花組「巡礼の年/Fashionable Empire」
観劇してきました。
「巡礼の年」はどんどんお芝居が深まり、最初は違和感があった精神世界も、観劇を重ねるごとにスッと心にはいってくるようになりました。
「Fashionable Empire」は花組さんの魅力全開の華やかなショーでとても楽しい時間です。
歌、ダンス、ファッションなど見どころはたくさんあるのですが、
柚香さんや水美さんをはじめ、あちこちで繰り広げられるリフトも見どころの一つとなっています。
「リフト」と聞いて、楽しみにされる方もご心配される方もいらっしゃるでしょう。
宝塚歌劇においてリフトは必要か?という
宝塚ファンならば誰もが一度は疑問に思うであろう事柄について記します。
宝塚歌劇においてリフトは必要か??
当たり前ですが、タカラジェンヌは全員が女性です。
女性が女性を持ち上げ回転するということ。
どんなに高身長で筋肉質に見えても女性であることに変わりはありませんので、同じくらいの体重の人を持ち上げることがいかに大変か。
数年前、あるトップコンビのリフト転倒を目にしたとき、心臓が止まりそうになりました。
幸いすぐに立ち上がり、次の振りから自然に戻りましたが。
過去のヒヤッとしたリフトで印象的なのが
宙組「クラシカル・ビジュー」(2017年)
これは変形中の変形リフトで、
真風さんが朝夏さんの腰を持ち、時計の針のように360度回転させるというもの。
客席から「うわ~っ」「ひゃ~っ」と、
凄い!とも、危ない!ともとれる声が漏れていました。
(どういった理由かは分かりませんが、大劇場公演前楽からこのリストはなくなりました)
最近はここまでアクロバット的なリフトはありませんが、
回転が高速化したり、複雑な振りのあとすぐにリフトが組み込まれていたり…
これは近年、外部の振付家が増えた影響もあるのでしょうか。
より高度なことを求められ、リフトする側もされる側にも高い技術力を要するようになったと感じます。
リフト反対(不必要)派のご意見としては、
・とにかく危ないからやめて
・腰を壊したらどうするの
・心配で現実に引き戻される
・デュエダンはリフトがなくても十分ステキ
・出番の多いトップにリフトは過酷過ぎる
・無理なダイエットにつながらないか心配
おおむね同意いたします。
ではリフトを無くせばいいのでしょうか?
数年前、ある下級生(男役)のお茶飲み会に参加したときのことです。
今後チャレンジしたいことは何ですか?という質問に、
「リフトに挑戦してみたいです。そのために体鍛えてます」
と瞳をキラキラ輝かせて答えていました。
銀橋で歌いたいとか、
センターで踊りたいとか、
黒燕尾のシーンに出たいとか、
これらと同様、
ジェンヌさんにとってリフトというのは達成する目標、叶えたい夢の一つでもあるのだなと気づかされました。
「リフトはタイミングが大切」
みなさん口をそろえておっしゃいますね。
ファンからするとリフトは心配でしかたがありません。
しかし、ジェンヌさんがリフト技術習得のために日々努力を重ねていらっしゃるのも事実。
前向きな気持ちで取り組んでいるジェンヌさんを思うと、危ないから、観ていて心配だからと声高に反対するのも…
(『やりがい搾取』という問題は、いまは置いておきます)
ちなみにリフト賛成(必要)派のご意見は、
・夢が見られる
・高速回転が気持ちがいい
・タカラジェンヌ凄いって実感させられる
・息の合ったリフトが見られると仲良さそうで嬉しい
・ただただ素晴らしさに感動する
リフト賛成、反対…本当に難しい問題です。
柚香光、水美舞斗「Fashionable Empire」リフト
7月7日、花組「巡礼の年/Fashionable Empire」
本日も花組さんは絶好調!
「巡礼の年」では柚香さんが永久輝さんをお姫様だっこしてクルクル。
「Fashionable Empire」はたくさんの生徒にリフトが組み込まれ、みなさん危なげなく息の合った美しいリフトを披露。
とくに、永久輝さんが「Fly Me to the Moon」を歌う前方で、
柚香×星風・水美×音が回転する高速リフトは、それぞれのカップルの個性がでて見応えがあります。
リフトが終わり星風さんが地面に着地したあと、柚香さんと仲良く微笑んでいて幸せな気持ちになりました。
水美さんと音さんのとびきりの笑顔もキュンとします。
もしかしたら袖で見ている下級生が「いつかこんなステキなリフトをしてみたい」と目標にするのかもしれません。
永遠につづくリフト必要不要・賛成反対論争。
個人的には負担の大きなリフトはなくていい(不必要)との意見です。
しかし、ジェンヌさんも観客にヒヤヒヤ心配してほしいワケではないと思いますので、
観劇する公演にリフトがあったならば、存分に楽しみ、ジェンヌさんの磨き上げられた技を拍手で称えたいと思います。
最後に一つ、
劇団や演出家、振付家にお願いです。
なによりも安全を優先して、どうしてもこのシーンにはリフトが必要だと判断した場合のみの採用と、負担のかからない配慮ある振り付けでお願いいたします。