雪組大劇場公演「蒼穹の昴」
観劇してきました。
中国の壮大な歴史ものを舞台化ということで
ストーリーの難しさを心配していましたが
問題なし。
初見でも分かりやすく、1幕も2幕も涙しました。
雪組「蒼穹の昴」全体感想
まず、セットと衣装が、超がつくほど豪華です。
衣装ボロボロの貧しい時代から
豪華絢爛の紫禁城への舞台転換は
チョンパのようなインパクトがあり
思わず「うわっ!」と声をあげそうになりました。
大階段を使った紫禁城のセットが回転すると、鴨音閣の楽屋にかわるという仕掛けも見事!
複雑だと思われていたストーリーは
文秀(彩風)と春児(朝美)に焦点が絞られているので、最後までブレずについていくことができました。
裕福で聡明な文秀と、貧しいが純粋な春児は気の合う幼馴染。
才能ある二人は、あれよあれよと出世し、国を動かすほどの地位に上り詰めるが
いつしか西太后(一樹)や光緒帝(縣)を取りまく陰謀に巻き込まれ…
という感じです。
彩風咲奈・文秀
彩風さんは何を着ても似合う人だけど
ストンと縦のラインが強調される中国服を着ると
より一層スタイルの良さが際立っていました。
インタビューで「受けの演技に専念」とおっしゃっていましたが、まさに。
抑えた演技のなかでも
科挙に首席で合格するほどの賢さと、それゆえ理想と現実の間で苦悩する様が全身からにじみ出ていて、上手いなぁと。
一幕ラストの絶唱にグッときました。
朝月希和・玲玲
玲玲(朝月)は、政治的な場面にまったく絡みませんので、1幕の出番が少ないのが残念。
貧しい身なりでも純粋さと可愛らしさをうまく表現できているのは、流石のヒロイン力だなと感心しました。
朝月さんが登場すると
場の空気があたたかくなり
多幸感が広がります。
2幕は登場も増え安堵しました。
文秀(彩風)と玲玲は恋仲にはならないものの、それを超えた関係とでもいいましょうか。
これからも2人の絆は続いていくというステキな終わり方です。(原作どおり)
朝美絢・春児
貧しい時代も、西太后に見いだされてからも、純粋で可愛らしくて、国民の弟感たっぷり。
貧しさから抜け出したいと、なりふり構わず突き進む姿に、思わず応援したくなります。
ケンカ別れした文秀(彩風)と再会する紫禁城のシーン。
京劇の舞踊がすばらしくて、朝美さんの身体能力の高さにビックリしました。
すみれコード的にどうするの?と心配されたワードもサラッと何度も出てきました。
その他キャスト感想
和希そら・順桂
文秀と一緒に科挙に合格した順桂は
俗にいう、こじらせ男子。
己の信念に基づいてブレないのがカッコ良かった。
しかしその信念によって自ら身を亡ぼすことになり、切ないラストが待っています。
それにしても和希さんのセリフの声がいい!
そして歌が上手い。
2幕の大ナンバーと歌唱指導は感動モノです。
雪組にきてからの活躍ぶりには
目を見張るものがありますね。
縣千・光緒帝
活発な縣さんにとって挑戦(辛抱)のお役。
西太后という偉大な存在を前に、理想と現実の間でゆれ動く皇帝を、抑えた演技で表現。
これから公演を重ねていくうちに
どんどん深みが増していくと思います。
諏訪さんは、この作品のロマンス部分を1人で引き受け大活躍。
演技も歌もよかったのですが、今回ロビーパネルはありませんでした。(前公演はあり)
専科さんが多数ご出演なので仕方がないこととはいえ、寂しいですね。
そしてこの作品、最大の残念ポイントは…
残念ポイント
娘役の出番が少なすぎる。
朝月さん以外の娘役さんは
お話しにまったく絡まず。
次期トップが決定している夢白さんですら出番が少なく
その他の娘役さんはセリフもなく、女官としてズラっと並べられているのを愛でるしかありません。
もちろん見目麗しくてステキなのですが、
いくらなんでも、これはちょっと…
フィナーレは良かったです。
フィナーレ
和希さんのみごとな歌唱指導に始まり、ラインダンス。
そして中華風の衣装をまとった男役群舞へと続きます。(凪七さん参加)
朝美さんと娘役さんたちのダンスがあり、大感動のデュエットダンスへ。(カゲソロ・羽織さん)
彩風さんと朝月さんが手をつないで階段を降りてくる姿を見たら、自然と涙がでました。
朝月さんの柔軟性を活かしたデュエダンは、ため息が出るほど優雅で美しい。
心からの拍手を送りました。
専科6名を迎え、劇団の本気と
原田先生の本気と、雪組の本気がぶつかった宝塚版「蒼穹の昴」
娘役さんの出番問題
説明セリフの長さ
名前の覚えにくさ
ロマンス無し…
など、いろいろ気になるところはありますが、
スケールの大きい無骨な男のドラマが見られて満足です。
間違いなく彩風さんの代表作になり、雪組にとっても、大切な作品になると思います。