星組「めぐり会いは再び」は
最高に可愛くてハッピーなコメディーです。
だれもが気軽に楽しめる作品ですが、
先日公開された礼さんのインタビュー記事を読んでから観劇すると、
一歩踏み込んだところまでしっかり礼さんの思いを感じとることができました。
- 10年前の未熟な自分
- あれから10年経って今の自分
- 瀬央との関係
今回の記事は、礼さんが語った言葉に観劇感想を合わせた少しマジメな内容です。
長文ですが、どうぞお気軽にご覧ください。
礼真琴が語る10年前の自分
今では押しも押されぬ星組トップスターの礼真琴さん。
2012年「めぐり会いは再び2nd」公演時は研4でした。
歌もダンスも人並外れた実力の持ち主なので、礼さんの抜擢には誰もが納得。
実際、礼さんが演じたチャーミングな少年ルーチェは大人気。
幼稚な中身と、大人びた物言いのギャップがたまらなく可愛かったです。
この役で礼真琴の知名度が上がったのは間違いありません。
しかし礼さんは、当時のことをこう振り返っています。
礼「1作目から役が続いていらっしゃる上級生が多い中で、新キャラクターとして登場したプレッシャーなどが…。本当にできなくて、できなくて、悩んで泣いていた思い出があります。あのころ(12年)は(演出の)先生や先輩のアドバイスすら、頭の中でかみ砕けないほど未熟だった」
日刊スポーツより
役作りにこんな苦労されていたなんて…
歌やダンスが飛び抜けて上手いからといって、男役の壁も軽々と乗り越えられるものではないのでしょうね。
あれから10年経って今の自分
そして10年経って大きな大きな存在になった今でも「毎回悩み、完成はない。毎日闘っています」と。
礼さんのこの言葉を聞くまでは、
正直、10年経ったルーチェを小柳先生がここまで幼く描いたことに疑問を抱いていました。
※まだ2022年版「めぐり会いは再び」をご覧になっていない方に簡単解説。
↓
外見は大人になったルーチェですが、心は10年前と変わらず幼いまま。(ヘタレともいう)
窮屈な実家を出て、大学の同期と探偵事務所でワチャワチャ。
恋人アンジェリーク(舞空)とはいつも喧嘩ばかり。
しかしいつまでも子供でいられるハズもなく…
王女の花婿選びに参加したことで騒動に巻き込まれ、自分と向き合いながらピンチを…
小柳先生は、現在も成長し続けようとする礼さんにルーチェを重ねたのですね。
この作品をルーチェの成長物語にした理由がようやく理解できました。
そして先生は、ミュージカルの中だと浮いてしまいそうなポップス色の強い曲や、歌の間に高度な芝居を入れ、礼さんに新たなチャレンジを与えています。
(礼さんはどちらも軽々とクリア。さすがです)
悩み苦しむルーチェが、ユリウス(天寿)の励ましによって一歩踏み出すという演出で、
『10年前は未熟で先輩のアドバイスが頭でかみ砕けなかった』という伏線を見事回収!
このシーンは退団する天寿さんへの餞別でもあり、小柳先生の巧みさに舌を巻きました。
役と本人をリンクさせる演出に優れた小柳先生が、礼さんと瀬央さんの関係を劇中に盛り込まないワケがありません。
むしろその関係を見せたいがために用意されたのでは?と思える微笑ましいシーンがあります。
礼真琴「瀬央と2人でワチャワチャ」
大学を卒業したルーチェは、同期レグルス(瀬央)が経営する探偵事務所に入り浸る毎日。
礼さんと瀬央さんが一枚のブランケットを取り合ったり、一緒にくるまったり。
やんちゃな男子たちのワチャワチャたまりません。
礼「小柳先生から『瀬央と2人でワチャワチャして、楽しく絡んでいて』と。一緒に星組で育ってきましたし、普段の私たち、何でも言い合えるような仲間の雰囲気が出せたらと思います」
日刊スポーツより
先生の意図したとおり、どこからどこまでがルーチェとレグルスで、礼真琴と瀬央ゆりあなのか分かりません。
二人の自然なやりとりが楽しくてニヤニヤ。
ロミオ(礼)とヴェンヴォーリオ(瀬央)のやり取りが好きだった方には、たまらないシーンになっていると思います。
そして、レグルスがルーチェのことを紹介するセリフが、これまた粋なんです。
「こいつは俺の親友」
ことせおファンにはたまらない言葉ですね。
ショーの藤井先生が「瀬央は同期の礼をいつも横で笑わせたり励ましたりしている姿が微笑ましい」と語られたように、
ルーチェのピンチを救うため奔走するレグルスの姿に、瀬央さん自身を重ねグッときました。
しかし、そんな可愛い関係がショーで一変!
闘牛士(礼)と雌牛(女装・瀬央)として妖艶に絡みあいます。
お二人の多彩な表現力に驚かされる必見のシーンです。
「今回は第3弾ですが、今から10年後ぐらいに、第4弾…あるかも? って! さらに10年後の世界を、今ここにいる中から誰かがやるんだわって。勝手に(笑い)
日刊スポーツより
続編がありそうな終わり方について、礼さんは夢のあるステキな言葉を残されました。
10年前、柚希礼音さんに憧れ、がむしゃらに努力していた礼さんは、いまや多くの下級生に憧れられる存在に。
そして礼さんに憧れている誰かが、星組とこの作品を受け継ぐ日がくるといいですね。
長々と綴りましたが、
2022年「めぐり会いは再び」が、奇跡のようなめぐり合わせで実現したことに感動しつつ、
礼さんと瀬央さんのワチャワチャ、星組全力のコメディを、思いっきり楽しみたいと思います。
長文、最後までお読みくださりありがとうごさいました。