月組『ELPIDIO』感想・鳳月杏、彩みちる、彩海せら

月組ELPIDIO感想 月組

月組KAAT公演『ELPIDIO』
観てきました。

謝先生は分かってらっしゃる。

誠実でやさしい正統派2枚目から
お茶目な3枚目まで

われわれが見たい鳳月さんを
全部みせてくれました。

歌もダンスも存分に。

しかし、先生が鳳月さんの魅力を
知りすぎているからこそ
鳳月さんの力量に頼りすぎているなと
感じた部分もあったり。

以下『ELPIDIO』の感想をネタばれ無しで記します。

月組『ELPIDIO』感想

全体感想

冒頭からメッセージ性のつよい
『社会的弱者』ダンス。

そして怒涛の説明セリフ。

明るく軽いコメディだと思って観劇すると
冒頭の暗い展開に戸惑うと思います。

腐敗した政治、戦争の悲惨さ
女性の立場問題など

全体を通した感想も
『詰め込み過ぎ!』というのが正直なところ。

しかし、先生ご自身がそれを
自覚していらっしゃるのか(想像です)
適度に笑いが盛り込まれていたため
だれることはありませんでした。

鳳月杏・ロレンシオ

どの衣装の着こなしも、身のこなしも上品で
見せ方のレベルが違うなと感心しました。

物語は、ロレンシオが替え玉になるあたりからコメディ要素が入り、一気に楽しくなります。

お屋敷で働く蓮さん輝月さんを巻き込んだ『(妻に)正体がバレるバレない』のドタバタが最高に面白くて客席大ウケでした。

何度もお稽古して作り上げたシーンなのに
たったいま言葉(感情)が生まれたようなリアルさ。

ほんと3人とも芝居が上手い!

鳳月さんと彩さんとはビジュアルも芝居も相性がよくて、もう何年もコンビを組んでいるかのような安定感。

過去を封印したロレンシオと
夫との仲に悩むパトリシア

そんな二人が魅かれ始めて…

大人の不器用な恋にキュン。

客席からため息がもれるキスシーン
(個人的)今年ベスト3に入るトキメキでした。

ロレンシオが自分の過去を話す長セリフ
(演出丸投げで)謝先生が鳳月さんに頼りすぎな気もしますが

鳳月さんが言うと、全ての言葉が
すんなり頭に入ってくるのが凄かったです。

フィナーレは爽やかな本編から一変!
色っぽい大人な雰囲気でゾクッとしました。

彩みちる・パトリシア

お化粧が上手くなり、さらにキレイになりましたね。

夫との仲に悩むパトリシアは
ロレンシオと出会い自分を見つめ直していく。

鳳月さんとお似合いで、本当に恋をしているかのようなリアルなお芝居に夢が見られました。

【フィナーレ】
お芝居から流れるように
フィナーレ突入→
娘役群舞→男役加入→
娘役ハケ→男役群舞→
デュエットダンス→パレード

おそろいの衣装を着たデュエダン。

ずっとどこかが触れ合っているようなステキな振りで、客席に広がる多幸感。

彩さんがヒロインでよかった。

彩海せら・セリシオ

あれっ?こんな彩海さんどこかで見たことあるような。

『ブエノスアイレスの風』を思わせる役で
悩んだり〇〇れたり大変です。

それにしても、堂々と2番手役を演じていてスゴイ。

これまで『少年役』や
『本役さんの真似が上手い新公』のイメージが強かったので

今回あらためて『男役・彩海せら』の魅力が知れた公演となりました。

ファンが増えそうな予感。

その他キャスト

酒場チームは個性的。

セリシオ(彩海)に想いを寄せる
蘭世さんは圧倒的な華。

円熟した役者が多い月組において
フレッシュな可愛らしさが際立っていた
きよらさん

パワフルな白雪さんが場をかっさらっていきました。

お髭がダンディな千海さん
フィナーレで髭を取ると若手のようにあどけない。
しかし、ダンスは上級生ならではの余裕の抜け感。

この公演で嬉しかったのは
蓮さんにスポットが当たったこと。

芝居よし、歌よし、ダンスよし。
こんなに芸達者な人だったんですね。

滑舌の良さがコメディと相性が良く
面白さが際立っていました。

『ELPIDIO』全体感想

歌やダンスに時間がとられているので
芝居に時間が足りず。

伏線を回収するために2幕は説明セリフが多く、少しもったいないな~とも思いましたが、

その分、彩音さんや桃歌雪さんらダンスが上手い子たちを再発見できました。

笑いあり、キュンあり、そして考えさせられるテーマもありで、見応えたっぷり。

月組の巧みなお芝居に大満足です。

そして、鳳月さんが組子みんなに慕われているのが伝わってきて、あたたかい気持ちになりました。

つぎは梅田で観劇予定ですので
さらに進化したお芝居を楽しみにしています。

タイトルとURLをコピーしました