宝塚歌劇宙組公演「 エル ハポン―イスパニアのサムライ―」「アクアヴィーテ(aquavitae)!」観劇
「エル ハポン」
この作品が発表された時も、あらすじを読んだ時も、和物なの?洋モノなの?ごちゃまぜ?と、中途半端な気がして、正直あまり期待していませんでした。 (スミマセン)
ところが、見終わった後、主人公たちのその後をずーっと想像してしまうくらい、作品の世界にハマりました。
これぞ、男の中の男!真風涼帆さん
まず、真風さん演じる侍(蒲田)のカッコいいこと。
人には言えない過去を背負い、一途に昔の恋人を想い続け、主君には義を尽くし、異国で偶然知り合った弱き者たちにも優しく。
そしてもちろん、容姿端麗で、刀の腕は天下一品。
これぞ、男の中の男!という人物で、客席のあちらこちらから「よっ!待ってました!」と心の声が聞こえてきそうです。(笑)
刀さばきの見事さ、立ち回りで人物の心情まで表現できる真風さんに感嘆しました。
真風涼帆さんと星風まどかさんの相性
言うまでもなく、星風まどかさんとの相性もいいですね。
お互い 過去の恋人や、亡き夫への思いを裁ち切れずにいるけれど、いつしか魅かれ合い、少しずつ心を通わせていく様子がいじらしくてたまりません。
星風さんの喪服姿も綺麗ですが、喪服を脱いでカラードレスに着替えた時、役(カタリナ)としての内面の強さと美しさが透けて見え、真風さん(蒲田)や芹香さん(アレハンドロ)でなくとも惚れてしまいます。(笑)
真風さんと好対照、芹香斗亜さんの魅力。
どうしてこの人は、チャラくて賢くて優しい男がこんなに似合うのでしょうか。
しばられることが何より嫌いで自由を愛する美しい青年。
賢くて優しいが故に、最後は…
真風さん演じる、異国の侍(蒲田)との間に芽生えた友情の表しかたが、クスッと笑えて、でも切なくて。
とても印象的なシーンで心に残りました。
芹香さん演じる役(アレハンドロ)も、真風さん演じる役(蒲田)と同じに魅力的でステキな人物です。
「真風さん派?芹香さん派?」と、観劇した方に聞いて回りたいくらい、どちらも良い男なのです。
作品に深みを与える桜木みなとさん
親にしばられ、親を憎み、世間を憎み、誰も信用せず。
人間らしくて屈折した思いを色濃く表現して、透明感のある芹香さんの役づくりとは全く逆のアプローチで、作品に深みを与えていました。
桜木さんの新たな一面が見られます。
作品全体の感想
作品全体としては、ロマンスあり、男の友情あり、愛憎劇、など盛り沢山。
しかし、そのどれもがちゃんと絡み合って物語が構築されているので、破綻がありません。
すんなり役に感情移入できますし、心ゆくまま登場人物に陶酔できます。
心に響くキャッチーな曲がないのが残念ですが、これはまた観劇回数を重ねれば、印象が変わるかもしれません。
久しぶりに「THE!宝塚」を見た。と、大満足の作品でした。