長いあいだ初日を迎えられず悶々としていた花組東京公演ですが、
現在は順調に行われてホッとしています。
先日の記事に、惜しまれながら退団する音くり寿さんについて記しました。↓
本日は音さんと同じく、まだまだこらからの活躍を期待されながら、
退団という道を選んだ飛龍つかささんについて記したいと思います。
飛龍つかさ
何の根拠もありませんが、飛龍さんはこれからも長く在団してくれると思っていたので、退団発表されたときは本当に驚きました。
そして後からジワジワと寂しさが込み上げてきました。
コロナでいろんなことがストップしている中、
綾凰華さん、飛龍つかささん、
98期の路線スターが退団してしまう時期に入ってしまったんだなぁと、なんとも切なく感じます。
飛龍さんは2012年入団。
研4で「ベルサイユのばら」小公子に抜擢され注目されました。
そして2017年「邪馬台国の風」で新人公演初主演を果たし、その実力を大いに発揮。
飛龍さんはどんな小さな声でもしっかり聞き取れる、活舌のいいセリフ回しが魅力です。
上級生でも難しいその技術が、はやくも新人公演で極められていたように思います。
とくに「ポーの一族」のアランは、エドガーに血を吸われ、涙ながらに歌いながらも、歌詞が全てクリアに聞き取れる歌唱が絶賛されました。
歌、演技ともに、新人公演の域を超えた上手さ。
そして飛龍さんが「コメディもできる人」として認知されるきっかけになったのが、
2018年全国ツアー「メランコリック・ジゴロ」のバロット。
悪ぶれば悪ぶるほど空回りする天然男子を、
絶妙の間で笑いをとり、芝居センスの良さを見せつけました。
演出家からの信頼もあつく、
その後「マスカレードホテル」で瀬戸さんとのバディ感が微笑ましく、コミカルなかけ合いが最高に面白かったです。
「はいからさんが通る」の牛五郎
「ナイスワーク」のデューク…
コミカルな役を上手く演じるようになればなるほど、飛龍さんが舞台に登場するたびに「何か笑わせてくれるんじゃないか」と期待するような空気が客席に漂うように。
ですが、ご本人が目指したのは、コメディエンヌ路線(コメディもできる芸達者)ではなかったように思います。
あくまでも正統派な男役にあこがれ、それを目指していたのではないかと。(憶測です)
飛龍さんのあたたかいお人柄がにじみ出たような「銀ちゃんの恋」のヤスも素晴らしかったです。
個性的な役がつづき、役者飛龍つかさを十分に堪能したので、そろそろ宝塚の男役らしいカッコいい役が見たいなと思っていたころ、
すでにご本人は退団を決意されたのですね。
最後の別箱「冬霞の巴里」で、ギョームという物語のキーとなる重要人物を演じ、深みのある演技が絶賛されました。
飛龍さんご自身も「ここまで頑張ってきて良かったなと思えた役だった」と語られています。
飛龍さんが、宝塚ではもうやりきったと満足して退団を決めたのか
見切りをつけたのか、外部へと気持ちが向いたのか…
本当のところは誰にも分かりません。
ですが、大劇場の千秋楽、大階段をおりてくる幸せそうな姿に
「あぁ、飛龍さんはいろんな感情に折り合いをつけ、宝塚でできることは全てやりきったんだな。」と納得しました。
ただ、2018年「BEAUTIFUL GARDEN」
この公演で亜蓮さんの代役でサマータイムをみごとに歌い上げ、その声量と多彩な表現に圧倒されました。
飛龍さんの実力なら、どんな名曲も歌いこなせるでしょう。
もっとたくさん彼女の歌が聴きたかったというのが本音です。
花組「巡礼の年/Fashionable Empire」
飛龍さんの大切な退団公演が、コロナの影響で長く中止になりました。
これから千秋楽まで1公演もかけることなく、飛龍さんの男役集大成をたくさんの方が見届けられますように。
そして飛龍さんご自身が幸せなラストデーを迎えられますように。