、
医師として末期がんの患者に寄り添い、安らかな最期へと導く様子が1幕でていねいに描かれているのに、フェルナンド自身は湖に身を投げてしまうんですよね。
そして5年後、残されたモニカの隣には4歳くらいの男の子が…
えっ、二人の間に子供??
フェルナンドの患者に妊婦さんがいて「命は紡がれていく」というシーンの伏線回収なんでしょうけど、恋人のモニカに病気のことを告げずに子供をもうけるのって、ちょっとね~。
だけどモニカと息子に寄り添う(死後 魂になった)フェルナンドが幸せそうで(和希さんの心からの笑顔が見られて)ラストは心があたたかくなりました。
和希そら・ごあいさつ
和希さんってこんなに面白い人でしたっけ?笑いの絶えないカーテンコールとなりました。(以下ニュアンスです)
和希「幸せの選択肢のはなしがありましたが、私は本当にセミが苦手で、でもこの作品をやったので、セミも7日間ほどの命を必死に生きてるんだなって…そう思った夏でした。で、もうすぐ秋の虫が…」
セミ嫌いを熱弁する和希さんに爆笑する組子と専科さん。
和希「お楽しみいただけましたでしょうか。この観劇が皆さまの幸せの選択に入っていれば嬉しいです。あっ、無理矢理に連れてこられた方もどうぞゴキゲンにおかえりください。笑」
和希「今回の作品では宝塚では珍しく白衣の団体が見られます。ね、メガネとか白衣とか、萌えるだの萌えないだのあると思いますが、物語にプラスして楽しんでいただいて。あはは。(手を耳に当てながら)わたしの白衣はいかがでしたでしょうか?」
客席大拍手!
和希「拍手の強制すみません。笑」
和希さんの面白いごあいさつに本編の涙がすっかり乾いて笑顔で劇場をあとにしました。
その他キャストもハマリ役
東上初ヒロイン、106期の華純沙那さんは明るくて真っ直ぐで、フェルナンドに「きみはバラよりヒマワリが似合う」と言わしめる女性に説得力がありました。和希さんとの身長差が絶妙でバックハグに萌えるだの萌えないだの。笑。デュエットダンスのリフトの乗り方も上手。今度は大人っぽいヒロインも見てみたいな。
野々花ひまりさんは(ライラックと同様に)相手がこっちを向かないと気が済まない令嬢をやらせたら天下一品。フェルナンドに向かって「もうモニカとは寝たの?」と嫉妬心むき出しの言い方が上手すぎてゾッとしました。(褒めてます)
そこから大病を経験してサバサバとカッコイイ女性への変貌っぷりは見どころ。
自分の存在すら知らなかった父親を許し、腹違いの妹のために骨髄ドナーになり、その見返りを求める母をやさしく諭すアントーニオ咲城けいさん(102期)。こんな良い子いる?
存在がファンタジーですが、現実味があったのは咲城さんの心がキレイだからかな。シャツとセーターの重ね着が様になっててカッコよかったです。
膨大なセリフがあるにも関わらず代役をみごとにやってのけた眞ノ宮るいさん(100期)。
マジメで熱意のある医師がハマっていて、反発していたフェルナンドと友情が芽生えていく様子は胸アツ。丁寧なセリフ回しも好感が持てました。
コメディもシリアスも両方いける器用さ、フィナーレで和希さんと対になって踊るシーンもキレッキレ。お見事でした。
彩風さんの全国ツアー公演と、和希さんのドラマシティ公演を立て続けに観劇しましたが、どちらも充実していて、あらためて雪組の層の厚さを感じました。
休演者の一日も早い回復と合流、全員元気に千秋楽まで駆け抜けられることを願っています。