「婆娑羅の玄孫」観劇感想
7月14日マチネ観劇
1幕・敵討ちの手伝い
2幕・別れと旅立ち
2本立てのような構成でした。
町人たちのやりとりがコミカルでおもしろく
轟さんとの別れを思わすような場面では
ホロリとさせられるとても良い作品です。
しかし、少しだけ注意点がありまして…
問題になるのは数百年後
女性の立場。
外国人が話す日本語の反応。
仇討ちのとらえかた。
私は時代劇を観劇するときは
こういう場面やセリフを
割りきって観ることが多いのですが、
この作品は現代の感覚をもって観ると
少しひっかかる方がいらっしゃるかもしれません。
「これが問題になるのは数百年後のことだ。」(ニュアンス)
というセリフが
絶妙なところで入れられていたのは
客の心理を見越してのことでしょうか。
つづきましてキャストごとの感想を。
細石蔵之介・轟悠
さすが!の一言。
和物の所作の美しさが段違い。
- 優雅な扇子のあおぎかた。
- 襟に手をやる色っぽい仕草。
- おどりの神経の行きとどいた指先の美しさ
- 殺陣の腰の落としかた
- 草履が足に吸いついて見えるこなれた歩き方
- 柱にもたれ掛かるカッコいい角度、体重のかけ方。
- 裾をはらう時の小気味のいい音。
- 相手のセリフを受けるときの凛としたたたずまい。
あげるとキリがありません。
子どもたちや長屋の住人に慕われる人格者。
じぃ(汝鳥)さんの前でのワガママっぷり。
親に勘当されできた心のキズとの葛藤。
人の敵討ちを手伝うアニキ的性分。
お鈴(音波)への想い。
などなど。
轟さんはいろんな面をもつ蔵之介を
芝居する相手によって
変幻自在に演じわけつつ、
どんな時でも蔵之介が本来もっている
根っからの明るさを損なわないのがスゴい。
殺陣の刀さばきとラストの高笑いは圧巻。
権六・極美慎
極さんが登場した瞬間にパァーッと舞台があかるくなりました。
華やかなオーラがまたさらに増しましたね。
終始ハイテンションでまくしたてる
セリフ回しや、はりきって歌う姿が爽快。
人のいい瓦版を好演。
お鈴・音波みのり
口がわるく、男勝りで、負けん気がつよい。
ゆえに、思いをよせる蔵之介に素直になれず憎まれ口ばかり。
そんなお鈴がいじらしくて可愛くて
たまりませんでした。
ラストも切ないですね😭
轟さんとのテンポのいい皮肉の言いあいもバッチリ!!
笑いました😃
轟さんとのおどりのシーンは、
お面の接着がむずかしそうで、
今後もしかしたら変更あるかなぁ。
天華えま
2役されていて、
どちらも落ち着いた所作や
ゆったりと間をとったセリフまわしで
とても丁寧に演じてらっしゃいました。
たすき掛けがテキパキと見事で惚れ惚れ。
和装がとってもお似合いです。
轟さんの集大成である「婆娑羅の玄孫」
轟さんの素晴らしさを堪能できることは
いわずもがなですし、
ひとりひとりが役を一生懸命に生きている
星組生へのバトンタッチの瞬間にたちあえて
感無量です。
7月29日の大千秋楽まで
全員がそろって無事に公演できますように。