雪組『Lilacの夢路』の感想がこの記事だけだと あまりにもあまりなので↓
観劇を重ねた今だからこその感想を本編ネタバレありで記したいと思います。
雪組『Lilacの夢路』感想
アナウンス拍手と初舞台生の印象
初舞台生のお披露目公演は組長のアナウンスで始まりますが、「雪組組長の奏乃はるとです」でパチパチ拍手。
えっ?ここで拍手ありましたっけ?と我に返った貸切公演。
ことしの初舞台生(109期)は落ち着いてますね。
口上で声が裏返ることもなくラインダンスの足上げもていねいですし、地に足がついた堅実な期なのかな。
「Lilacの夢路」印象変わらず、だけど
とつぜん始まるダンスや歌が物語とチグハグだったり、内容をつめ込み過ぎて肝心なところが説明セリフで済まされたり…
何回観ても違和感はありますが役を深めようと組子たちは頑張っています。
それにしても先生、ヨーゼフの死により5人兄弟が4人に減って、人を入れ替えて5人になるっていうシュールな展開、よく思いつきましたね。
ドロイゼン家の兄弟は5人ではなく、腹違いの弟をふくむ6人だったなんて。
ヨーゼフの死によって何かストーリーに変化があるワケではないので、できることなら彼を死なせず6兄弟の並びが見たかったです。
物語のキーをにぎるのは美穂さん演じるアーシャ。
5兄弟の父との恋→ こどもを授かり雲隠れ出産→ 火事で命を落とす
壮絶な人生ですね。
なのに、アーシャの過去を説明セリフだけで済ますなんて、いくらなんでも美穂さんに頼りすぎかと。
どれか1つくらいはシーンとして見せてほしかったです。
で、アーシャが生んだ子どもこそ、五兄弟の腹違いの弟アントン(縣)だったというわけです。
匂わせがいっぱいなので初見でも勘のいい人なら途中で気づくと思います。
出生の秘密が明らかになってすぐに「兄さん」と受け入れるアントンに、はやっ!とツッコミそうになりますが、
縣さんの素直で人懐っこいところが役とハマっていて、「いっぱいお兄ちゃんできて良かったね」と一瞬ホロリときます。(ほんとに一瞬だけです)
千秋楽ちかくになって
野々花さん演じるディートリンデは、ハインドリヒ(彩風)が自分に興味を示さないことに腹を立て 刺客を送るような女性です。
はっきり言います。どうして彼女がそんなにモテるの?
フランツ(朝美)が彼女を一途に愛することに疑問を抱く人もおおいのではないでしょうか。
わたしも初見はそうでした。
しかし彼女のどんなヒドイ姿をみてもキライになれないフランツが切なくて(←朝美さんの演技がすごく良い)、男と女って理屈じゃないんだなとしみじみ。
宝塚って人生のいろんなことを教えてくれますね。
家の名誉を守るため奔走し、結果、腹違いの弟を見つけ出すゲオルグ・和希さんの献身的なこと。
和希さんは 冷静さと情熱を兼ね備えた役がよく似合います。(ただ出番は少ないし、ソロ曲もないし、誰ともカップルにはならないし、扱いがヒドすぎる)
唯一の救いは彩風さんと夢白さんのトキメキシーンがあったこと。
彩風「君のことが好きだ!いや、愛してる」
夢白「私も愛してる」
からのキスに静かに上がるオペラグラス。笑
こういう宝塚らしいキュンとするシーンを削らずに入れてくれたことは感謝です。(ふたりの距離がちぢまるまでの描き方は雑だけれど)
う~ん、やっぱり『Lilacの夢路/ジュエルドパリ』は評価が分かれる公演かもしれません。
だけど良い舞台をつくりあげるために組子たちが全力でうたいおどる姿は尊い。
いよいよ明日は千秋楽ですね。配信でしっかり見届けたいと思います。