ついに和希そらさんが宝塚を去る日が来てしまいました。
最後にプーさんのモノマネを披露し、ファンの泣き顔を笑顔に変え、清々しくご卒業されたそうですね。(花組観劇のため千秋楽中継見られず)
いまごろはフェアウェルパーティー真っ只中でしょうか。
さようなら和希そら・最高のエンターテイナー
弟キャラからの変貌
思い返せば宙組時代の和希さん(96期)は歌やダンスの実力が認められながらも、
宙組本命の桜木みなとさん(95期)と瑠風輝さん(98期)に挟まれ、新人公演主演は『ベルサイユのばら』1回のみ。
しかしながら高身長ジェンヌばかりの宙組において小柄な和希さんは逆に目立ち、主演を果たしたバウ『ハッスルメイツ』で人気を拡大。
つづく『オーシャンズ11』のライナス役でブレイク!
このころの和希さんは天真爛漫な宙組の弟キャラでしたね。
それが2回目のバウ主演『夢千鳥』で雰囲気が一変!
匂い立つような色気を放ち、みごとに大人の男(役)へと変貌を遂げ、観る者の心を鷲づかみに。
このころからでしょうか、劇団が和希さんの人気を直視しはじめたのは。
『夢千鳥』『心中、恋の大和路』、主演公演が2作もディレイ配信されたのは、後にも先にも彼女ただひとり。
別箱において追加公演が行われるといった異例中の異例措置もありましたね。
雪組に異動してからは、17歳の少年(三太)、アナーキスト(順桂)、ギャング(バック)…
様々な役をとおして芝居力を蓄えていったように思います。
宙組で弟キャラだった和希さんが雪組では下級生から慕われるアニキ的存在へ。
そして2回目の東上が決まり、『双曲線上のカルテ』が早霧せいなさん(宙組→雪組トップ)の作品ということもあり、
和希さんもこのままステップアップすると信じて疑いませんでした。
しかしいつしかスカステに登場する彼女の口紅が男役にしては赤くなり、もしやと。
いま思えば『双曲線上のカルテ』の千秋楽のご挨拶は退団を意識しての発言だったのですね。
「一度きりの人生、限りある命の時間をどのように使い、どう生きていくのか、自分にとって最善を選んで幸せに生きていく。たとえそれが今までになかった道だとしても、誰かから不正解だと思わても、自分が選んだ道を、一度きりの人生を、後悔なく生きる」
雪組時代はたったの2年
雪組に組替えしてたったの2年。
タカラジェンヌにとって組替えというのは退団が頭をよぎるほどの一大事。
現在、劇団は組ルールの統一化にやっきになっていますが、これまでは組が違えば他の国に行くみたいに『常識(しきたり)が異なる』とされてきました。
組替えは経験した人じゃないと分からない苦労があるそうです。
だったらなおさら今辞めるなんて 苦労と対価が合っていないようにも思いますし、もうすぐ2番手に手が届くこのタイミングでなぜ?(往生際の悪いファンですみません)
だけど『今』退団してもいいと思えるほど、充実した時間を雪組で過ごしてきたのでしょう。
スカステ特番も自然体で楽しんでいて、人見知りの彼女がすっかり雪組に馴染んでいて微笑ましく思いました。
朝美さんが「私も和希も人見知りで、やっと楽しくしゃべれるようになってきたのにやめるのって(寂しい)」とポロッともらした本音が忘れられません。
彩風さんも和希さんへの思いをこう語っています。
「彼女は雪組に来てから側にいてくれる役が本当に多くて。一緒に過ごした年月はそんなに長く無いけれど、密度が濃くて大劇場の千秋楽は一緒に踊るシーンでいろんな思いが込み上げてきて、幸せだなぁと」
黒燕尾でトップとセンターで踊るという最高のはなむけ。
さらにはクリスマスディナーショーという破格の扱い。
もう和希さんの期が1期でも違っていたら、なんて考えは捨てました。
だってこんなにも大切にされ、手厚く送り出してもらえたのですから。
どんなに周りが感動ストーリーを期待していても『vie.』にピリオドを打ったのは「特に深い意味はなくカッコいいから」とバッサリ切り捨てるところも、
ラストデーなのにプーさんのモノマネをやって笑いで終えるところも、最後まで『らしい』ですね。
サバサバとして過去を振り返らない和希さんがゆいいつ「出演したかった」と振り返る『ODYSSEY』。
お稽古に費やした日々は生涯忘れることはない大切な思い出だそうです。
このときに生まれた雪組生との絆はとてつもなく強いと。
組替えしてきたときから共に舞台を作り上げてきた彩風さんや朝美さんに見送ってもらえるこのタイミングだからこそ、新たな一歩を踏み出す決心をしたのかもしれませんね。
歌のうまさ、ダンスレベルの高さはもちろん、奥行きのある芝居で魅了する稀有な男役。
そんな和希さんの退団は残念でなりませんが、
外の世界にでたら思いっきり自由に羽ばたいて、その実力を遺憾なく発揮してほしいなと思います。
明日からの人生も輝かしいものでありますように。これからも応援しています。