ドラマシティ公演初日を生観劇して感動した 和希そらさん主演、眞ノ宮るいさん代役『双曲線上のカルテ』↓
今回は縣千さんが復帰した配信回の感想を記したいと思います。
和希そら 縣千・雪組「双曲線上のカルテ」感想
ざっくり全体感想
劇場で観たときには意識しなかったのですが、こんなに暗転が多かったんですね。
初演当時ならいざしらず、いまこんな暗転を多様した演出をしようもんなら不満がでてきそうな気もしますが、
そうでないのは、集中力を途切れさせないように工夫されたシリアス寄りの新演出の妙なのかもしれません。
縣千 東上2番手の意味
登場した瞬間 舞台がパッと明るくなったあの人はだれ??
縣千さん、おかえりなさい!
またカッコよくなりましたね。
復帰できて本当によかったです。
本人やファン、雪組生はもちろん、劇団もホッとしたのではないでしょうか。
というのもこの公演は和希さん2回目の東上公演であると同時に、縣さんの育成が重要視された公演でもあるからです。
東上2番手を経験させる意味。
芝居や歌の技術力の向上を図るとともに、主演にいちばん近いポジションで作品づくりに携わり心得を学ぶこと。
宝塚は4番手であっても本公演ではそれほど多くの出番があるわけではありません。
とくに雪組の大劇場公演は3番手の和希そらさんですらワザと抑えられている?と疑うレベルで出番も歌も控えめです。(『蒼穹の昴』しかり『ライラックの夢路』しかり)
それに追随して4番手の縣さんの出番も少なく、技術面で伸び悩んでいる印象。
そこで出番もセリフ量もケタ違いに多くなる東上2番手は、経験値も技術力も上げられる大チャンスというわけです。
縣千のチャレンジ
よく宝塚は2番手(役)がいちばんおもしろいと表現されますが、それは別箱もしかり。
縣さんと同期の鷹翔千空さんも『大逆転裁判』で2番手役のホームズを、ダイナミックかつコミカルに演じて表現の引き出しを増やしたようにおもいます。
縣さんにとって『双曲線上のカルテ』の2番手役ランベルトは、これまでにないタイプの役で大きなチャレンジ。
ランベルトはマジメでありながら患者のために身銭を切る情熱を持ち合わせ、
型破りなフェルディナンドと露骨に対立するような人物です。
だけど熱く演じすぎると研修医みたいに子供っぽくなってしまうし、
かといって落ち着いてしまったら大人な雰囲気のフェルディナンドとの対比にならない。
フェルディナンドとの出会いで変わっていく様子を、シリアスにもコミカルにも寄せすぎず表現しないといけない難しい役です。
物語の世界観に沿って役として主演(和希)と歌うことも、縣さんにとって挑戦ですね。
で、縣さん、おそらく充分なお稽古時間が取れていない状況だったと思いますが、よくやっていたと思います。
登場した瞬間から華やかで只者ではないオーラを放ち、白衣姿もカッコいいですし、セリフの発声も◎。
回転椅子に座った医院長夫人(五峰)が勢い余ってぶつかったパソコン台を、「おっと~」と軽く直すしぐさに、こなれ感と余裕が垣間見れました。
フェルディナンドの部屋で彼の病状を確認し、膝から崩れ落ちる姿は胸に迫るのもがあり、
どんなときも素直に心が動くランベルトは縣さんに似合っているなと。
しかしまだ少しセリフのキャッチボールがぎこちなかったり、しっくりきていない箇所があるようにも感じて、
歌もふくめ、回を重ねるごとに良くなっていくでしょう。
これからの進化に期待。エールを送りたいと思います。
和希さん主演公演『双曲線上のカルテ』
9月19日の青年館ホールの千秋楽まで全員元気に駆け抜けられますように。