今月2回目の遠征で東京に来ております。
遠征観劇第1弾として宙組「カルト・ワイン」観てきました。
宝塚作品にしては珍しく恋愛要素少な目。
ヒーローでも王子でもなく、詐欺師をあつかった異色作品なのに、「カルト・ワイン」はどうしてこんなに楽しいのか。
ちょっぴりネタばれありで感想を記します。
宙組「カルト・ワイン」感想
この作品の最大の魅力は、スピーディーで爽快なエンタメ作品であるということです。
「価値はだれが決める」という考えさせられるテーマなのに、大半の時間は舞台に明るい空気が流れていて見やすい。
現在と過去が交差しながら物語が進んでいくのですが、まったくややこしくなく、すんなり入ってきます。
主人公のシエロ(桜木)は挫折してやさぐれたり、うまい儲け話にのって失敗したり、でも本当はいいヤツで…とことん人間らしいのが魅力的。
このキャラ設定のおかげで、いろんな桜木さんを堪能できるのが良いんですよね。
シエロが知恵を使ってどんどん成り上がっていくのは痛快で最高に面白くて…(悪知恵だけど)
なんだかんだ言って成り上がり物語好きなんですよね。(詐欺だけど)
さらに作品を面白くしているのが、
シエロとフリオ(瑠風)の『男の友情』
野心も度胸もあるシエロと、
マジメで堅実なフリオ。
個性の違う不器用なふたりが、裏切りもありつつ、互いを大切に思い合ってるの…たまらん。
恋愛が少なくて肩透かしをくらいましたが、
『男の友情』の比重を大きくしたのなら仕方がない。満足です。
その友情がラストのシャレたオチに繋がるのも面白い。
(これは是非ネタバレなしで観てきただきたいので配信後に内容追記しますね)
演出的にも男女の恋愛シーンが少ないことで、
ストーリーが中弛みせずスムーズに進むのも栗田先生の計算なのでしょう。
とは言え、やっぱり桜木さんの本気のLOVEも見たかったな~。(小声)
演出といえば、
まず、冒頭でクライマックスシーンを観せておいて、ラストにもう一度そのシーンに戻る手法。
これは韓国ドラマあるあるなので既視感あれど、とても効果的でワクワクしました。
構成演出のほかに作品に面白味を加えたのが、濃いキャストたち。
キャスト
桜木みなと
チンピラだったり成功者だったり。
眼光鋭いキレモノなのに愛嬌のある笑顔。
シエロは、一作のなかに『よくまぁこれだけ両極端なものを詰め込んだな』という人物です。
桜木さんは、善と悪、どの瞬間も魅力的に演じていて、ワトスンやアギラールの経験が活きているなと。
お芝居も歌もビジュアルも求心力も申し分なし。
もう気軽に『ずんちゃん』と呼べない貫禄です。
瑠風輝
フリオは瑠風さんそのものなの?と思えるくらい等身大の良い演技でした。
報われない恋が似合う!(褒めてます)
シエロに振り回されるのが似合う!(褒めてます)
瑠風さんの歌の上手さがこの作品の魅力を上げていたと思います。
留依蒔世
やっぱり留依さんの男役最高!
裏社会に通じるワルでありながら可愛らしさもある絶妙なキャラクター。
留依さん一人だけマイク音量間違えてる?って思うほどの声量でした。
風色日向
滑舌よくストーリーテラーがピッタリ。
アドリブで舞台度胸を鍛える作戦だとしたら、先生の愛ですね。頑張って!
松風輝さんには泣かされ
五峰亜季さんの悪さに震え
春乃さくらさん美星帆那さんの可愛らしさにキュン。
そして有愛きいさんらソロを任された人たちがみんな上手い!
これが半分の人数だなんて、宙組人材の豊富さよ。
爽快で面白い「カルト・ワイン」は、
桜木さんの転機になるような素晴らしい作品です。
桜木さんが良い作品に巡り合えて良かったと、心から嬉しく思います