退団公演を休演するということ

退団公演休演 月組

生徒さんの退団発表があると、ご本人やファンが何よりも願うことはラストデーまでの無事です。

退団公演を務め上げ、千秋楽で大階段を降り、最後のご挨拶をする。

しかし、どうにもままならないこともあります。

退団公演の休演・過去

退団公演の休演と聞いて思い出されるのが元花組トップ匠ひびきさんのことです。

2002年「琥珀色の雨にぬれて/Cocktail」

この公演は、匠さんのトップお披露目公演でもあり、退団公演でもありました。

大劇場公演はなんとか千秋楽まで務められましたが、当時の過酷な状況を後のインタビューで赤裸々に語られています。

幕が閉まるとともに崩れ落ちる毎日で、あまりの痛みで記憶がほとんどないんです。~中略~裏方さんが袖で待っていて、おんぶしてくださるんですよ。そんなことあり得ないんです、舞台裏も皆さん忙しいんですから。サヨナラショーの大階段では10段目まであがれないんです。それで演出の正塚晴彦先生と藤井大介先生が肩を貸してくださって上らせてくださって、そのくらいひどい状態でした。足の感覚がないものですから、(草履を)脱げないように草履をゴムでぐるぐるに巻いて止めていただいて、それも衣装部さんの愛情でした。公演中から衣装のズボンも自分で脱げない状態になっていて、抱えて脱がせて、はかせてくれて、花組の仲間たちも化粧品のフタを開けてくれるところから始まり、毎日毎日すべての面で助けてくれて、本当にみなさんのおかげでなんとか出ていたんです。

朝日新聞引用

東京公演はお芝居全休、最後の一週間だけショーのみ出演されました。

ショー「Cocktail」は匠さんのために藤井先生が制作したもの。

花組「Santé!!」と宙組「アクアヴィーテ」でお馴染みのほろ酔いシリーズ(勝手に命名)、その第一弾が「Cocktail」でした。

藤井先生のはからいにより、退団する匠さんと組子たちが絡む感動演出があり、代役だとより寂しさが込み上げたのですが、

東京公演は最後の一週間だけでも匠さんの姿が見られて良かったと思います。

代役を務められた春野寿美礼さんは、次期トップが決まっていたので最初で最後の2番手公演でした。

その公演でまさかトップの代役を務めることになるなんて。

春野さんはいまだに当時のことを多くは語られませんが、

「匠さんのファンの気持ちも、自分のファンを気持ちも全部受け止めて舞台に立っていた」と、

辛そうな声でインタビューにこたえていたのが印象的でした。

2002年、春野さんのトップお披露目公演は「エリザベート」でした。

その公演で春野さんの相手役である大鳥れいさんが退団。

宝塚屈指の歌手である春野さんと、娘役として円熟期を迎えていた大鳥さんの「エリザベート」は、いま映像で見てもその迫力に驚かされます。

しかしこの公演中、大鳥さんが体調不良で2日間休演。

その時に代役を務めたのが、新人公演でエリザベートを演じた遠野あすかさんでした。(のちの星組トップ娘役)

幸い大鳥さんはすぐにご回復され、残りの公演をぶじに務め上げ退団されました。

大鳥さんは宝塚時代のことをこう振り返られています。

「壁にぶつかるたびに、どう乗り切るか、どうしたら良いか、宝塚で学んだことを思い出すんです。全部宝塚で学んでいるので思い出せば良いんです」

花組休演者・芹尚英

花組「巡礼の年/Fashionable Empire」で
退団される芹尚英さんについて。

芹尚英さんは6月28日の公演を休演されていたのですが、この日は劇場前の貼り紙のみで、公式には発表されませんでした。

すぐに復帰されるのかと思っておりましたが、残念なこと公式に休演延長が発表されました。。

復帰時期は未定とのこと。

『巡礼の年』のオノレ代役は
6月28日・宇咲瞬さん
6月30日以降・太凰旬さん

ショー「Fashionable Empire」はMomentnのみ飛龍つかささんが代わりに踊られています。

退団公演で休演されるということは想像を絶するくらい辛く、いろんな葛藤があるかと思います。

芹尚英さんの休演理由はわかりませんので大事ありませんようにと祈りつつ、焦らずゆっくり心身ともに整えられ、無事に復帰されること願っています。

そして、とびっきりの笑顔とステキな舞台姿を見せてくださること楽しみにしています。

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