瑠皇りあに思う・月組『応天の門』新人公演感想

月組『応天の門』新人公演感想・瑠皇りあに思う 月組

月組『応天の門』新人公演を配信で観ました

この作品はどの役も歌が難しいので、歌に入ると、あぁ新人公演だなと我に返ったりもしましたが、

さすが『芝居の月組』と唸るお芝居が随所にみられたレベルの高い新公でした。

ということで感想を記したいと思います。

月組『応天の門』新人公演感想

道真・七城雅(105期)

『今夜ロマンス劇場で』で暁さんの役を、『グレートギャッビー』で鳳月さんの役をやり着実にステップアップしてきただけあって、道真の膨大なセリフもなんのその。

すべての言葉を滑舌よく発声していて素晴らしかったです。

実年齢の若さを味方につけて、拗ねたりムキになったり道真の少年っぽさうまく表現していましたね。

昭姫・羽音みか(103期)

研6の羽音さんは道真役の七城さんよりも学年が上だというこセともあり、セリフのやりとりに包容力と余裕を感じました。

ザ・ヒロインという役ではないからこそ羽音さんの落ち着きが功を奏し、その実力や存在感が際立ったように思います。

業平・一輝翔琉(107期)

劇団のあからさまな推し具合に、もう少し段階を踏んで上げていけばいいのにと思っていましたが、なるほど、立ち姿も美しく自然と目に飛び込んでくるスターオーラ。

お化粧や表情、歌に課題がありますが上々の路線デビュー。
15期も上の鳳月さんの役を自分なりの解釈を加えながら本当によくやっていました。

新人公演の醍醐味でもある『原石の美しさ』を見たように思います。

その他キャスト

群を抜いて完成されていたのが高子を演じたきよら羽龍さん(104期)。
今を生きているようで生きていない高子の憂いを芝居と歌でうまく表現してお見事でした。
大人っぽい役が似合うようになりましたね。

白梅・花妃舞音さん(106期)の可愛らしこと。同期の和真あさ乃さん(長谷雄)との息もバッチリ。
ともすればうるさい存在になりがちなガヤ芝居を絶妙な加減でやっていて、試行錯誤したんだろうな~と感心しました。

帝・天つ風朱李さん(107期)は研2(現研3)にして誰よりも身分の高い役に挑戦。
千海さんとは違うアプローチで役をつくっていたのに驚きました。気品のある立ち居振る舞いもステキ。同期の一輝さんと並んで月組の未来を担う存在ですね。

良房を演じた彩路ゆりかさん(103期)は、見た目は可愛いのにセリフを発すると凄みがあり、吉祥丸の真弘蓮さん(104期)はまったく違うタイプの2役の演じ分けが見事。

『Deep Sea』の役替わりエトワールで劇場が揺れるくらいの美声を轟かせていた白川りりさん(103期)。
ヒロイン経験もありますが今回はナレーションや桂木として脇にまわり、長の期としてしっかり舞台を締めていました。

瑠皇りあに思うこと

『グレートギャッビー』新公では絵にかいたような良い人(ニック)を好演し、『応天の門』本公演では吉祥丸という心優しき兄が評判をよんでいる瑠皇りあさん(103期)。

悪役も良かったですよ。

まず目を引いたのがその美しさ。
美しい人の悪役ってなんて魅力的なんでしょう。

本役の風間さんの演技をなぞりつつ冷酷さと人間味のバランスを絶妙に表現してみせ、歌い出しが難しいソロも銀橋でも歌い上げも堂々としたもの。

これまでの経験が生かされた落ち着いた芝居運びでした。

こんなに実力も華もある瑠皇さんがなぜ主演ではなかったのか、2番手でもなかったのか。

ひとえに『悪役(基経)をやらさせたかった』に尽きると思います。

劇団の思惑どおり、目をひくビジュアルだけでなく確かな実力あるスターだと多くの人に知らしめる新公になったのではないでしょうか。

「つぎは瑠皇さんに主演を!」とついつい入れ込む人が増えるのも計算づくなのかしら。

公演ごとにジワジワ人気が高まる瑠皇さん。

鳳月さんや水美さんを見ても分かるように、初主演学年が遅くともその魅力で確実にファンをふやし、熱心に応援されるジェンヌは強い!!

ラスト新公となる『フリューゲル~君がくれた翼~』では待望の主演が回ってくること祈っています。

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