天彩峰里もしかして?宙組『ZORRO THE MUSICAL』感想

本日は宙組『ZORRO THE MUSICAL』の配信日。

桜木みなとさん率いる新生宙組の熱い舞台に感動しました。

新生宙組『ZORRO THE MUSICAL』感想

ざっくり全体感想

物語は、過去に雪組でやった『ZORRO 仮面のメサイア』とおなじく『怪盗ゾロ』をモチーフとした勧善懲悪モノ。雪組版と違うのは、民衆を苦しめる悪役が主人公の兄であるということ。血の繋がりがあるからこそ拗れに拗れた兄弟関係が切なくて、クライマックスは涙なみだでした。

あちこちで幼少期のエピソードを散りばめる丁寧さにより、ディエゴ(桜木)とルイサ(春乃)の初恋、ラモン(瑠風)の嫉妬といった物語の核がよく分かりました。

舞台にドーンと置かれた階段が『Z』になっていて、もちろんゾロのZなんですけど、ずんちゃん(桜木)のZにも思えるニクイ演出。衣装の少さは覚悟していましたが、メロディが難解で一回でスッと心に入るタイプではなかったのが残念。

1幕冒頭から宙組生の熱の入った歌やダンスがたっぷりで引き込まれたものの、あまりの物語の進まなさにやきもき。2幕に入って巻き返したものの、もう少しダンスを削ってでも ”その後” を描いてほしかったなと。(兄も親友も死んだのにハッピーエンド?長男を失った父親の心情は?ガルシアは軍人を続けるの?そして何よりディエゴは新市長になったの?)

細かいことを気にしないで大団円を楽しむのが海外ミュージカルだと言われればそうなんでしょうし、ビルが揺れるほどパワフルに踊ったり、マイクが音割れするほど声量で歌ったり、組子たちが(過去のあれこれを)思いっきり発散できていることに新生宙組作品の大きな意味があるような気がします。

キャストごと感想

満を持してトップに就任した桜木みなとさん、なにをするにも余裕があって自信に満ちあふれているのが気持ちが良かった。ディエゴとゾロの演じ分けというより、仮面をつけた無敵のゾロのときでもいろいろ葛藤し、母性本能をくすぐる甘ったれで人たらしの次男が見え隠れする絶妙な演技も素晴らしかったです。ごあいさつで見せたとびっきりの笑顔も瑠風さんとのワチャワチャも微笑ましく、良い雰囲気でトップ人生のスタートが切れて良かったですね。

春乃さくらさんは宝塚では珍しい『キレまくるヒロイン』で大変だったと思いますが、睨んでも眉間にシワを寄せても、怒鳴り声ですら美しいのは流石。桜木さんとの息もピッタリで良いコンビ。ヒロインがモテまくるという次作『PRINCE OF LEGEND』も楽しみです。

この公演が宙組ラストとなる瑠風輝さん。ただの悪役ではなく『愛を渇望する男』をみごとに演じきり実力と存在感を見せつけました。孤独な役もステキですが、星組で同期の暁千星さんとバディものを期待しています。

そして特出すべきはダブルヒロインといっても過言ではない活躍を見せた天彩峰里さんです。

もしかして?天彩峰里に思う

ソロナンバーはもちろん、春乃さんとデュエットがあったり、数場面センターで踊ったり、とにかく娘役2番手の天彩峰里さんの破格の扱いにビックリしました。

イネスという役も、ヒロインはおろか、登場人物のなかでだれよりもその人生がドラマチックに描かれていて、ディエゴ(桜木)の親友でありイネス(春乃)に気づきを与える存在であり、最後は自分を慕ってくれるガルシア(風色)への想いに気づくもディエゴをかばって命を落とすという。

ヅカ友さんから「天彩さんが主役だった」と初日の感想が送られてきたんですが、まぁさすがにそれはオーバーだとしても、彼女が無双状態であることはたしか。役の比重もそうですが、歌の上手さ、フラメンコダンスの見せ方、スカートさばきの巧みさ、緩急自在のお芝居…どれをとっても極上のクオリティ。

その極められた芸を見たときに「もしかして?」が頭をよぎりました。退団か専科か!考え過ぎだといいのですが…

いずれにせよ瑠風さんの異動も控えていますし、このメンバーでの舞台を見届けられて本当に良かった。

そして水美舞斗さんも合流することですし、ますます桜木さん率いるこれからの宙組に期待高まります。

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