風間柚乃さん東上公演、月組『稲妻開化譚―イナヅマカイカタン―』を観劇してきました。
斎藤先生のオリジナルということで、良いヨシマサが出るか、悪いヨシマサが出るかヒヤヒヤしましたが、これは紛れもなく『良すぎるヨシマサ』でしょう。笑
初ホール&斎藤吉正演出の妙
西の会場は宝塚お初となる兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール。全800席の程よい規模感で、芝居小屋を覗いているような親近感がわく温かい空間でした。座席もしっかり傾斜がつけられていて視界良好!音響も良くノンストレス。今度東京駅前に新設される劇場もこんな仕上がりだといいな。
物語は、伊藤博文が初代総理大臣に就任する直前の明治初期を背景に、戊辰戦争や二本松少年隊の悲劇という重いテーマを扱ってはいるものの、同じくらいコメディシーンも多く、軽妙なセリフ回しとスピード感でシリアスとコメディを行ったりきたり…斎藤先生の手腕と芝居巧者揃いの月組による、極上エンターテインメントに仕上がっていて、とっても楽しかったです。
相性を見せつけた風間柚乃と白河りり
主演の風間柚乃さんは、昼の新聞記者と夜の義賊「稲妻小僧」という二面性を持つ風馬を、圧倒的な芝居力で、賢さと優しさと強さを絶妙なバランスで滲ませ、とんでもなく魅力的な主人公に仕上げていて流石のひと言!トップに王手がかかった大舞台でも気負いや力みは一切なく、なんなら演技している時が一番リラックスしていそう。(終演後の挨拶はアタフタ。梅芸会員貸切公演のご挨拶で「今後とも梅芸会員をよろしくお願いします」と言ってしまって、何か違うと首をかしげる風間さん。会員って私たちやん?と客席爆笑でした)
ヒロイン・麻里を演じた白河りりさんは、その滑舌の良さとクリアな歌声でオキャンなお嬢様を好演。風間さんとの喧嘩友達のようなじゃれ合いから淡い恋へと変わっていくじれキュン的なやりとりが最高にキュート!歌うまのふたりが隣り合って響かせる歌声は心地よく、相性の良さを証明してくれました。この並びを見れば、次期トップコンビへの期待が高まらずにはいられません!
さらに、偽の稲妻小僧として物語をかき回す信造役の彩海せらさんが、これまた上手い!過去に縛られているのは風馬(風間)と同じなのに、生き様は真逆。彩海さんが物語のダークな部分をしっかり表現しているからこそ、作品にメリハリが効いて良かったです。それにしても、「お前が夜な夜な抱いている女は〜」なんて台詞をサラッと言えてしまう巧みさよ!『月の燈影』や『雨滲む渤海』もそうですが、彩海さんを2番手に据えると作品のクオリティが格段に上がりますね。(とは言え、そろそろ次は主演を!)指先まで神経が行き届いたフィナーレのダンスも素晴らしかった。
その他キャスト
伊藤博文役の佳城葵さん、SNSで「月組は佳城さんを独り占めしてズルい!」なんて言われてましたけど、なるほど!舞台に登場した時から何かやってくれそうな期待感、それを裏切らない絶妙なコメディ芝居。それでいて舞台をしっかりと引き締める存在でもあるんですから、引く手あまたなのも納得です。
佳城さんの妻役の梨花ますみさんや、ヒロインを取り巻くご老人たち、柊木絢斗さんと妃純凛さんも良い味出してましたね。剣道の竹刀での新聞破り、最高に面白かったです。
風馬の父を演じた英かおとさん、スタイル良すぎ、軍服姿カッコ良すぎ!口数少なくミステリアスな空気を纏い、大人の色気たっぷり。風馬の母の朝香ゆららさんは歌に芝居に大活躍でファンの盛り上がりスゴいですね。生方を演じた和真あさ乃さん、ニコリともせず悪役に徹し、舞台に緊張感を与えていました。
斎藤先生らしく下級生に至るまで全員に意味のある役が用意されていて、正岡常規役の天つ風朱李さん(107期)や夏目金之助役の相星旬さん(107期)、秋山真之役の雅耀さん(108期)らが演じた偉人たちの若かりし頃と、月組の未来を背負うスター候補生たちを重ね合わせ、「このあと歴史はこう動くのね」と、余韻が広がります。
月組全員芝居
また、主人公と同じく幼い頃に心に傷を負い義賊の手伝いをする新聞開化譚のメンバー、月乃 だい亜さん(104期)、遥稀れおさん(105期)、美颯りひとさん(106期)、華羽りみさん(107期)や、風馬の子供時代を演じた也乃英心さん(110期)のひたむきな姿に胸が熱くなりました。
そのほか、役の大小に関わらず全員が作品を理解し、ガヤ芝居でも全力で役を生きるのが「芝居の月組」の真骨頂。さらに主要キャストみんなが歌ウマなんですから最高ですよ。
関西公演を経てさらに進化していくであろう『稲妻開化譚』、関東でも大いに盛り上がりますように。