和希そらさん主演
雪組「心中、恋の大和路」初日を観劇してきました。
和希さん夢白さんをはじめ、出演者の熱演に
なんども胸があつくなる素晴らしい舞台でした。
カーテンコールは3回ありましたが
3回とも和希さんと夢白さんのお二人のみ、無言で登場。
物語の余韻に包まれながら静かに幕が降りました。
初日の感想をネタバレあり長文でお届けいたします。
雪組「心中、恋の大和路」ドラマシティ初日感想・ネタバレあり
(ネタバレありです。読み進めご留意ください)
和希そら・忠兵衛
和希さん演じる忠兵衛は、お調子者で面倒見のいい若旦那。
そこから一転。
梅川(夢白)への盲目的な愛ゆえ
手をつけてはいけない金に手をつけ、悲劇へと向かっていきます。
そんな哀れな忠兵衛ですが、最初から最後まで一貫しているのは、彼がとてつもなく純粋だということ。
和希さんはその純粋な部分を魅せるのが上手い!
和希さんが持つ人懐っこさや、根っからの人たらしを活かし、忠兵衛を魅力的に演じていました。
忠兵衛は、親友の八右衛門(凪七)が梅川との仲を裂こうとしていると勘違い。
怒りと焦りで他人のお金に手をつけてしまいます。
ここは和希さん一幕最大の見せどころ。
梅川を身請けするために大金をバラまく忠兵衛(和希)の手が、大きく震え、観ているこちらもヒヤヒヤドキドキ。
その金をめぐり、追いつめられていく忠兵衛。
極寒の中、長い逃避行で歩けなくなった梅川を、忠兵衛がおんぶするのですが、二人して転んでしまいます。
このとき二人は顔を見合わせて笑うんですよね。極限状態で。
和希さんと夢白さんの笑顔が美しくて切なくて。
死に向かっていく二幕の後半は
客席のあちこちからすすり泣きが。
凪七さん(89期)と和希さん(96期)は学年差があるので、正直、一幕の途中まで親友という間柄がしっくりきませんでした。
しかし、忠兵衛と八右衛門の今生の別れのシーンで、
忠兵衛を必死で守ろうとする八右衛門と、八右衛門に感謝する忠兵衛をみたとき、
凪七さんと和希さん、お二人にしかだせない特別な信頼関係が感じられグッときました。
谷先生の言葉
「和希そらの正念場。ですが心配はしていません。必ずや愛に生きる忠兵衛を演じてくれると信じています」
先生の期待どおり、愛に生きる忠兵衛でした。
夢白あや・梅川
夢白さんがこんなに悲劇が上手な人だったとは。
お酒を飲む仕草の色っぽいこと。
とにかく美しくて華やかな着物がよく似合っていました。
忠兵衛のひとことで喜んだり悲しんだり…
ゆれ動く乙女心を滲ませるのが上手い。
物おじせず汝鳥さん(忠兵衛の実父)と対等にお芝居し、
「気の強いおなごだ」と罵られても、忠兵衛のために必死にすがる姿に涙しました。
大量の雪が降りしきる中、着物も髪も乱れ
衰弱して息絶えていく最期は切なくて悲しくて…
凪七瑠海・八右衛門
米問屋の主人としての威厳を出しつつ、
少年のようにワチャワチャ和希さんとアドリブを楽しむ凪七さん。
和希さんが凪七さんに「笑って~」と無理やり笑顔を作らせるアドリブは、これからどんどん面白くなりそうです。
凪七さんの見せ場。
忠兵衛と梅川を助けるために、命がけで追手を説得する姿に涙がとまりませんでした。
和希さんと夢白さんが息絶えるシーン。
下手に立つ凪七さんの絶唱は素晴らしいの一言。
名場面として記憶に残ります。
凪七さんはセリフの声と歌の声に境目がないので、歌詞がスッと心に届くのがいい。
その他キャスト
諏訪さん
好きな花魁と目も合わせられないウブな青年。
主人(和希)が金をバラまくのを、全力で止める姿に胸打たれました。
良い役者さんですね。歌もうまい。
妃華さん
梅川の先輩花魁。
いったい何十キロあるの?ってくらい豪華な衣装を着て、ブレずに踊るのスゴかったです。
悲劇に向かう梅川とは対照的な存在として描かれた花魁。
自分が幸せだからこそ、梅川の身を案じて助言する姉御っぷりがステキでした。
重くるしいストーリーの中にも
ときどき下級生がクスっと笑いを提供してくれます。
そして歌の上手い人に、しっかり歌の場面があるのも嬉しいポイントです。
専科の汝鳥さんや悠真さんがしっかり脇を締め、舞台の緊張感が持続。
素晴らしい舞台なのは間違いありませんが、
正直レビューとしては、
出演者の大阪弁(船場言葉)に少し違和感…
ですが、後半は、物語の世界にのめりこみ気にならなくなりました。
初日のプチハプニングは、
舞台奥のカーテンが開いて一瞬スタッフさんがチラ見えしました。(問題ありません)
雪組27名と専科3名で作り上げられる
「心中、恋の大和路」
名作と言われる舞台には、観る者の魂を揺さぶるパワーがありますね。
劇団の意向どおり、和希さんの代表作となり、雪組生にとって得るものの多い公演になるとおもいます。
ドラマシティ公演も、青年館公演も、
ぶじに完走できますよう心から祈っております。