良くも悪くもワールド全開!月組「Eternal Voice」感想(辛口)

EternalVoice 月組

東京遠征で観た星組『RRR/VIORETOPIA』の感想も、滞在先のホテルで視聴した柚香光さんのディナーショーの感想もまだ書けていませんが、

本日観てきた月組大劇場公演『Eternal Voice』の感想を先に綴りたいと思います。

ひとことで言うと、良くも悪くも正塚ワールド全開のお芝居でした。

以下、ネタバレと辛口感想含みますので読み進めご留意ください。

月城かなと&海乃美月退団公演「Eternal Voice」初見感想

良い意味でも悪い意味でも

個人的には正塚作品好きなんです。

最近の宝塚で求められるエンタメ性に富んだドラマティックなストーリ-や、派手な演出とは無縁ですが、「あぁ」「うん」「えっ?」と、ポツリとつぶやくような会話の中に、人物の人となりがにじみ出る温かい作品が多くて。

最近だと雪組でやった『愛するには短すぎる』や、花組の『二人だけの戦場』なんかは、定期的に再演してもらいたいくらい好みの演目です。

じゃあ『Eternal Voice』はどうだったかというと…

う~ん、先生どうした??

月城さんを中心に組子たちが総踊りするオープニングは最高です。

そして月城さんのぶっきらぼうな「うん」「あぁ」のセリフを聞いた瞬間、これぞ正塚作品だ~とテンションが上がりました。

そして英さんから娘の病気のためにお金が必要だから買ってくれと頼まれたネックレスを手に取り、何かを感じた月城さんは、ネックレスが本物かを確かめるために鳳月さんの協力を得るため超常現象研究室に向かう。
そこで過去や未来を見通す力を持つ海乃さんと出会い…

とまあ、このあたりまでは楽しく見られていたのですが、

そこからカトリック改宗を目論む悪者議員やら、バチカン工作員やら胡散臭い降霊術姉弟が出てきて、あれれ??

もちろん正塚先生のことですから、途中どんなにとっ散らかろうと、最後は急転直下でハッピーエンドを迎えるというお約束は健在。

後半の超ざっくりあらすじは、
特殊な能力を持つ月城さんと海乃さんは、超常現象研究家の鳳月さんらの力を借り、ネックレスの持ち主だったメアリー・スチュアートの思いを汲み取り、奪われたネックレスを取り戻したうえ、悪者退治に貢献、国の危機を救う。
その働きが認められ、ヴィクトリア女王から称号を与えられたふたりは、自分の特殊な能力を受け入れ、新たな未来に向かって仲良く進んでいく

大団円なので安心して見られるといえば見られるのですが、

いかんせん、史実を混ぜるとこうなるというパターンの典型で、歴史好きにはたまらない内容でしょうけど、起承転結が不明瞭で盛り上がりに欠けるんですよね。

そして正直、気持ちが良いとは言えないシーンもチラホラ。

メアリー・スチュアートの心臓を掘り起こすシーンも、その心臓(が入った壺)をヒロインが触って気絶するシーンも、笑いを交えてシリアスさを軽減してはいましたが、気持ちの良い場面ではありません。

さらに言うと、娘役同士(彩&天紫)の「私に立て付つくつもり!」「ぶっ殺してやる!」とナイフを振りかざす物騒な喧嘩を長々と見せられて、ふたりの熱演は伝わってくるものの、客席には微妙な空気が。(←ここ2回目の観劇ではすごくコミカルなシーンになっててビックリ!客席ウケてました)

初日の感想で、月城さんと海乃さんが手をつないだと盛り上がっていましたが、ラブ要素はほぼ無し

なのにファンも健気なもので、「美しくなった」「これからも宜しくたのむよ」という短いセリフに少しでもトキメキを得ようと必死になったりして。笑

あっ、珍しく海乃さんが弱々しいキャラで、そんな彼女を月城さんが支えるという関係性は新鮮で良かったです。

恋愛を薄めにするなら男の友情をガッツリ見せてほしかったかも。

月城さんと鳳月さんのバディ感は薄いし、月城さんと風間さんと絡みはほとんど無し。退団公演でそれはないよ~。泣(とにもかくにも今回風間さんは辛抱役ですしね。礼華さんは美味しい)

そして久しぶりに見ました、大劇場の舞台に2人や3人での無音(BGMナシ)芝居を。

100周年の前はこんな作品多かったな~なんて懐かし気持ちになりましたが、出番の少ない組子が不憫で。映像は豪華ですが別箱向けの作品かなと。

月城かなとの集大成として

と、少々辛口に綴ってきましたが、久しぶりの新作ということで、私が勝手に期待し過ぎただけかもしれません。(一緒に見た友人は面白かったと言ってましたし)

正直、作品に対して思うことはいろいろあるけれど、変わらず正塚作品は好きですし、月城さんの男役15年間の集大成が『Eternal Voice』で良かったと思っています。

だって月城さんの上手さを存分に味わえる作品だから。

靴音さえ響き渡るような静まり返った空気のなか、ポツポツと行間を読む芝居を成立させて観る者を引き込む力も、歌詞をセリフのように届けられる歌の技術も、本当にすごい。

その姿を間近で見られることは下級生にとっても良い勉強になるでしょうし、『宝塚歌劇における芸の継承』という意味でも、正塚作品と柴田作品は全ジェンヌが経験すると良いと言われる理由を再確認しました。

さて本日は凛城きらさんが休演され、佳城葵さんらが急遽代役を演じていました。

しかし初見では何の違和感もなかったどころか、それぞれが最初からその役だったかのように存在していて、さすがだなと。

凛城さんの一日も早い復帰と、月組生が全員元気に千秋楽を迎えられることを願っています。

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