花組伝統継承『マスカレードホテル』感想♪嘘のないお芝居 心のこもったダンス

花組『マスカレードホテル』感想 

 (ネタバレありです。ご留意ください。)

主演の瀬戸さん、ヒロインの朝月さんをはじめ、汝鳥さん 高翔さん 冴月さん 和海さん 音さん 飛龍さん… 

 

この主なメンバーの名前を見るだけで想像できると思いますが、シリアスからコメディまで何でもござれ!の、安定感抜群の舞台でした。 

 

殺人事件を潜入操作で解決していくストーリーながら、肝心の殺人事件現場や当事者は出てこず、誰かのセリフで事件が語られるという、何とも難しいお芝居です。 

 

セリフを聞き逃すと、事件の内容と人物の絡みが全く理解できず置いてきぼりになってしまうところを、瀬戸さんや飛龍さん和海さんの滑舌明瞭の説明セリフは、鮮明に事件状況を伝えていて流石!   

 

  

新田刑事役の瀬戸かずやさん

 

眼光鋭く身なりや言葉づかいに構わない たたき上げの刑事が、嫌々ながら訓練を受け、礼儀正しいホテルマンになっていく様子はコミカルで可愛らしい。

 

かと思えば、刑事の勘を利かせ、ホテルのトラブルを解決に導く 有能でカッコ良い姿に、惚れ惚れさせられます。

 

そして、後ろ姿のカッコいいこと。 

思案する時の渋い表情や、たまに見せる笑顔にも男役16年の妙技が。 

刑事としてもホテルマンとしても魅力的で目が離せませんでした。 

 

山岸尚美役の朝月希和さん 

 

生真面目で仕事熱心で優秀、お客様第一のフロントクラークを好演。   

  

もしかして、衣装は2着?  

いや、密かにお着替えされてるのかしら? 

 

全編に渡り、フロントクラークの衣装がほとんど。

だからこそ、最後のディナーのワンピース姿のキュートさが際立ちました。髪型も可愛い。

 

(余談)

映画では木村拓哉さんと長澤まさみさんとほんのり❤️でしたが、宝塚版はガッツリ❤️❤️ 

ならば、二人の距離の縮め具合を要所要所でもう少し表現していてくれたら、私たちは最後もっとキュンキュンできたのになぁ、なんて。。

 

謎の老婆役の音くりすさん 

 

舞台を支配する存在感。

音さんの演技あってこそ、この作品に深みが出たと思います。 

 

台詞と歌の境界線なく、絶唱なのか叫びなのか…   

 音さん演じる老婆(実は…)の心情を思うと、やりきれない気持ちになりました。 

 

役が憑依したかのような演じ分けの見事さ、一曲で感情移入させるくらいの歌のスゴさ。  

 

能勢刑事役の飛龍つかささん  

 

この物語に登場するのは、武骨な主人公、生真面目なヒロイン、謎の宿泊者たち。と、陰の空気を纏った人たちばかり。

 

そこに明るいキャラクターの飛龍さん(能勢刑事)が登場。 

彼が登場する度に、会場に大きな笑いが。 

 

憎めない弟キャラがこんなに似合う人もいない。というくらいハマり役でした。 

 

しかし、フィナーレでは一変!!  

 

ひとたび歌いはじめると、男役としてしっかり出来上がった豊かな響きの声がステキで魅了されました。 

 

フィナーレ感想 

  

短くも、群舞あり、娘役ダンスあり、リフトありと盛り沢山。  

 

上級生が多いからか、ピシッと揃った群舞にしっとりとした色気が滲み、とても素敵でした。

 

 娘役さんのスカートさばきも美しくて あでやかで。     

 

物語もフィナーレも、下級生に至るまで、変に気負うことなく、自然体に近い状態で嘘のないお芝居、心を大切に踊るという伝統を感じられ、安定し熟された素晴らしい公演だったと思います。 

 

(またまた余談)

ちょっぴり残念なのは、和海さんや羽立さんのお歌も聞きたかった~。

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